【鋭意】と【誠意】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「鋭意」(読み方:えいい)と「誠意」(読み方:せいい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「鋭意」と「誠意」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




鋭意と誠意の違い

鋭意と誠意の意味の違い

鋭意と誠意の違いを分かりやすく言うと、鋭意とは集中して努力することを表し、誠意とは嘘偽りがない正直な心を表すという違いです。

鋭意と誠意の使い方の違い

一つ目の鋭意を使った分かりやすい例としては、「弁護士は鋭意被害者の救済に努めた」「入学案内は鋭意作成中です」「安心な医療が提供できるよう鋭意努力していく所存です」「全容解明に向けて捜査を鋭意進める」などがあります。

二つ目の誠意を使った分かりやすい例としては、「客は店の誠意がない対応に腹を立てている」「誠意を表すために土下座して謝るつもりだ」「クレームには誠意をもって対処します」「誠意が感じられない説明だった」などがあります。

鋭意と誠意の使い分け方

鋭意と誠意という言葉は、気持ちや心を表す「意」という共通する漢字を持ちますが、意味や使い方には大きな違いがあります。

鋭意とは、気持ちを集中して努力することを意味します。上記の例文にある「鋭意努力する」とは、ある物事に気持ちを集中させて、一生懸命に尽くすことを表します。

誠意とは、嘘や偽りがなく、熱心に事にあたる心を意味します。上記の「誠意がない対応」とは、対応に真心がなく、相手に不信感を募らせるような対応のことです。

二つの言葉は音の響きが似ているため、混同して使われることがありますので注意して下さい。

鋭意と誠意の英語表記の違い

鋭意を英語にすると「eagerly」「diligently」「wholeheartedly」となり、例えば上記の「鋭意救済に努めた」を英語にすると「work assiduously to help」となります。

一方、誠意を英語にすると「sincerity」「good faith」「earnestness」となり、例えば上記の「誠意がない」を英語にすると「without sincerity」となります。

鋭意の意味

鋭意とは

鋭意とは、気持ちを集中して励むことを意味しています。

鋭意の使い方

鋭意を使った分かりやすい例としては、「商談用の資料を鋭意作成中です」「鋭意製作中のオブジェは来年の春に完成予定です」「電気系統の復旧に向けて鋭意対応中でございます」「サッカーチームのポスターを鋭意制作中です」などがあります。

その他にも、「これからも鋭意努力して参ります」「開催に向けての準備を鋭意進めています」「社に持ち帰って鋭意検討させていただきます」「日本アニメの英語吹き替え版を鋭意制作中です」などがあります。

鋭意という言葉の「鋭」は訓読みで「するどい」と読み、感覚や頭脳がとぎ澄まされ、すばやく的確に働くさまを表します。鋭意とは、気持を集中させて努力することを意味し、一生懸命に取り組むさまを表す言葉です。「鋭意作成中」「鋭意検討中」などのように、副詞的に用いています。

「鋭意検討します」「鋭意作成中」の意味

鋭意は、日常生活ではあまり使われませんが、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。「鋭意検討します」とは、ある事案に対して真摯な気持ちでよく考えることを意味します。「鋭意作成中」とは、気持ちを集中させて作成しているところであることを意味します。

「誠心鋭意」は誤り

鋭意も用いた誤った使い方には「誠心鋭意」があります。正しくは「誠心誠意」であり、純粋な真心を持った誠実な態度を表します。

鋭意の対義語

鋭意の対義語・反対語としては、集中力に欠けるさまを意味する「散漫」、怠けてだらしないことを意味する「怠惰」などがあります。

鋭意の類語

鋭意の類語・類義語としては、心を一つのことに集中することを意味する「専心」、一つのことだけに熱心になることを意味する「専念」、一つに熱中して他を顧みないことを意味する「没頭」、心を打ち込むことを意味する「没入」、その事に全精力を注ぐことを意味する「打ち込む」などがあります。

誠意の意味

誠意とは

誠意とは、私利私欲を離れて、正直に熱心に事にあたる心を意味しています。

表現方法は「誠意を示す」「誠意を持つ」「誠意を感じる」

「誠意を示す」「誠意を持つ」「誠意を感じる」などが、誠意を使った一般的な言い回しです。

誠意の使い方

誠意を使った分かりやすい例としては、「誠心誠意尽力して参ります」「できる限りの誠意を示すつもりです」「迷惑をかけた友達にチャーシュー丼をおごって誠意をみせた」「誠意を示すことが大切です」「私欲にかられた誠意のない人だ」などがあります。

その他にも、「誠意をもって対応して頂き感謝しています」「トラブルになった相手に誠意って何かねと迫られた」「誠意は言葉ではなく金額で示せ」「誠意をもって英語ボランティアを務める」などがあります。

誠意という言葉の「誠」は訓読みで「まこと」と読み、うそ偽りのない心や真心を表します。誠意とは、自分の利益を考えずに、相手の立場をくみとって正直な態度で接する心を意味する言葉です。

「誠意のない人」「誠意がない人」の意味

上記の例文にある「誠意のない人」「誠意がない人」とは、発言や行動に誠実さが感じられず、自分の利益を第一に考えるような言動をとる人のことです。また、口先だけで実際の行動が伴わなかったりする人のことも指します。

「誠意大将軍」「誠意作成中」は誤り

誠意を用いた誤った表現には「誠意大将軍」「誠意作成中」があります。「誠意大将軍」は、蝦夷征討のためにつかわされた軍隊の大将を意味する「征夷大将軍」の誤りであり、「誠意作成中」は前述した「鋭意作成中」の誤りです。

誠意の対義語

誠意の対義語・反対語としては、誠意や情味に欠けていることを意味する「不実」、誠実でないことを意味する「不誠実」、よこしまな心や悪心を意味する「邪心」などがあります。

誠意の類語

誠意の類語・類義語としては、偽りや飾りのない心を意味する「真心」、 うそ偽りのない気持ちを意味する「真情」、誠実な気持ちや真心を意味する「実」、私利私欲をまじえず真心をもって対することを意味する「誠実」などがあります。

鋭意の例文

1.パンフレットは鋭意作成中のため、12月中旬から順次発送の予定となっております。
2.お客様にご満足頂けるサービスご提供できるよう、鋭意精励する所存でございます。
3.大学入学者選抜における民間英語試験の活用について、鋭意検討を行って参ります。
4.政治に対する国民の信頼を回復するためにも、山積する課題の解決に鋭意努力します。
5.日々の営為をおろそかにせず、なすべきことを鋭意努めることが大事です。
6.御社の新製品の情報を追加したホームページは、明日の午前10時にはUPできるようただいま鋭意製作中です。
7.この国で教育を受けられる女性は限られている。それゆえか、鋭意熱心に勉学に励む学生が多く、教える側にも気合が入る。
8.経営陣は会社の経営再建に鋭意努力していく所存ですと口では言っていたが、結局何も変わらなかったじゃないか。
9.次のゲームイベントはスタッフ総出で鋭意準備中ですので、皆さん楽しみに待っててくださいね。
10.台風による大規模な停電について、電力会社は会見を開き、現在作業員を総動員して鋭意対応中だと言った。

この言葉がよく使われる場面としては、気持を集中して励むことを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「鋭意精励」とは、物事に懸命に取り組むことを意味します。「精励」は、勉学や仕事などに精を出してつとめ励むことです。例文5にある「営為」は、人間が日々いとなむ仕事や生活人間が日々いとなむ仕事や生活を意味する「鋭意」の同音異義語です。

誠意の例文

1.我が子が通う幼稚園の先生は、いつも子供の様子を細かく教えてくれて誠意を感じる。
2.騒音問題を放置するマンション管理会社の誠意を欠く対応には、不満が募る一方です。
3.ビジネスでミスをした際には、すぐに謝罪したうえで誠意をもって対応すべきです。
4.手っ取り早く誠意を表すには、相手にお金を渡すことが一番なのかもしれない。
5.彼女に浮気を疑われているようだが、誠意を示すにはどうしたら良いのだろうか。
6.モンスタークレーマーの夫婦は店長を呼びつけた挙句、誠意を見せろと言い、土下座を要求してきたのだ。
7.相手は傷ついているのだから最初は信用されないだろう。しかし君が誠意をもって接し続ければ相手もきっと分かってくれるはずだ。
8.買った商品に破損があった時に、お店のスタッフの方が誠意をもって対応していただいたので、かえって印象が良くなった。
9.いまの職場はまわりへの誠意なんかなくとも、結果を出せば認められるような合理的な職場だったのでとても気が楽だった。
10.あの方には生前大変お世話になったので、あの方のご子息であれば誠心誠意面倒を見させてもらうつもりだ。

この言葉がよく使われる場面としては、 私利私欲やよこしまな考えを捨て、相手の立場をくみとって正直な態度で接する心を表現したい時などが挙げられます。

例文2の「誠意をもって」とは、嘘偽りがないさま、真心があるさまを意味します。「もって」は手段や方法を示す連語です。「持ちて」の音が変化したものですが、漢字では「以て」と表記します。

鋭意と誠意という言葉は、似ていますが意味は全く異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、気持ちを集中して励むことを表現したい時は「鋭意」を、嘘偽りのない正直な心を表現したい時は「誠意」を使うようにしましょう。

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