【器用貧乏】と【オールラウンダー】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「器用貧乏」(読み方:きようびんぼう)と「オールラウンダー」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「起用貧乏」と「オールラウンダー」という言葉は、一つだけでなく沢山の事が出来る人を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




器用貧乏とオールラウンダーの違い

器用貧乏とオールラウンダーの意味の違い

器用貧乏とオールラウンダーの違いを分かりやすく言うと、器用貧乏というのは、色々なことが出来るけれどもこれといった特技がない人を意味していて、オールラウンダーというのは、色々なことが出来て凄い人を意味しているという違いです。

器用貧乏とオールラウンダーの使い分け方

器用貧乏とオールラウンダーの違いは、器用貧乏が悪いイメージを持つ言葉で、オールラウンダーが良いイメージを持つ言葉という違いです。

器用貧乏というのは、国語辞書によると「何でもそつなくこなせるため、かえって一つのことを徹底して行うことが出来ず、出世しないこと」というような意味が載っており、元々は立身出世に関わる言葉です。この意味合いから「貧乏」と言われているのです。

ですが、現代人の言葉の感覚では元々の立身出世という意味合いが薄れて、「色々なことをそつなくこなせるけれども得意なことは持っていない」という意味で使われることも多くなってきています。そのため、なぜ貧乏と言われるかが分かりにくくなってきています。

現代人の語感が間違っているということではなく、言葉は「生き物」ですのでこのような意味の変化もごく自然な現象です。両方の意味を覚えておくようにしましょう。

次に、オールラウンダーというのは、様々なことを高いレベルで行うことができる人のことを意味します。他領域に万能な人のことであり、特にスポーツ選手を指すことの多い言葉です。「オールラウンドプレイヤー」という言葉と同じ意味です。

特にスポーツ選手を指すことの多いオールラウンダーという言葉ですが、団体競技だと複数のポジションをこなせる選手のことであり、個人競技だと種目を問わずに活躍する選手のことであることが多いです。

オールラウンダーというのは、器用貧乏とは違って、良いイメージの言葉です。

器用貧乏の意味

器用貧乏とは

器用貧乏とは、人並以上に出来ることは沢山あるが、秀でているものを持っていない人、また得意分野がないために、総合的な能力の割には出世しない人を意味しています。

表現方法は「器用貧乏な人」「器用貧乏になりたい」「器用貧乏を極める」

「器用貧乏な人」「器用貧乏になりたい」「器用貧乏を極める」などが、器用貧乏を使った一般的な言い回しです。

器用貧乏の使い方

現代人の語感では、「何事もそつなくこなすけれど、得意なことがない人」を表現することも多く、場合によっては「何をやってもうまくいかない人」という意味合いを帯びることもある言葉ですが、国語辞書などでは、少し異なる意味が載っていることが普通です。

辞書的な意味では、器用貧乏とは、「何事もそつなくこなすため、かえって一つの事に打つこむことがなく、出世や大成ができない人」という意味です。

器用貧乏というのは、得意不得意という意味を表現するよりは、立身出世に関わる言葉なのです。「貧乏」という言葉が使われるのは、出世が出来ないからだということが分かります。

辞書的な意味と現代人の語感のどちらかが正しく、もう一方が間違っているというのではなく、言葉の意味は使われるうちに変化してゆくのが普通です。どちらの意味も覚えておくようにしましょう。

器用貧乏の類語

器用貧乏の類語・類義語としては、多芸な人間は一つの芸に通じていないことが多いという意味の「多芸は無芸」、中途半端で役立たないことを意味する「帯に短し襷に長し」などがあります。

オールラウンダーの意味

オールラウンダーとは

オールラウンダーとは、特にスポーツ選手のうち、様々なポジションをこなすことができたり、短距離と中距離など複数の種目で力を発揮することのできる選手を意味しています。「オールラウンドプレーヤー」と全く同じ意味です。

職場で何でも出来る人を「オールラウンダー」というのは、少し比喩混じりの言い方だと考えることが出来ます。

オールラウンダーというのは、英語で「all-rounder」とつづります。プレイヤー(player)のように、動詞にerをつけて「する人」を表現している言葉です。

「all-round」というのは、「他領域・他部門で有能な、包括的な、全方位の」という意味です。ただし、「all-round」とつづるのはイギリス英語で、アメリカ英語では「all-around」とつづります。

表現方法は「オールラウンダーな人」「オールラウンダーになる」「オールラウンダーを目指す」

「オールラウンダーな人」「オールラウンダーになる」「オールラウンダーを目指す」などが、オールラウンダーを使った一般的な言い回しです。

オールラウンダーの使い方

器用貧乏が「出来ることは多いけれども、取り柄はない」という意味合いを持つのに対して、オールラウンダーは「多くの事が出来て凄い」という意味合いで使われることの多い言葉です。多くの役割が出来ることに価値が見いだされるのが、スポーツという領野です。

また、オールラウンダーというのは、複数の役割がこなせることへの賞賛が含まれる言葉なので、人を使う立場からの言葉である「便利屋」や「何でも屋」とは、本来は意味合いが異なります。しかしながら、実際には同じ意味で使われることも多くなっています。

オールラウンダーの類語

オールラウンダーの類語・類義語として、サッカーや野球、バスケットボールなどで複数ポジションをこなす選手のことを意味する「ユーティリティープレイヤー」、何でも完璧に出来ることを意味する「オールマイティー」などがあります。

器用貧乏の例文

1.テストの点数が全教科60点台の彼は、器用貧乏を自称している。
2.ひとつの事に集中するとそれ以外ができなくなっちゃう性分だから、かえって器用貧乏になりたいと思う。
3.子供には器用貧乏になってほしくはないが、色々なことにチャレンジしてもらいたい。
4.入社したての事は何も出来なかった彼が、今や何でもソツなくこなしている。器用貧乏も磨けば便利屋になる好例だ。
5.この会社は大抵の社員を二年か三年で異動させるから、みんな器用貧乏になっちゃうんだよ。
6.私は何を任されても卒なくこなせるが、反面突出して得意なことも見つけられない器用貧乏のまま社会人5年目を迎えている。
7.わたしはなにをやっても不器用で修得するにも他の人より人一倍時間がかかるので、彼が器用貧乏だと嘆いていることすら羨ましく思えるのだ。
8.平賀源外はエレキテルや土用の丑の日などで有名だが、歴史的にそれほど功績を残せなかったのは、器用貧乏だった面が大きいのではないかと思っている。
9.彼らは通称何でも屋といわれる商売をしており、依頼人から家電の修理や子どもの面倒など様々なことを頼まるのだが、そんなことが可能なのは器用貧乏を極めたプロフェッショナル集団だからである。
10.彼は山奥の土地を買い、自分で家を建てたり、養殖を営んだり自給自足生活を送っているが、これもすべて器用貧乏な性分のお陰だと自負している。

この言葉がよく使われる場面としては、色々なことをそつなく出来るけれども、得意なことがない人を表現したい時などが挙げられます。

器用貧乏という言葉は、あまりいい意味では使われません。どれも中途半端にしか出来ないという意味合いがあるからです。

ただし、多くの事が出来るというのは、職場ではメリットで重宝される人の特徴です。何でもそつなくこなせることを褒めたい時には「何でも屋」という言葉などがいいでしょう。

オールラウンダーの例文

1.サッカーも野球も、オールラウンダーの選手が重宝される。
2.その選手はインタビューで、得意のあん馬だけでなくオールラウンダーでなければオリンピックの代表になるのは難しいと語った。
3.アメリカでは、学生時代はオールラウンドに色々なスポーツを掛け持ちすることが普通らしい。
4.上司は僕のことをオールラウンダーだと褒めるけれど、都合よく使われているだけだと思う。
5.オールラウンダーなことがたたって、彼は仕事を頼まれすぎてしまった。
6.企画にプレゼンに営業にとオールラウンダーの上司だが、噂では家ではダメ亭主らしく、生きていく上でこういうバランスが大事なんだなぁと思った。
7.彼はただのサッカー選手ではなく、FWだけでなくDFもうまくこなせる一流のオールラウンダーであったので、クラブチームからも重宝されているようだ。
8.モノマネ芸人が長く売れないのはテレビのバラエティーではモノマネ以外のことが出来なくてはいけないのでオールラウンダーな能力が求められていると言えよう。
9.教授からは、もしも君が研究者として大成したいのであれば、オールラウンダーよりもスペシャリストを目指しすべきだとアドバイスされた。
10.もともと長距離の陸上選手が短距離走でも他の選手にも負けないすばらしい記録を出せたのは彼がオールラウンダーである何よりの証拠であろう。

この言葉がよく使われる場面としては、スポーツで複数の役割が出来る人を表現したい時などが挙げられます。基本はスポーツ選手を指す言葉で、職場などで「オールラウンダーの何でも屋」というのは、比喩的な使用法です。

元来、オールラウンダーというのは複数の役割が出来ることを賞賛している言葉なので、人を使う立場から発せられる「便利屋」や「何でも屋」とは意味合いの異なる言葉です。しかし例文4のように、両者の意味が限りなく重なる場合もあります。

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