【強ち】と【強か】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「強ち」(読み方:あながち)と「強か」(読み方:したたか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「強ち」と「強か」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「強ち」と「強か」の違い

「強ち」と「強か」の意味の違い

「強ち」と「強か」の違いを分かりやすく言うと、「強ち」とは断定しきれない気持ちを表わすこと、「強か」とは粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないことを表現したい時という違いです。

「強ち」と「強か」の使い方の違い

一つ目の「強ち」を使った分かりやすい例としては、「彼の言ってることは強ち間違いではありません」「強ちそうとは限らない」「この問題を解くのは強ち不可能ではありません」「彼女の言ってることは強ち正しいとは限らない」などがあります。

二つ目の「強か」を使った分かりやすい例としては、「彼女は強かな女性です」「強かな造りの家を建てる」「氷で足を滑らせて腰と左足を強かに打った」「目標を達成するためには強かさが大切だ」などがあります。

「強ち」と「強か」の使い分け方

「強ち」と「強か」は文字は似ていますが、意味と読み方は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。

「強ち」は「あながち」と読み、「彼の言ってることは強ち間違いではない」「彼女の発言は強ち嘘ではない」のように、断定しきれない気持ちを表わすことを意味しています。

一方、「強か」は「したたか」と読み、粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないこと、強くてしっかりしていること、程度が甚だしいこと、分量が大変多いことなどの複数の意味を持っている言葉です。

「強ち」と「強か」の英語表記の違い

「強ち」を英語にすると「not necessarily」「not always」となり、例えば上記の「強ちそうとは限らない」を英語にすると「It is not necessarily so」となります。

一方、「強か」を英語にすると「severely」「heavily」「hard」「formidable」「difficult to deal with」となり、例えば上記の「彼女は強かな女性です」を英語にすると「She is a formidable woman」となります。

「強ち」の意味

「強ち」とは

「強ち」とは、断定しきれない気持ちを表わすことを意味しています。

表現方法は「強ち間違い」「強ち嘘ではない」「強ち悪くない」

「強ち間違い」「強ち嘘ではない」「強ち悪くない」などが、「強ち」を使った一般的な言い回しになります。

「強ち」の使い方

「強ち」を使った分かりやすい例としては、「今まで頑張ったことは強ち無駄ではなかった」「彼女の言う事は強ち嘘とは言い切れません」「彼の言うことはあ強ち間違いではないけど論点からはずれている」などがあります。

「強ち」とは断定しきれない気持ちを表わすことを意味しており、「〇〇ではない」という打消しの語を伴って、完全にそうとは決めきれないやまだ可能性があるというニュアンスで使うのが特徴です。

「強ち」はひらがなで「あながち」と書くのが一般的

「強ち」の「強」という漢字は広く一般的に使われている言葉ですが、「あながち」と読むのは表外音訓です。表外音訓とは、常用漢字表に載っている漢字なのですが、漢字表にはその読みがないことを意味しています。

そのため、公的な文章などでは、平仮名で「あながち」と記載するようにしましょう。

「強ち」の類語

「強ち」の類語・類義語としては、必ずというわけではない気持ちを表すことを意味する「必ずしも」、否定的な意味合いをやわらげたりむしろ逆に肯定したりする気持ちを表すことを意味する「満更」などがあります。

「強か」の意味

「強か」とは

「強か」とは、粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないことを意味しています。その他にも、強くてしっかりしていること、程度が甚だしいこと、分量が大変多いことの意味も持っています。

表現方法は「強かに酔う」「強かな女性」「強かに生きる」

「強かに酔う」「強かな女性」「強かに生きる」などが、「強か」を使った一般的な言い回しになります。

「強か」の使い方

「世の中を強かに生きる」「彼は強かな後見役です」などの文中で使われている「強か」は、「粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないことや強くてしっかりしていること」の意味で使われています。

一方、「彼女はもう強かに酔っていた」「台風に備えて強か食料を買い込む」などの文中で使われている「強か」は、「程度が甚だしいことや分量が大変多いこと」の意味で使われています。

「強か」はひらがなで「したたか」と書くのが一般的

「強か」の「強」という漢字は広く一般的に使われている言葉ですが、「したたか」と読むのは表外音訓です。表外音訓とは、常用漢字表に載っている漢字なのですが、漢字表にはその読みがないことを意味しています。

そのため、公的な文章などでは、平仮名で「したたか」と記載するようにしましょう。

「強か」の類語

「強か」の類語・類義語としては、程度や分量が甚だしいことを意味する「大層」、思い切ることを意味する「思い切り」、勇気があって何物をも恐れないことを意味する「勇猛」などがあります。

「強ち」の例文

1.今までやってきたことが強ち無駄ではないと思うと、少し救われた気持ちになりました。
2.この試験を合格するのはとても難しいが、強ち不可能ではありません。
3.彼女の言ってることは強ち間違いではないけれど、今の時代には合っていません。
4.彼女はとても動揺している。つまり、彼の推理は強ち間違いではないということです。
5.若い時の苦労するべきだという言葉は、強ち馬鹿にできないと思います。

この言葉がよく使われる場面としては、断定しきれない気持ちを表わすことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のような、「強ち間違いではない」という言い回しはよく使われています。

「強か」の例文

1.どんなに辛いことがあっても、強かに生きることを目標としています。
2.あの人は強かな人なので、このプロジェクトも無事乗り切ってくれるだろう。
3.この家はとても強かな造りをしているので、大型地震が来ても大丈夫だろう。
4.来週大型台風が来る予定なので、強か食料や水を買い込むことにしました。
5.ビール一本にウイスキーを三杯飲んで、彼はもう強かに酔っていました。

この言葉がよく使われる場面としては、粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、強くてしっかりしていること、程度が甚だしいこと、分量が大変多いことを表現したい時にも使います。

例文1と例文2の「強か」は粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないこと、例文3の「強か」は強くてしっかりしていること、例文4の「強か」は程度が甚だしいこと、例文5の「強か」は分量が大変多いことの意味で使っています。

「強ち」と「強か」は文字は似ていますが、意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、断定しきれない気持ちを表わすことを表現したい時には「強ち」を、粘り強くて他からの圧力になかなか屈しないことを表現したい時は「強か」を使うと覚えておきましょう。

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