似た意味を持つ「油断禁物」(読み方:ゆだんきんもつ)と「油断大敵」(読み方:ゆだんたいてき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「油断禁物」と「油断大敵」という言葉は、どちらも「油断を戒める言葉」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
油断禁物と油断大敵の違い
油断禁物と油断大敵の意味の違い
油断禁物と油断大敵の違いを分かりやすく言うと、油断大敵よりも油断禁物の方が、注意を怠ることを戒めるニュアンスが強いという違いです。
油断禁物と油断大敵の使い方の違い
一つ目の油断禁物を使った分かりやすい例としては、「試合が終わるまで、まだまだ油断禁物だ」「武力介入を続ける国には油断禁物です」「慣れは事故のもと、油断禁物ですよ」「だから油断禁物だと忠告しただろう」などがあります。
二つ目の油断大敵を使った分かりやすい例としては、「余裕で勝てると思ったのに、油断大敵だな」「台風が過ぎても油断大敵です、被害を確認してください」「花粉症は突然発症するので油断大敵です」などがあります。
油断禁物と油断大敵の使い分け方
油断禁物と油断大敵という言葉は、どちらも注意を怠り、油断して失敗を招くことを戒める言葉です。二つの言葉はほぼ同じ意味を持ちますが、あえて違いを挙げるならば、油断大敵よりも油断禁物の方が、注意を怠ることを戒める度合いが大きいことでしょう。
このニュアンスの違いは、二つの言葉の相違点である「禁物」と「大敵」にあります。禁物は、してはいけないものと禁止するものであり、油断禁物とは油断することを強く否定している言葉です。一方、大敵は、てごわい相手のことであり、油断大敵とは油断を敵視して注意を促す言葉です。
失敗を招かないように強く注意を与えたい時には、「油断大敵」よりも「油断禁物」と表現する方が良いでしょう。
油断禁物と油断大敵の英語表記の違い
油断禁物も油断大敵も英語にすると「don’t let your guard down」「be on your guard」となり、例えば上記の「まだまだ油断禁物だ」を英語にすると「Don’t let your guard down yet」となります。
油断禁物の意味
油断禁物とは
油断禁物とは、気を抜かないように、常に注意を払っておかなければいけないを意味しています。
油断禁物の使い方
油断禁物を使った分かりやすい例としては、「インフルエンザは夏でも油断禁物ですよ」「運転は慣れた道こそ油断禁物だぞ」「韓国語の生活に慣れてきても油断禁物です」「小さな火でも油断禁物、火事の元になります」などがあります。
その他にも、「油断禁物、しっかり安全点検しましょう」「英語のテストはマークシートだけど油断禁物だ」「新型コロナウイルスの感染者が減っても油断禁物です」「油断禁物な状況が続いています」などがあります。
油断禁物とは、油断することを戒める言葉です。油断禁物という言葉の由来となる「油断」は、たかをくくって気を許し注意を怠ることを表し、「禁物」は、してはならない物事や禁ずべきものを表します。
油断禁物は「油断は禁物」と表現することもある
油断禁物という四字熟語は、辞書に載っていませんが、気を許してはいけない、常に注意を払うべきであるという意味合いで広く認知されています。「油断は禁物」と表現することもあります。
油断禁物の対義語
油断禁物の対義語・反対語としては、注意や用心の足りないことを意味する「不用意」、気がねなくのんびりと振る舞うことを意味する「くつろぐ」、ゆったりした気分になることを意味する「リラックス」などがあります。
油断禁物の類語
油断禁物の類語・類義語としては、注意を払うことを意味する「気を付ける」、よく注意して十分に心をくばっていることを意味する「用心深い」、度胸は大きく注意は細かく払うべきことを意味する「胆大心小」などがあります。
油断大敵の意味
油断大敵とは
油断大敵とは、注意を少しでも怠れば思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであるという戒めを意味しています。
油断大敵の使い方
油断大敵を使った分かりやすい例としては、「まさか悪質商法にひっかかるなんて、油断大敵だ」「感染症は対岸の火事ではありません、油断大敵ですよ」「弱小チームに負けるとは、油断大敵だと言っただろう」などがあります。
その他にも、「油断大敵火がぼうぼうですから、用心します」「英語は得意だけど油断大敵だからテスト勉強するつもりです」「安心してたら痛い目にあってしまった、油断大敵雨あられですね」などがあります。
油断大敵とは、油断は失敗の原因となるので、大きな敵と思って警戒せよ、という意味を持つ戒めの四字熟語です。油断という気の緩みを、大失敗を招く恐るべき敵に喩えています。
「油断大敵火がぼうぼう」の意味
上記の例文にある「油断大敵火がぼうぼう」という慣用句は、油断していると火がボウボウと燃え広がるから注意しなさい、という意味ではありません。本来は「油断大敵、火が亡々」と書き、油を断つと火が消えてしまうので絶やさないようにしましょう、という意味を持ちます。
油断大敵の対義語
油断大敵の対義語・反対語としては、緊張をゆるめることを意味する「気を抜く」、用心が足りないことや警戒を怠ることを意味する「不用心」などがあります。
油断大敵の類語
油断大敵の類語・類義語としては、危険や災害に備えてあらかじめ注意し用心することを意味する「警戒」、ほんの少し先のことも全く予知できないことのたとえを意味する「一寸先は闇」、身近なことに十分気をつけるべきだということを意味する「脚下照顧」などがあります。
油断禁物の例文
この言葉がよく使われる場面としては、油断は失敗を招くので、気を引き締めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の「油断禁物」という言葉は、「油断は禁物」と言い換えることができます。意味は同じですが、四字熟語の「油断禁物」よりも「油断は禁物」の方が柔らかい印象を与えます。
油断大敵の例文
この言葉がよく使われる場面としては、油断は失敗のもとであり、恐ろしい敵であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、油断大敵という言葉は、油断して失敗を招くことを戒める四字熟語として用いられています。
油断禁物と油断大敵という言葉は、どちらも油断することを戒める言葉です。より強く油断に対して警戒するニュアンスを表したい時は、「油断禁物」を使うようにしましょう。