同じ「おちる」という読み方の「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」という言葉は同音の言葉ですが、意味は少し異なりますのでご注意下さい。
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の違い
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の意味の違い
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の違いを分かりやすく言うと、「落ちる」は下へと動くことを表現する時に使い、「堕ちる」は実体のないものが下に動くことを表す時に使い、「墜ちる」は物体が落下して崩れることを表す時に使うという違いです。
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の使い方の違い
「落ちる」という言葉は、「落ちたものを拾って食べるようなことはしないでほしいと言われた」「地震が来た場合、棚の上にある物が落ちてきてしまいそうだ」などの使い方で、上から下へ移動することや下がることを意味します。
「堕ちる」という言葉は、「地獄に堕ちてもおかしくないような所業を重ねる男性がいるとは思わなかった」「悪事が行われていたとなれば彼の権威も堕ちることだろう」などの使い方で、落ちぶれることや悪い状態に陥ってしまうことを意味します。
「墜ちる」という言葉は、「あんな高所から墜ちることになったら一溜りもない」「飛行機に乗るたびに墜ちてしまわないか不安になる」などの使い方で、物理的に落下することや下降させることを意味します。
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」の使い分け方
「堕ちる」と「墜ちる」は、どちらも下へ落下することを意味する言葉ですが、前者は悪い状態に陥る時に使い、後者は物理的に何かが落下する時に使われています。
一方の「落ちる」は、「堕ちる」と「墜ちる」が常用漢字音訓表にはないことから、ほとんどの「おちる」で使うことができる表記です。そのため、「堕ちる」や「墜ちる」の意味も含んでいます。
これが、「落ちる」、「堕ちる」、「墜ちる」の明確な違いです。
「落ちる」の意味
「落ちる」とは
「落ちる」とは、上から下へ移動することや下がることを意味しています。
表現方法は「ブレーカーが落ちる」「恋に落ちる」「憑き物が落ちる」
「ブレーカーが落ちる」「恋に落ちる」「憑き物が落ちる」などが、「落ちる」を使った一般的な言い回しです。
「落ちる」を使った言葉として、「腑に落ちる」「猿も木から落ちる」があります。
「腑に落ちる」の意味
一つ目の「腑に落ちる」とは、納得がいくことや合点がいくことを意味する慣用表現です。「腑」は内臓を意味する言葉ですが、心という意味もあります。そのため、その心にまで他者の考えなどが落ちて理解や納得ができた状態を言うようになりました。
「猿も木から落ちる」の意味
二つ目の「猿も木から落ちる」とは、優れている技芸などにおいてでも時には失敗をすることもあるということを例えたことわざです。「弘法にも筆の誤り」や「上手の手から水が漏れる」、「河童の川流れ」なども同じようなことわざに当たります。
「落ちる」の対義語
「落ちる」の対義語・反対語としては、試験などに合格することを意味する「受かる」があります。
「落ちる」の類語
「落ちる」の類語・類義語としては、価格や評価などが下がって悪くなることを意味する「低落」、物事の価値などが下がることを意味する「下落」、減って少なくなることを意味する「減退」、選ばれないことを意味する「落選」などがあります。
「堕ちる」の意味
「堕ちる」とは
「堕ちる」とは、落ちぶれることや悪い状態に陥ってしまうことを意味しています。
「堕ちる」は「おちる」という読み方をしますが、「堕つ」と送り仮名を変えた場合には「こぼつ」という読み方をし、破壊することや削ることを意味する言葉となります。
「地に堕ちる」の意味
「堕ちる」を使った表現として「地に堕ちる」があります。これは盛んであった評判や権威などが衰退、失墜することを意味する言葉ですが、「地に落ちる」と表記されることがほとんどです。
表現方法は「堕ちるところまで堕ちる」「狂気に堕ちる」「地獄に堕ちる」
その他にも、「堕ちるところまで堕ちる」「狂気に堕ちる」「地獄に堕ちる」などの表現がありますが、どれも人間が生活をしていく中で、幸せと言える状態になれないのはもちろん、精神的に安定しない状態を表す際にも使われます。
ただし、「堕ちる」という表記は物語文などでは多く見られるものの、常用漢字音訓表にないため、「落ちる」という表記が一般的です。
「堕ちる」の類語
「堕ちる」の類語・類義語としては、物事が本来持っている価値を失うことを意味する「堕落」、純粋な心が失われてダメになることを意味する「腐る」、落ちぶれて身を持ち崩すことを意味する「淪落」などがあります。
「墜ちる」の意味
「墜ちる」とは
「墜ちる」とは、物理的に落下することや下降させることを意味しています。その他にも、失うことも意味します。
表現方法は「飛行機が墜ちる」「谷へ墜ちる」「星を撃ち墜とす」
「墜ちる」を使った表現として、「飛行機が墜ちる」「谷へ墜ちる」「星を撃ち墜とす」などがあります。「墜ちる」という表記は物語文などでは多く見られるものの、常用漢字音訓表にないため、「落ちる」という表記が一般的です。
「巨星墜つ」の意味
また、「巨星墜つ」(読み方:きょせいおつ)という言葉もあり、後世に語り継がれるような業績を残すような偉大な人が亡くなることを表します。
この言葉は、『三国志』内、諸葛孔明の死が描かれる場面にて、赤い星が現れたという表現があることから、名を馳せる将軍が命を落とすことを意味する「将星墜つ」という言葉由来となった言葉です。
この「将星墜つ」という言葉の意味が転じ、将星を巨星という表現に変えて、偉大な人物が命を落とすことを表すようになりました。
「墜ちる」の類語
「墜ちる」の類語・類義語としては、高いところから落ちることを意味する「墜落」、転げて落ちることを意味する「転落」、航空機などを撃ち落とすことを意味する「撃墜」などがあります。
「落ちる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、上から下へ移動することや下がることを意味する時などが挙げられます。
例文2の「落ちる」は、試験に挑戦し不合格となってしまった際に使われ、例文3の「落ちる」は日や月が沈む際に使われます。
「堕ちる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、落ちぶれることや悪い状態に陥ってしまうことを意味する時などが挙げられます。
悪事や地獄、名声や権力などの実態がないものを表す言葉と共に使われることがほとんどです。
「墜ちる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物理的に落下することや下降させることを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「墜ちる」も、「落ちる」という言葉に置き換えて使うことができますが、「堕ちる」という言葉に置き換えて使うことはできません。
「落ちる」と「堕ちる」と「墜ちる」どれを使うか迷った場合は、下へと動くことを表す場合は「落ちる」を、実体のないものが下に動くことを表す場合は「堕ちる」を、物体が落下して崩れることを表す場合は「墜ちる」を使うと覚えておけば間違いありません。