似た意味を持つ「過不足」(読み方:かふそく)と「不足」(読み方:ふそく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「過不足」と「不足」という言葉は、どちらも足りないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
過不足と不足の違い
過不足と不足の意味の違い
過不足と不足の違いを分かりやすく言うと、過不足と多すぎることと足りないことの両方を表し、不足とは足りないことのみを表すという違いです。
過不足と不足の使い方の違い
一つ目の過不足を使った分かりやすい例としては、「正規雇用者の過不足感を解消する」「部下に過不足なく指示を出す」「過不足金の発生原因が分かった」「過不足算の問題集を買う」「過不足ないビジネス文書を作成する」などがあります。
二つ目の不足を使った分かりやすい例としては、「栄養不足をサプリで補う」「説明不足でやり方が分からない」「私の注意不足でした」「世界で深刻な食料不足となっている」「意見が却下され不足な顔をする」などがあります。
過不足と不足の使い分け方
過不足と不足という言葉は、どちらも「足りないこと」を表す言葉ですが、過不足は「多すぎること」も表すことが、二つの言葉の違いになります。
過不足とは、多すぎることと足りないことを意味します。上記の例文にある「過不足金」とは、「現金過不足」のことであり、帳簿やレジなどによる計算と実際の現金額が異なることを意味します。数量や程度などが多かったり少なかったり、ちょうど良いとは言えない状態を表す言葉です。
不足とは、足りないことや、満足でないことを意味します。上記の例文にある「栄養不足」とは、必要な栄養素が欠乏している状態を表し、「不足な顔をする」とは、不満げな表情をしていることを表します。過不足のように、多すぎることの意味はありません。
過不足と不足の英語表記の違い
過不足を英語にすると「deficiency and excess」「overs and shorts」となり、例えば上記の「正規雇用者の過不足感」を英語にすると「the feeling of excess and insufficiency of regular employees」となります。
一方、不足を英語にすると「shortage」「deficiency」「dissatisfaction」となり、例えば上記の「栄養不足」を英語にすると「nutritional deficiency」となります。
過不足の意味
過不足とは
過不足とは、多すぎることと足りないことを意味しています。
過不足の読み方
過不足の読み方は「かふそく」です。誤った「かぶそく」という読み方が広く浸透していますが、実は誤読になるので注意しましょう。
過不足の使い方
過不足を使った分かりやすい例としては、「事実を過不足なく伝える」「レジの画面に過不足金があると表示されている」「年末調整の過不足額を精算する」「英語の初級者が過不足なく伝えるのは難しい」などがあります。
その他にも、「過不足金の精算処理に手こずる」「過不足算の解き方を教えてもらった」「英語作文は単語を過不足なく使いましょう」「酸化銅と炭素が過不足なく反応する」「もし過不足ありましたらお知らせください」などがあります。
過不足の由来
過不足という言葉は、簿記の専門用語である「現金過不足」に由来します。明治時代の頃から、現金が多すぎたり足りなかったときに「過不足」と表現しました。現在ではお金に限らず、あらゆる数や程度などが適切でないことを表し、日常生活からビジネスシーンまで使われています。
表現方法は「過不足ない」「過不足なく」
過不足という言葉は、「過不足ない」「過不足なく」という言い回しで使われることが多い言葉です。「過不足なく伝える」のように、多すぎず少なすぎず、ちょうど良い程度であるさまを表します。
「過不足算」の意味
「過不足」を用いた日本語には「過不足算」があります。算数の文章題であり、「クッキーが何個かあります。1人に5個ずつ分けると3個余り、6個ずつ分けると3個不足します。クッキーは全部で何個ありますか。」のような、余っている状況と不足している状況から数量を求める計算のことです。
過不足の対義語
過不足の対義語・反対語としては、ある基準に過不足なく一致するさまを意味する「丁度」、少しの狂いもなく適合するさまを意味する「ぴったり」、程度などがほどよいことを意味する「適当」などがあります。
過不足の類語
過不足の類語・類義語としては、度が過ぎることと及ばないことを意味する「過不及」などがあります。
不足の意味
不足とは
不足とは、足りないこと、十分でないことを意味しています。
その他にも、「満足でないこと」の意味も持っています。
表現方法は「不足する」「不足を補う」「不足している」
「不足する」「不足を補う」「不足している」などが、不足を使った一般的な言い回しです。
不足の使い方
「鉄分は不足しがちな栄養素です」「水分不足を疑う」「不足分受取人払いが発生した」「英語の勉強が不足している」「英語の授業の不足分を補講します」「不足電圧継電器を購入する」などの文中で使われている不足は、「足りないこと」の意味で使われています。
一方、「相手にとって不足はない」「不足な点が残る」「不足を周囲に漏らす」「不足を言うのは時間の無駄です」などの文中で使われている不足は、「満足でないこと」の意味で使われています。
不足という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味があるため、文脈により捉える必要があります。「足りない」ことの意味では、「鉄分不足」「水分不足」のように「〇〇不足」と表現することが多く、この場合は「ふそく」ではなく「ぶそく」と読みます。
上記の例文にある「相手にとって不足はない」とは、勝負の相手が自分と互角に渡り合えるレベルであり、相手として相応しいことを意味します。
ことわざ「年に不足はない」の意味
不足という言葉を用いたことわざには「年に不足はない」があります。高齢でもう心残りはないこと、年齢が若すぎるということはないの二つの意味を持ちます。
不足の対義語
不足の対義語・反対語としては、必要な程度や数量を越えて多いことを意味する「過剰」、満ち足りることを意味する「充足」、一定の限度をこえることを意味する「超過」、心が満ち足りることを意味する「満足」などがあります。
不足の類語
不足の類語・類義語としては、必要な物事が欠けていることを意味する「欠如」、納得がいかず不満に思うことを意味する「不服」、納得できず不満であることを意味する「不平」、もの足りなく満足しないことを意味する「不満」、満足でないことを意味する「不満足」などがあります。
過不足の例文
この言葉がよく使われる場面としては、多すぎることと足りないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にあるように、過不足という言葉は「過不足なく」の言い回しで用いられることが多くあります。ちょうど良い状態を形容する表現です。例文5に関して、「過足」という言葉は存在しません。多すぎること、余っていることを表す言葉には「過多」「過剰」があります。
不足の例文
この言葉がよく使われる場面としては、欠けていること、満足でないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある不足は、「欠けていること」の意味で使われています。例文5の文中にある不足は、「満足でないこと」の意味で使われています。
過不足と不足という言葉は、どちらも足りないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、多すぎることと足りないことの両方を表現したい時は「過不足」を、足りないことのみを表現したい時は「不足」を使うようにしましょう。