似た意味を持つ「戒める」(読み方:いましめる)と「諫める」(読み方:いさめる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「戒める」と「諫める」という言葉は、どちらも注意することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「戒める」と「諫める」の違い
「戒める」と「諫める」の意味の違い
「戒める」と「諫める」の違いを分かりやすく言うと、「戒める」とは目上の人から目下の人に使う言葉、「諫める」とは目下の人から目上の人に使う言葉という違いです。
「戒める」と「諫める」の使い方の違い
一つ目の「戒める」を使った分かりやすい例としては、「自らを戒めることにしました」「悪事を働かせた子を戒める」「学生の本分忘れないように戒める」「ルールを破った者は戒める必要がある」「彼女にスピードを出し過ぎないよう戒めた」などがあります。
二つ目の「諫める」を使った分かりやすい例としては、「主君の愚行を諫める」「酒を辞めるよう父を諫める」「自分の進退をかけて社長を諫める」「私たちは彼女の愚行を諫めました」などがあります。
「戒める」と「諫める」の使い分け方
「戒める」と「諫める」は似た意味と似た発音を持つ言葉ですが、使い方は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「戒める」は間違えないよう前もって注意すること、してはいけないと命ずること、同じ過ちを犯さないように叱ることを意味しており、目上の人から目下の人や自分自身に対して使う言葉になります。
一方、「諫める」は目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することを意味しており、目下の人から目上の人に対して使う言葉です。
つまり、「戒める」は目上の人から目下の人に使うのに対して、「諫める」は目下の人から目上の人に対して使う言葉というのが違いになります。
「戒める」と「諫める」の英語表記の違い
「戒める」を英語にすると「admonish」「warn」「scold」「ban」となり、例えば上記の「彼女にスピードを出し過ぎないよう戒めた」を英語にすると「I warned her not to drive too fast 」となります。
一方、「諫める」を英語にすると「remonstrate」「admonish」となり、例えば上記の「私たちは彼女の愚行を諫めました」を英語にすると「They remonstrated with him about her foolish behavior」となります。
「戒める」の意味
「戒める」とは
「戒める」とは、間違えないよう前もって注意することを意味しています。その他にも、してはいけないと命ずることや同じ過ちを犯さないように叱ることの意味も持っています。
「戒める」の読み方
「戒める」の読み方は「いましめる」です。誤って「かいめる」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「自分を戒める」「相手を戒める」「自らを戒める」
「自分を戒める」「相手を戒める」「自らを戒める」などが、「戒める」を使った一般的な言い回しになります。
「戒める」の使い方
「気を緩めないように戒める」「自分の将来について戒める」などの文中で使われている「戒める」は、「間違えないよう前もって注意すること」の意味で使われています。
一方、「この宗教は肉食を強く戒める」「嘘をついた息子を戒める」などの文中で使われている「戒める」は、「してはいけないと命ずることや同じ過ちを犯さないように叱ること」の意味で使われています。
「戒める」は一般的に過ちを犯さないために注意することの意味で使う言葉ですが、禁止や抑制の意味も含んでいます。また、犯した罪に対して叱るという意味も持っています。
「戒める」は目上の人から目下の人、または自分自身に対して使う言葉というのが特徴です。したがって、目下の人から目上の人に対して使用する場合は、「戒める」は使えないと覚えておきましょう。
「戒める」の語源
「戒める」の語源は忌み遠ざけることを意味する「忌ましむ」が由来です。「忌ましむ」は不吉なものとして避けることを意味する「忌む」に、助動詞の「しむ」が合わさった言葉になります。
本来「忌ましむ」は、外れた行動をしないように精神面の抑制や禁止することで遠ざけるという意味で使われていた言葉ですが、平安時代から具体的な行為に対して罰したり縛ったりするという意味で使われるようになりました。
そのため、「戒める」は間違えないよう前もって注意することだけではなく、してはいけないと命ずることや同じ過ちを犯さないように叱ることの意味も持っているのです。
「戒める」の類語
「戒める」の類語・類義語としては、過失や失態などを強く戒めることを意味する「戒告」、物事の理非や善悪を教え諭し戒めることを意味する「訓戒」、趣旨や理由を諭し告げることを意味する「諭旨」(読み方:ゆし)などがあります。
「諫める」の意味
「諫める」とは
「諫める」とは、目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することを意味しています。
「諫める」の読み方
「諫める」の読み方は「いさめる」です。誤って「かんめる」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「上司を諫める」「王を諫める」「父親を諫める」
「上司を諫める」「王を諫める」「父親を諫める」などが、「諫める」を使った一般的な言い回しになります。
「諫める」の使い方
「諫める」を使った分かりやすい例としては、「愚行が目に余るので先輩を諫める」「課長の歩きスマホを諫めることにしました」「煙草を辞めるよう父親を諫める」「不正に協力しようとした上司を諫める」などがあります。
「諫める」は目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することを意味する言葉で、意味にもあるように、目下の人から目上の人対して使うというのが特徴です。
そのため、目上の人から目下の人に対しては使用することができないと覚えておきましょう。もし、目下の人に対して忠告したいのであれば、「戒める」「たしなむ」「諭す」などを使うのが適しています。
「諫める」の語源
「諫める」の語源は古語の「いさむ」です。「いさむ」という言葉は禁止するという意味で使われていましたが、「諫める」に変化してからは禁止するという意味ではあまり使われなくなりました。
そのため、現代では目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することの意味で使うのが一般的になっています。
「諫める」の類語
「諫める」の類語・類義語としては、自分の思うところを述べて人の過ちを諫めることを意味する「意見」、目上の人の過失などを指摘して忠告することを意味する「諫言」(読み方:かんげん)、納得するように教え導くことを意味する「諭す」などがあります。
「戒める」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、間違えないよう前もって注意することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、してはいけないと命ずることや同じ過ちを犯さないように叱ることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「戒める」は間違えないよう前もって注意すること、例文4の「戒める」はしてはいけないと命ずること、例文5の「戒める」は同じ過ちを犯さないように叱ることの意味で使っています。
「諫める」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人に対してその過ちや悪い点を指摘して改めるように忠告することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「諫める」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「戒める」と「諫める」はどちらも注意することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人にから目下の人に対して使うのが「戒める」、目下の人にから目上の人に対して使うのが「諫める」と覚えておきましょう。