似た意味を持つ「おざなり」と「なおざり」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「おざなり」と「なおざり」という言葉は、どちらもいい加減である様子を表す共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。
おざなりとなおざりの違い
おざなりとなおざりの意味の違い
おざなりとなおざりの違いを分かりやすく言うと、いい加減ではあるが何かに取り組んでいる状態か、いい加減で何もしていない状態かの違いです。
おざなりはいい加減ではあるけれど、何事か行動をしている状態のことで、なおざりはいい加減であり、なおかつなんの行動も起こしていない状態のことを言います。
おざなりとなおざりの使い方の違い
一つ目のおざなりを使った分かりやすい例としては、「彼氏の態度がおざなりになってきた」「優越感丸出しでおざなりな態度がむかつく」「仕事のしすぎで私生活がおざなりになる」「あの選手はおざなりなプレーをしている」「入居時審査をおざなりにしてはならない」などがあります。
二つ目のなおざりを使った分かりやすい例としては、「心の問題がなおざりにされている」「忙しすぎて彼女をなおざりにしてしまった」「なおざりなレポートを提出したのがバレた」などがあります。
おざなりとなおざりの漢字表記の違い
おざなりは、漢字で表記すると「お座なり」となり、「座る」という漢字が入ります。行動はしているけれど、座ったまま、やる気なく行っている様子を想像するとわかりやすいです。
なおざりは、漢字で表記すると「等閑」となり、「閑」という漢字が入ります。これは「閑静な住宅街」という言葉があるように、静かで人気のない様子を示す言葉です。安静にしていて、なにも行動していない、暇である状態を想像するとわかりやすいです。
しかしながら現在では、おざなりという言葉の持つ「いい加減である」という意味と、なおざりという言葉の持つ「真剣ではない」「あっさりしている」という意味の境目が曖昧になり、混同して使われる傾向があります。
おざなりとなおざりの英語表記の違い
おざなりを英語にすると「perfunctory」となり、例えば「おざなりな返事」を英語にすると「a perfunctory reply」となります。一方、なおざりを英語にすると「neglect」となり、例えば「なおざりにされた子供」を英語にすると「a neglected child」となります。
おざなりの意味
おざなりとは
おざなりとは、いい加減ではあるけれど、物事には取り組んでいる状態を意味しています。また、自分で意識をしていい加減に物事を進める様子を指すこともあります。怠惰で、怠けているような態度、やる気のない様子と言い換えることも出来るでしょう。
おざなりは、行動をしている状態であることから、動詞と一緒に使われる傾向のある言葉です。「おざなりに挨拶をする」「おざなりに仕事をする」などの例文では、「挨拶」「仕事」という行動はしているけれど、やり方がいい加減な様子を示します。
表現方法は「おざなりにする」「おざなりにせず」「おざなりにされる」
「おざなりにする」「おざなりにせず」「おざなりにされる」などが、おざなりを使った一般的な表現方法になります。
おざなりの類語
おざなりの類語・類義語としては、いいかげんなことを意味する「適当」、投げやりであることを意味する「ぞんざい」、おおまかでいい加減であることを意味する「雑」などがあります。
なおざりの意味
なおざりとは
なおざりとは、いい加減であり、加えてなにも行動していない状態を意味しています。また、無意識であり、上の空な様子を指すこともあります。あっさりとしている、放っておいている、真剣ではない様子と言い換えることも出来るでしょう。
なおざりは、行動に移していない状態であることから、名詞と一緒に使われる傾向にあります。「伝統をなおざりにする」「友人への連絡をなおざりにする」などの例文では、「伝統」や「友人」に対して、なにもしていない状態を示します。
表現方法は「なおざりにする」「なおざりになりがち」「なおざりの心」
「なおざりにする」「なおざりになりがち」「なおざりの心」などが、なおざりを使った一般的な表現方法になります。
なおざりの類語
なおざりの類語・類義語としては、適当にほおっておくことを意味する「閑却」(読み方:かんきゃく)、軽く考えることを意味する「軽視」、いい加減に怠けることを意味する「緩怠」(読み方:かんたい)、そのまま放っておくことを意味する「放置」などがあります。
おざなりの例文
おざなりは、行動をしていない状態の場合は使えません。「伝統をおざなりにする」などという風に使うことはできません。この文脈では、伝統に対してなにもしていない状態、行動していない状態であると読み取れてしまうからです。
例文5のように「伝統をおざなりに引継ぐ」という風には使えます。こちらの例文では、伝統を「引継ぐ」という行動をしています。
この言葉がよく使われる場面としては、あまり真剣ではないけれど、なにか行動をしている状態、不十分で不真面目な状態、怠惰である状態などを示す時などが挙げられます。必要なことをいい加減に行っている状態の時に「おざなり」を使います。
あまり良い意味で使われる言葉でもないので、使う時は慎重に言葉を選ぶようにしましょう。
なおざりの例文
例文1の「なおざり」は、上の空で聞いていない様子であると考えるとわかりやすいです。聞くという行為をしていない状態、聞き流している状態と言えます。
なおざりは、自発的な行動をしていない時に使う言葉です。「なおざりに挨拶をする」「なおざりに修理をする」などという風には使いません。挨拶も修理も、自発的に口や手を動かして行うものであるからです。
この言葉がよく使われる場面としては、いい加減である状態、やるべきことを放っておいている状態、深く考えず心にとめない状態などを示す時などが挙げられます。必要なことをしていない状態の時に「なおざり」を使います。
おざなりと同じように、こちらもあまり良い意味で使われる言葉でもないので、使う時には慎重に考えて使うようにしましょう。