似た意味を持つ「真価」(読み方:しんか)と「本領」(読み方:ほんりょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「真価」と「本領」という言葉は、どちらも「人が備えている能力」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
真価と本領の違い
真価と本領の意味の違い
真価と本領の違いを分かりやすく言うと、真価とは人や物が持つ価値や能力、本領とは人が持っている優れた能力や特質という違いです。
真価と本領の使い方の違い
一つ目の真価を使った分かりやすい例としては、「建物に秘められた真価を見出す」「まさに真価が問われる1年になるだろう」「多様性の真価が問われる時代になっている」「私は組織でこそ真価を発揮できると思います」などがあります。
二つ目の本領を使った分かりやすい例としては、「ついに本領を発揮する時が来た」「まだまだ本領発揮とはいかない」「聴けば聴くほどスピーカーは本領を発揮します」「帰国子女が英語の授業で本領発揮する」などがあります。
真価と本領の使い分け方
真価と本領という言葉は、どちらも人が備えている能力や才能を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
真価とは、本当の価値を意味します。人や物に対して使われる言葉であり、真の価値や能力を表します。「真価を発揮する」とは、人や物の本来の価値や能力を十分に発揮することを意味し、持ち前の特性を表に出す場面で使用される表現です。
本領とは、その人の備えている本来の特質や優れた才能を意味します。基本的には人に対して使われる言葉ですが、比喩的に物についても使用することがあります。「本領を発揮する」とは、自分の持っている能力や持ち味などを存分に出すことを表します。
つまり、真価とは物や人の価値をフラットに表現する言葉であり、本領とは優れた才能や得意分野を表すプラスイメージの言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
真価と本領の英語表記の違い
真価を英語にすると「true value」「sterling worth」となり、例えば上記の「真価を見出す」を英語にすると「find one’s true value」となります。
一方、本領を英語にすると「characteristic quality」「real ability」「line」となり、例えば上記の「本領を発揮する」を英語にすると「display one’s real ability」となります。
真価の意味
真価とは
真価とは、本当の値うち、物や人のもつ真の価値や能力を意味しています。
真価の読み方
真価の読み方は「しんか」です。同じ読み方をする熟語に「進化」や「臣下」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
真価の使い方
真価を使った分かりやすい例としては、「英語教師としての真価が問われる」「長期戦での真価が発揮される」「これほどまで政治家の真価を問われる時代はなかった」「すべての人々が真価を発揮する社会にしよう」などがあります。
その他にも、「AIの真価を発揮するシステムを開発しました」「失敗した後の対処にこそ人の真価が問われる」「経済政策の面から政治の真価を問う」「グローバル社会で英語力の真価が問われる」などがあります。
真価の「真」は訓読みで「まこと」と読み、本当のことや偽りのないことを表します。物の値段や値打ちを表す「価」と結びつき、真価とは、本当の値打ちを意味し、物や人のもつ真の価値や能力を表します。
表現方法は「真価が問われる」
上記例文にある「真価が問われる」とは、人や物事の本質的な評価が判断されることを意味する言い回しです。これまで曖昧だった価値について、有益か無益か、必要か不要かといった判断が否応なく下される状況を表します。
真価の類語
真価の類語・類義語としては、その事物がどのくらい役に立つかの度合いや値打ちを意味する「価値」、その事柄にふさわしい価値を意味する「意義」、そのものが本来もっている姿や真面目を意味する「真骨頂」、価値や評価を意味する「バリュー」などがあります。
本領の意味
本領とは
本領とは、その人の備えている優れた才能や特質を意味しています。
その他にも、「中世、開発以来代々領有している私領」の意味も持っています。
本領の使い方
「初戦から本領を発揮する」「彼の本領発揮の姿に惚れ直した」「人は窮地に立たされた時に本領を発揮する」などの文中で使われている本領は、「その人の備えているすぐれた才能や特質」の意味で使われています。
一方、「御家人として本領の安堵を受けた」「本領安堵や新恩給与を約束された御家人はほんの一握りです」などの文中で使われている本領は、「中世、開発以来代々領有している私領」の意味で使われています。
本領とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「その人の備えているすぐれた才能や特質」の意味で用いられています。本領の「本」は物事の根源を表し、「領」は重要なところや自分のものとして所有し支配することを表す漢字です。
表現方法は「本領安堵」
本領を用いた日本語には「本領安堵」(読み方:ほんりょうあんど)があります。本領安堵とは、鎌倉時代や室町時代に、忠誠を誓った武士に対して、幕府や領主が領地の所有権を認めて保障したことを意味します。
本領の類語
本領の類語・類義語としては、性質や性能などで優れているところを意味する「長所」、そのものを強くさせている要素や利点を意味する「強み」、売り込むべき長所や人をひきつける魅力を意味する「売り」、取り立てて優れた点を意味する「取り柄」などがあります。
真価の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本当の値打ち、真の価値を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、真価という言葉は、人だけでなく物についても使用することができます。
本領の例文
この言葉がよく使われる場面としては、本来の特質、得意とするところ、特性、中世において開発以来代々相伝している私領を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある本領は、本来の特質、得意とするところの意味で用いられています。例文4や例文5の本領は、開発以来代々相伝している私領の意味で使われています。
真価と本領という言葉は、どちらも「人の能力」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人や物が持つ価値や能力表現したい時は「真価」を、人が持っている優れた能力や特質を表現したい時は「本領」を使うようにしましょう。