【落とし前】と【けじめ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「落とし前」(読み方:おとしまえ)と「けじめ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「落とし前」と「けじめ」という言葉は、どちらも自分の失敗の責任を取ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「落とし前」と「けじめ」の違い

「落とし前」と「けじめ」の意味の違い

「落とし前」と「けじめ」の違いを分かりやすく言うと、「落とし前」よりも「けじめ」の方が上品な表現という違いです。

「落とし前」と「けじめ」の使い方の違い

一つ目の「落とし前」を使った分かりやすい例としては、「喧嘩の落とし前をつけることになりました」「私を騙した落とし前、どうつけるつもりだ」「不倫の件についてはしっかりと落とし前つけてもらう予定です」「あなたはどう落とし前をつけるつもりですか」などがあります。

二つ目の「けじめ」を使った分かりやすい例としては、「遊ぶのは結構だが大学生としてのけじめもつけた方がいいだろう」「娘が生まれるのでけじめとして煙草を辞めることにした」「私は良いことと悪いことのけじめをつける」などがあります。

「落とし前」と「けじめ」の使い分け方

「落とし前」と「けじめ」はどちらも自分の失敗の責任を取ることを意味する言葉で大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「落とし前」よりも「けじめ」の方が上品表現という点です。

ではなぜ、「落とし前」が上品な言葉ではないのかというと、的屋が語源の言葉だからです。的屋とは盛り場や縁日など人出の多い所に店を出し、いかがわしい品物などを売る商人のことを意味しています。したがって、「落とし前」はやや下品な表現になっています。

「落とし前」と「けじめ」の英語表記の違い

「落とし前」を英語にすると「pay」となり、例えば上記の「あなたはどう落とし前をつけるつもりですか」を英語にすると「How would you pay for this」となります。

一方、「けじめ」を英語にすると「distinction」となり、例えば上記の「私は良いことと悪いことのけじめをつける」を英語にすると「I make a distinction between right and wrong」となります。

「落とし前」の意味

「落とし前」とは

「落とし前」とは、揉め事の後始末のことを意味しています。

表現方法は「落とし前をつける」「落とし前つけろ」

「落とし前をつける」「落とし前つけろ」などが、「落とし前」を使った一般的な言い回しになります。

「落とし前」の使い方

「落とし前」を使った分かりやすい例としては、「騙された人たちへの落とし前はどうするつもりなのだろうか」「この件に関しては心の中で落とし前がついていました」「落とし前をつけるまではここから出すわけにはいきません」などがあります。

「落とし前」は日常生活やビジネスシーンではほとんど使う機会がない言葉です。主に任侠映画やアニメなどの創作物において使われています。

また、「落とし前」は「落とし前をつける」の形で使うのがほとんどで、脅しと捉えることもできる暴力的な表現です。したがって、他人に対して使うのはあまり好ましくない言葉になります。

「落とし前」の語源

「落とし前」の語源は的屋や香具師が使っていた隠語です。的屋や香具師とは、盛り場、縁日、祭礼などに露店を出して商売したり、見世物などの興行をしたりする人のことを意味しています。

「落とし前」は元々、的屋や香具師がお店に来店したお客と交渉をして、適当な額まで値段を下げることの意味で使われていました。

これが転じて、他人との揉め事の間に入って上手く収めることの意味で使われるようになり、さらに転じて揉め事の後始末のことの意味になったのが現代の「落とし前」になります。ちなみに、「落とし前」の「前」とは金額のことを指しています。

「落とし前」の類語

「落とし前」の類語・類義語としては、結末をつけることや決着をつけることを意味する「けりをつける」、物事の済んだ後を片付けることを意味する「後始末」などがあります。

「けじめ」の意味

「けじめ」とは

「けじめ」とは、道徳や規範によって行動や態度に示す区別のことを意味しています。その他にも、連続する物事などの境目ことの意味も持っています。

表現方法は「けじめをつける」「けじめをとる」「けじめがない」

「けじめをつける」「けじめをとる」「けじめがない」などが、「けじめ」を使った一般的な言い回しになります。

「けじめ」の使い方

「夫婦の間にもけじめは必要だと思います」「この件に関してのけじめはつけてもらうよ」などの文中で使われている「けじめ」は、「道徳や規範によって行動や態度に示す区別のこと」の意味で使われています。

一方、「季節のけじめには毎回特別な料理を食べています」「悪い習慣にけじめをつけることにしました」などの文中で使われている「けじめ」は、「連続する物事などの境目こと」の意味で使われています。

「けじめ」は道徳や規範によって行動や態度に示す区別のこと、連続する物事などの境目ことという二つの意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているのは道徳や規範によって行動や態度に示す区別のことの意味になります。

「けじめ」は「落とし前」とは異なり暴力的な表現ではないので、日常生活やビジネスシーンなどで使うことが可能と覚えておきましょう。

「けじめ」の類語

「けじめ」の類語・類義語としては、物事の切れ目のことを意味する「区切り」、物事の区切りのことを意味する「折り目」、行き過ぎのない適当な程度のことを意味する「節度」、深く心をくだいて理性ある判断を下すことを意味する「思慮分別」などがあります。

「落とし前」の例文

1.彼氏が浮気をしていることが分かったので、どう落とし前をつけてもらおうか悩んでいます。
2.この間の携帯を壊した件については、必ず落とし前つけてもらいますよ。
3.これ以上禍根を残さないためにも、しっかりと落とし前をつけておいた方がいいと思います。
4.彼をこの試合のスタメンから外すことで、落とし前はついただろう。
5.あなたの投資話に乗ったせいで大損してしまった、この落とし前どうしてくれるつもりだ。
6.友人が女性問題でもめているが元はといえば奴がまいた種なので、しっかり落とし前をつけたほうがいいぞと忠告した。
7.テレビメディアは活字に残らないことをいいことに野放図にやっていたのだから、しっかり落とし前を付けてもらう必要があるだろう。
8.お前が自己解決するのは勝手だが、振り回された人たちへの落とし前は、いったいどうしてくれるのだ。
9.父親との確執については少なくとも、僕の心の中では落とし前がついていたが、相手はそう思っていないらしい。
10.今日はこの辺にしておいてやるが、落とし前は必ずつけてやるからな!これで済むと思うなよ!

この言葉がよく使われる場面としては、揉め事の後始末のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「落とし前」はやや下品な表現になります。

「けじめ」の例文

1.同棲していた彼女が妊娠したので、けじめをつけるために結婚することにしました。
2.親子という血の繋がった家族であっても、けじめは必要だと私は思います。
3.国会で不適切な発言をした議員が、けじめを取って辞任したいうニュースが流れてきました。
4.結婚に繋がることがなさそうなので、彼との関係にけじめをつけることにしました。
5.季節のけじめには家族で集まって、みんなで食卓を囲むのが我が家の仕来りです。
6.テレワークをするようになってから仕事とプライベートのけじめをつけにくくなり、今までより不規則な生活になってしまったのでスケジュールを立てることにした。
7.いくら家族だからといって、お金の貸し借りが”なあなあ”になってはいけません。時にはけじめも必要です。
8.先日の健康診断で悪い数値が出てしまったので、夜更かししてラーメンを食べる悪習慣にけじめをつけることにしました。
9.仕事で時間のけじめをつけられなければ、数百万の損失が出ると上司から口を酸っぱくして言われていました。
10.生活では何事も、やるときはやる、休むときは休むというふうに、けじめをつけることが大事だ。

この言葉がよく使われる場面としては、道徳や規範によって行動や態度に示す区別のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、連続する物事などの境目のことを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「けじめ」は道徳や規範によって行動や態度に示す区別のこと、例文4と例文5の「けじめ」は連続する物事などの境目のことの意味で使っています。

「落とし前」と「けじめ」はどちらも自分の失敗の責任を取ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「落とし前」よりも「けじめ」の方が上品な表現と覚えておきましょう。

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