同じ「ほけん」という読み方の「保険」と「保健」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「保険」と「保健」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
保険と保健の違い
保険と保健の違いを分かりやすく言うと、保険とは病気や事故による経済的損失に備える制度、保健とは健康を守り保つことという違いです。
一つ目の保険を使った分かりやすい例としては、「子どもが生まれたので学資保険に入ることにした」「自動車保険の等級が下がってしまった」「5年ごとに保険の見直しをしています」「保険の免責事項をよく読む」などがあります。
二つ目の保健を使った分かりやすい例としては、「保育園での保健指導の様子をお伝えします」「保健師の求人情報をチェックする」「保健所から犬を引き取る条件を調べています」「保健体育の学習指導案を作成する」などがあります。
保険と保健という言葉は、どちらも「ほけん」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
保険とは、偶発的な事故によって生じる財産上の損失に備えて、人々が金銭を出し合い、事故が発生した者に金銭を給付するための制度です。人々が事前に出し合う金銭を「保険料」「掛け金」、事故が発生した場合に給付する金銭を「保険金」と言います。
保健とは、健康を守って維持することを意味します。「保健指導」とは、乳幼児の身体的・精神的発育を正しい方向に指導することを言い、厚生労働大臣の免許を受けて保健指導に当たる専門職が「保健師」です。
つまり、保険とは病気や事故による経済的損失に備える制度であり、保健とは健康を守って維持することを意味します。二つの言葉は同じ読み方をしますが、意味が全く違う同音異義語なので互いに置き換えて使うことはできません。
保険を英語にすると「insurance」「assurance」となり、例えば上記の「保険に入る」を英語にすると「get insurance」となります。一方、保健を英語にすると「health」「sanitation」となり、例えば上記の「保健指導」を英語にすると「health guidance」となります。
保険の意味
保険とは、火災・死亡など偶然に発生する事故によって生じる経済的不安に備えて、多数の者が掛け金を出し合い、それを資金として事故に遭遇した者に一定金額を給付する制度を意味しています。
保険を使った分かりやすい例としては、「保険者番号の調べ方を確認する」「保険業法は来年改正される予定です」「保険料控除申告書の書き方を知ってますか」「保険証の資格確認書がいつまで経っても届かない」などがあります。
その他にも、「マイナンバーカードを健康保険証として利用する」「私の健康保険証はいつまで使えるのだろう」「保険の窓口でがん保険の相談に乗ってもらいました」「父は黄色い健康保険証を使っています」などがあります。
保険とは、病気や事故などの不測の出来事、火災や地震などの災害などのリスクに備える制度です。偶発的事故の可能性を持つ人々から任意に拠出させた一定の掛け金を資金として、事故にあった者に一定額の保険金を与えてその損害を補償します。保険の目的により生命保険、損害保険などに分かれます。
保険を用いた日本語には「社会保険」があります。社会保険とは、社会生活を保障するため、疾病や死亡あるいは失業などから救済するために、国など公的部門が一定基準による給付を行なうための保険です。最近では介護を保険対象とする社会保険も現れています。
保険の類語・類義語としては、相互に助け合い力を合わせて事をなすことを意味する「共済」、ある状態がそこなわれることのないように保護し守ることを意味する「保障」、保険や保険金を意味する「インシュアランス」などがあります。
保健の意味
保健とは、健康を守り保つことを意味しています。
保健を使った分かりやすい例としては、「学校の保健だよりを失くしてしまいました」「保健室の先生の給料は高いのだろうか」「保健医療局の電話番号を教えてください」「営業許可申請書を保健所に提出する」などがあります。
その他にも、「保健所で保護している猫の里親になりたいです」「浜松市の保健所に電話しました」「保健師になるには看護師免許が必要です」「保健師の年収はいくらぐらいですか」「静岡大学の保健センターに行く予定です」などがあります。
保健とは、健康を守って維持する活動を意味します。健康の増進や病気の予防、あるいは健康管理など、健康を保つための取り組み全般を指す言葉です。保健の「保」はしっかりと持ち続けること、「健」は体が丈夫でしっかりしているさまを表す漢字です。
保健を用いた日本語には「保健所」があります。保健所とは、地域の公衆衛生活動の中心となる公的機関のことです。保健所のおもな事業内容には、健康相談、母子保健、感染症予防、食品衛生、医療社会事業などがあります。
保健の対義語・反対語としては、健康に気をつけないことや健康に悪いことをすることを意味する「不摂生」などがあります。
保健の類語・類義語としては、病気や疲労の回復などのために心身をゆったりと休めることを意味する「静養」、からだを休ませて健康を養うことを意味する「保養」、生活に留意して健康の増進を図ることを意味する「養生」などがあります。
保険の例文
この言葉がよく使われる場面としては、火災や交通事故など偶発的事故による経済的損失に備えるため、同じ危険にさらされている多数の経済主体に,合理的計算に基づき危険度に応ずる公平な負担を課し、事故が発生した場合にその者の需要をみたす制度を表現したい時などが挙げられます。
例文1から3にある生命保険とは、保険の対象者が亡くなったり、病気になったりしたときに給付金を支給する相互扶助の制度です。例文4にある医療保険とは、病気やケガで入院したり所定の手術を受けたときに給付金が受け取れる保険のことです。
保健の例文
この言葉がよく使われる場面としては、健康を保つことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある学校保健とは、学校において、児童や生徒および教職員の健康を保持増進することです。学校保健安全法で規定されています。
保険と保健という言葉は、どちらも「ほけん」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、事故による経済的損失に備える制度を表現したい時は「保険」を、健康を守って保つことを表現したい時は「保健」を使うようにしましょう。