似た意味を持つ「付和雷同」(読み方:ふわらいどう)と「唯々諾々」(読み方:いいだくだく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「付和雷同」と「唯々諾々」という言葉は、どちらも「他人に賛同すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
付和雷同と唯々諾々の違い
付和雷同と唯々諾々の意味の違い
付和雷同と唯々諾々の違いを分かりやすく言うと、付和雷同とは考えなしに賛同すること、唯々諾々とは異なる考えがあっても賛同することという違いです。
付和雷同と唯々諾々の使い方の違い
一つ目の付和雷同を使った分かりやすい例としては、「安易に付和雷同することなかれ」「人は世間に付和雷同しがちです」「付和雷同的な考え方はやめましょう」「多くの意見にすぐに付和雷同する輩ばかりだ」などがあります。
二つ目の唯々諾々を使った分かりやすい例としては、「上司の指示に唯々諾々として従った」「彼のわがままを唯々諾々と受け入れた」「いつも唯々諾々として服従している」「場を収めるために唯々諾々とするしかなかった」などがあります。
付和雷同と唯々諾々の使い分け方
付和雷同と唯々諾々という言葉は、どちらも自分の意見を言わずに他人に従うことを表すマイナスイメージの言葉です。二つの言葉は似たような使い方をされますが、厳密には意味の違いがあります。
付和雷同とは、自分に考えがなく他人の意見に安易に同調することを意味します。主体性がなく人に流される様子を表します。一方、唯々諾々とは、事の善悪に関わらず他人に従うさまを意味します。仮に自分の考えがあって納得していなくても、逆らわずに言うこと聞く時にも用いられる言葉です。
つまり、付和雷同とは自分の考えや意見がない時に用いられる表現であり、唯々諾々とは考えの有無に関係なく用いられる表現である、という違いがあります。
付和雷同と唯々諾々の英語表記の違い
付和雷同を英語にすると「following blindly」「following suit without reflection
」となり、例えば上記の「付和雷同することなかれ」を英語にすると「You should not follow others blindly」となります。
一方、唯々諾々を英語にすると「too compliant」「obedient」となり、例えば上記の「唯々諾々として」を英語にすると「obediently」となります。
付和雷同の意味
付和雷同とは
付和雷同とは、自分にしっかりとした考えがなく、他人の言動にすぐ同調することを意味しています。
付和雷同の読み方
付和雷同の読み方は「ふわらいどう」です。あやまって「つわらいどう」と読まないようにしましょう。
付和雷同の使い方
付和雷同を使った分かりやすい例としては、「閉鎖的集団では付和雷同的な行動が見られます」「すぐに付和雷同する社員ばかりです」「ポケモンのフワライドは付和雷同に由来する」「付和雷同しない自立した大人になって欲しい」などがあります。
その他にも、「付和雷同せず自分の意見を出しましょう」「付和雷同する人は信用できない」「以前は付和雷同の美学がありました」「日本人の付和雷同体質は危険です」「彼は付和雷同的にあいづちを打ってばかりだ」などがあります。
付和雷同という言葉の「付和」は、自分に確かな考えがなく容易に他人に同意すること、「雷同」は、雷の音に共振するように他人の意見に同調することを表します。付和雷同とは、自分に主義や主張がなく、節操もなく他人の意見に同調することを意味する四字熟語です。「雷同付和」とも言います。
付和雷同の語源
付和雷同の語源は、儒教の経典である「礼記」にあります。そこには「勦説する毋れ、雷同する毋れ」と記されており、むやみに他人の意見に同調するものではないと説いています。
付和雷同の対義語
付和雷同の対義語・反対語としては、他人に頼らず自分の力で信ずる道を進んでいくことを意味する「独立独歩」、初めに心に決めた志を最後まで貫き通すことを意味する「初志貫徹」、人と協調するが安易に同調したり雷同したりすることはないことを意味する「和して同ぜず」などがあります。
付和雷同の類語
付和雷同の類語・類義語としては、深く考えずに軽々しく行動することを意味する「軽挙妄動」、他人の意見などに対して賛成することを意味する「同意」、他人の意見や提案などに賛成や同意することを意味する「賛同」などがあります。
唯々諾々の意味
唯々諾々とは
唯々諾々とは、物事のよしあしに関わらず、何事にもはいはいと従うさまを意味しています。
唯々諾々の使い方
唯々諾々を使った分かりやすい例としては、「私は唯々諾々と父の命令に従うよりほかありません」「唯々諾々と従わないと何をされるか分かりません」「唯々諾々を英語の機密文書を翻訳しました」などがあります。
その他にも、「彼の提案に唯々諾々として賛成しました」「このまま唯々諾々と従っていて良いのだろうか」「我儘な彼女の要望に唯々諾々と応じる」「会議での唯々諾々はふさわしい行動ではありません」などがあります。
唯々諾々は「唯唯諾諾」とも書く
唯々諾々は、少しも逆らわずに他人の言いなりになるさまを意味する四字熟語です。「唯唯諾諾」とも書きます。唯々諾々の「唯々」とは、はいはいと他人の言うがままになるさまを表し、「諾々」とは、他人の言葉に逆らわないで承諾することを表します。
唯々諾々の由来
唯々諾々という言葉は、中国の古典に由来する故事成語です。中国戦国時代の思想書「韓非子」のなかに「主いまだ命ぜずして唯唯、使わずして諾諾」とあり、召し使いや側近が主人に気に入るように振る舞う様子を表現しています。
唯々諾々の対義語
唯々諾々の対義語・反対語としては、気が進まないままにするさまを意味する「不承不承」、公正に善悪を判断することを意味する「是々非々」、いろいろ理由や理屈を言って従わないことを意味する「ああ言えばこう言う」などがあります。
唯々諾々の類語
唯々諾々の類語・類義語としては、何でも人の言いなりになることを意味する「百依百順」、性質や態度などがすなおで人に逆らわないことを意味する「従順」、人の言うことに何でも無批判に従う人を意味する「イエスマン」などがあります。
付和雷同の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主義主張を持たず、軽々しく他人の説に同調することを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「付和雷同的」とは、主体性がなく他の意見に安易に同調するような性質を持っていることを表します。「的」は名詞に付いて、そのような性質を持つ意味を持たせます。
唯々諾々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少しも逆らわずに他人の言いなりになるさまを表現したい時などが挙げられます。
唯々諾々という言葉は例文4や例文5にあるように、たとえ自分が納得していなくても、逆らわずに他人の言いなりなる場合にも用いられます。
付和雷同と唯々諾々という言葉は、どちらも他人に賛同することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、考えなしに安易に賛同することを表現したい時は「付和雷同」を、考えがあっても逆らわずに賛同することを表現したい時は「唯々諾々」を使うようにしましょう。