似た意味を持つ「照査」(読み方:しょうさ)と「審査」(読み方:しんさ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「照査」と「審査」という言葉は、どちらも「調べて明らかにすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
照査と審査の違い
照査と審査の意味の違い
照査と審査の違いを分かりやすく言うと、照査とは照らし合わせて確認すること、審査とは詳しく調べて決定することという違いです。
照査と審査の使い方の違い
一つ目の照査を使った分かりやすい例としては、「速度照査装置を設置する」「照査と承認の手続きは社内システムで行います」「照査報告書に添付する資料を作成する」「耐震性能照査を外注する」などがあります。
二つ目の審査を使った分かりやすい例としては、「オーディションの書類審査に合格する」「コンテストの審査基準が不明確だ」「公安委員会に対する審査請求を行う」「ワクチンの審査報告書を公開する」などがあります。
照査と審査の使い分け方
照査と審査という言葉は、どちらも調べて明らかにすることを表し、主にビジネスシーンで使われていますが、意味や使い方には違いがあります。
照査とは、照らし合わせて調べることを意味します。上記の例文にある「耐震性能照査」とは、対象となる構造物が地震動に対して、要求される耐震性能を満足するかどうかをチェックするものです。必要とされる耐震性能と照らし合わせて、確認するものになります。
審査とは、詳しく調べて優劣や等級を決めたり、条件との適不適を決めることを意味します。上記の「書類審査」とは、提出した書類の内容を元に、評価する選考方法のことです。照査のように、何かに照らし合わせるという意味合いはありません。
つまり、照査は何かと照らし合わせることであり、審査はそのものを詳しく調べることです。また、照査の目的は確認することですが、審査の目的は優劣や等級を決定することです。これらが、照査と審査という言葉の明確な違いになります。
照査と審査の英語表記の違い
照査を英語にすると「checking」「examination by reference」となり、例えば上記の「速度照査装置」を英語にすると「speed checker device」となります。
一方、審査を英語にすると「examination」「inspection」となり、例えば上記の「審査に合格する」を英語にすると「pass an examination」となります。
照査の意味
照査とは
照査とは、照らし合わせて調べることを意味しています。
照査の使い方
照査を使った分かりやすい例としては、「設計業務照査の手引書を確認する」「施計画書を照査し承認する」「類語を照査して適格な語句を選ぶ」「原本も併せてお渡しします、ご照査ください」などがあります。
その他にも、「照査技術者と管理技術者は兼任できません」「国土交通省の通達により照査技術者を配置する」「昨年度の英語カリキュラムと照査する」「照査報告書の様式をダウンロードする」などがあります。
照査とは、 照合して調査することであり、何か基準になるものや参考になるものと突き合わせて調べることを意味します。主に、建築事業の設計業務において用いられている言葉です。
「照査技術者」の意味
上記の例文にある「照査技術者」とは、設計業務の成果物について技術上の照査を行う者のことです。公共事業の委託業務を発注するにあたり、受注業者に対して照査技術者や監理技術者の配置を求めることがあります。
「照査手続」の意味
照査を用いた日本語には「照査手続」があります。民事訴訟に関して、債権者が債務者の財産を強制執行をしようとしたときに別の債権者によって差し押えられていた場合、差押調書と対照して配当要求をする手続きのことです。
照査の類語
照査の類語・類義語としては、二つ以上のものを互いにくらべ合わせることを意味する「比較」、他の事柄やものと引き比べることを意味する「引照」、照らし合わせて参考にすることを意味する「参照」、問い合わせて確かめることを意味する「照会」などがあります。
審査の意味
審査とは
審査とは、詳しく調べて、適否・優劣・等級などを決めることを意味しています。
表現方法は「審査する」「審査を受ける」「審査が通る」
「審査する」「審査を受ける」「審査が通る」などが、審査を使った一般的な言い回しです。
審査の使い方
審査を使った分かりやすい例としては、「行政不服審査法に基づく不服申立てです」「審査事務規程データをダウンロードする」「輸出審査のための書類を英語で作成して下さい」「ピアノコンクールの審査員を務める」などがあります。
その他にも、「法律に基づき審査基準を定める」「英語ディベートの審査員に選ばれました」「審査なし後払い通販サイトです」「審査請求とはどのような手続きですか」「審査報告書には企業秘密が含まれています」などがあります。
審査とは、ある案件や事柄を審議して金額や合否などを決定することです。また、人柄や能力を詳しく調べ、ある条件に照らし合わせてその優劣や等級などを決めることも意味します。審査という言葉の「審」は物事の良し悪しを見分けること、「査」は明らかにすることを表します。
「審査請求」の意味
上記の例文にある「審査請求」とは、行政不服審査法による不服申し立ての一つです。行政庁の処分または不作為について、権限のある別の行政官庁に対してする救済の申し立てを意味します。
「国民審査」の意味
審査という言葉を用いた日本語には「国民審査」があります。国民が直接投票することによって,法律や公務員などの適否を審査する制度のことです。特に、最高裁判所裁判官を解職するか否かを国民投票によって決めることを表す言葉です。
審査の類語
審査の類語・類義語としては、ある基準をもとに異状の有無や適不適などを調べることを意味する「検査」、監督し検査することを意味する「監査」、物事の実態や動向などを明確にするために調べることを意味する「調査」、くわしく調べることを意味する「精査」などがあります。
照査の例文
この言葉がよく使われる場面としては、照らし合わせて調べることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある照査と精査の違いは、照査は何か比較するものがあり、精査は特に比較するものが無いことです。例文4の「設計照査」とは、設計業務の各段階において、照査技術者が仕様書や設計基準などと照合し、設計が適正かつ正確に作成されているかを審査することです。
審査の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 ある案件や事柄を審議して査定することを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「住宅ローンの審査」とは、マイホームを購入する際に利用するローンが組めるかどうか金融機関が審査することです。仮審査と本審査の二段階で行われます。例文5の「入国審査」とは、外国へ入国する際に、パスポートなどを用いて入国者の身元や渡航目的を審査する手続きです。
照査と審査という言葉は、どちらも「調べて明らかにすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、照らし合わせてチェックすることを表現したい時は「照査」を、詳しく調べて適否や優劣を決めることを表現したい時は「審査」を使うようにしましょう。