【僭越】と【恐縮】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「僭越」(読み方:せんえつ)と「恐縮」(読み方:きょうしゅく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「僭越」と「恐縮」という言葉は、どちらも申し訳なさを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。



僭越と恐縮の違い

僭越と恐縮の違いを分かりやすく言うと、僭越とは自分の立場を超えたことをしているようで申し訳ないという気持ち、恐縮とは相手に迷惑をかけているようで申し訳ないという気持ちを意味しているという違いです。

ただしこれらの言葉は社交辞令として使われる傾向があるので、心から申し訳なさを感じていない場合でも使われます。僭越も恐縮も、謙遜するために使われる言葉と考えることが出来ます。

一つ目の「僭越」は「自分の立場や地位などを超えて分不相応なことをする」という意味の言葉です。「僭越ながら」「僭越ですが」「僭越ではありますが」などの形で使われる時に、ある種の申し訳なさや謙遜の気持ちを示す言葉になります。

僭越という言葉は「僭越ながら」という感情の意味で使われること圧倒的に多いですが、「君、それは少し僭越が過ぎるんじゃないか」などのように、「身の丈に合わないことをする」という意味で使われることもあります。

二つ目の「恐縮」は「相手に迷惑をかけたり、世話を焼いてもらったりして申し訳ないという気持ち」を意味する言葉です。僭越はそれ自体では感情の意味にはなりませんが、恐縮はそれ自体で感情を表現しています。

恐縮という言葉の意味する申し訳なさは、謝罪したいという気持ちではなく、相手に対する感謝が混じった気持ちです。例えば「お返事いただき恐縮です」には、「相手の手を煩わせて申し訳ない」と「返事をくれてありがとうございます」が入り混じっています。

僭越の意味

僭越とは、自分の地位や立場を超えたことをすることを意味しています。「ただの門外漢の僭越です」と言えば、専門家が口を出すべきところに素人が意見をした、というような状況が想像されます。

僭越の僭は「おごる、いばりちらす」という意味の常用外漢字で、越は「とびこえる」という意味です。

自分の能力を過信して職務や権限の範囲を超えたことをする、他人の領分にまで入ってくることが周囲の人から見れば偉そうに感じられる、というイメージで考えると僭越という言葉の意味が分かりやすくなります。

この言葉は多くの場合「僭越ながら」という形で使われます。「僭越ながら」には、申し訳なさや謙遜の念が含まれています。「差し出がましいようですが」や「恐れながら」などと同じ意味の表現です。

「僭越ながら、一言よろしいでしょうか」は、自分は発言すべき立場にはいないけども、どうしても一言言わずにはいられないので、許していただきたい、というような意味を含んでいます。

また「僭越ながら、昨日の書類の不備をまとめておいたよ」は、書類のチェックは自分の仕事ではないけれどもやっておいた、出過ぎたまねだと思ったならすまない、というようなニュアンスの言葉です。

ただし、「僭越ながら」は本当に申し訳ないという気持ちを表現している場合もあれば、単なる謙遜を表現している場合もあり、言葉の形だけからは判断が出来ないので、意味を読み取ることが必要になります。

僭越の類語・類義語としては、自分の持つ権限を越えて物事をすることを意味する「越権」、求められていないのに口出ししたりすることを意味する「出しゃばる」、遠慮がなく図々しいことを意味する「しゃしゃり出る」などがあります。

僭越の対義語・反対語としては、出過ぎたまねをしないようにいましめることを意味する「戒心」、限度を超えないように控えめにすることを意味する「節制」などがあります。

僭越の僭の字を使った別の言葉としては、古代ギリシアの都市国家における独裁者を意味する「僭主」、身分を越えた地位や称号などを名乗ることを意味する「僭称」などがあります。

僭越の越の字を使った言葉としては、技量などが他よりも飛びぬけて優れていることを意味する「卓越」、他の物よりも勝っていることを意味する「優越」、範囲を飛び越えていることを意味する「超越」などがあります。

恐縮の意味

恐縮とは、相手に迷惑になったり、相手に厚意を受けたりして申し訳なく思う気持ちを意味しています。「ご心配をおかけして恐縮です」や「恐縮ですが、何かお困りですか」などのように使われます。

恐縮という言葉は、少し古い用法では、「恐ろしさに身がすくむ」という意味でしたが、今日ではもっぱら申し訳なさを表す言葉として使われており、ビジネスシーンでもよく耳にします。

恐縮という言葉の意味する申し訳なさは、相手に対して謝罪したいという気持ちではありません。恐縮には、相手に対する感謝が混じっています。

例えば「お電話いただき恐縮です」は、「相手に面倒をかけた、煩わせた」という謝罪の意味と、「返事をくれてありがとうございます」という感謝の意味が掛け合わされています。

また恐縮は「恐れ多い」とも異なります。恐れ多いという言葉は、目上の人に対して使われる言葉であるのに対して、恐縮は丁寧な言葉ではあっても必ずしも目上の人に対して使われる言葉ではありません。

怖れ多いは、例えば「恐れ多いお言葉です」というように使われます。目上の人から褒美などを貰い、それが自分の身に余ってもったいないということを表現しています。

また「恐れ多いことですが、申し上げます」のように目上の人に対して無礼を働くかもしれない時に、予め断りを入れるために使われます。

恐縮の類語・類義語としては、目上の人に対して敬う気持ちを表すために堅苦しい態度を取ることを意味する「かしこまる」などがあります。

恐縮の恐の字を使った別の言葉としては、びくびくすることを意味する「戦戦恐恐」などがあります。

恐縮の縮の字を使った別の言葉としては、自分より目上の人や、権限や力の強い人の前で恐れて小さくなることを意味する「畏縮」、しぼんで小さくなることを意味する「萎縮」などがあります。

僭越の例文

1.今回の計画には大きなミスがあると、僭越ながら申し上げます。
2.僭越ながら、ご指名を受けましたので、乾杯の挨拶をさせていただきます。
3.僭越なお願いではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
4.僭越ではございますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
5.昨日の質問は私の僭越でした。申し訳ありませんでした。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の立場や地位、権限などを越えて事をなすことを表現したい時などが挙げられます。僭越という言葉は、例文1から4のように「何々ですが」という譲歩の表現で使われる傾向があります。

しかしこの言葉の元々の意味は、立場や地位や権限を越えて、出過ぎたまねをするということです。なので例文5のように、「行動が行き過ぎている、度を越している」というそのままの意味で、この言葉が使われることもあります。

恐縮の例文

1.この間のお礼にこんな豪華なものを頂いちゃって、かえって恐縮です。
2.身に余るお褒めの言葉を頂き、恐縮の至りでございます。
3.大変恐縮ですが、週明けの月曜日までにご返信いただければ幸いです。
4.お忙しいところ恐縮ですが、何とか都合をつけていただくことは出来ないでしょうか。
5.私のような者が、このような場に立たせていただき、恐縮しております。

この言葉がよく使われる場面としては、相手に対する申し訳なさを表現したい時などが挙げられます。相手に迷惑をかけたり、厚意にしてもらったりして、相手にある種の申し訳なさを感じることが恐縮です。この言葉はビジネスでもよく使われます。

例文1の「かえって恐縮」の「かえって」というのは、お礼が豪華だからです。何かをあげた代わりにお礼をされるのは理に適っていることですが、お礼が大きすぎると、かえって申し訳なくなるということです。

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