【紆余曲折】と【二転三転】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「紆余曲折」(読み方:うよきょくせつ)と「二転三転」(読み方:にてんさんてん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「紆余曲折」と「二転三転」という言葉は、どちらも「物事が順調に運ばないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




紆余曲折と二転三転の違い

紆余曲折と二転三転の意味の違い

紆余曲折と二転三転の違いを分かりやすく言うと、紆余曲折とは物事の成り行きが複雑であること、二転三転とは成り行きが何度も変わることという違いです。

紆余曲折と二転三転の使い方の違い

一つ目の紆余曲折を使った分かりやすい例としては、「二人は紆余曲折を経て結ばれました」「ビジネス交渉は紆余曲折ありましたが話がまとまりました」「私の人生は紆余曲折で、これまで色々ありました」などがあります。

二つ目の二転三転を使った分かりやすい例としては、「状況は二転三転して私達は困惑しています」「話が二転三転してしまい大変申し訳ございません」「政府の方針が二転三転し、自治体は混乱している」などがあります。

紆余曲折と二転三転という言葉は、どちらも物事が順調に進まないことを表すマイナスイメージを伴う言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。

紆余曲折とは、曲がりくねる道や川のように、込み入っていて複雑なことや、変化が多くスムーズにはいかないことを意味します。物事を進める際の経過が複雑であり、目的やゴールまでに手間どることを表す言葉です。

二転三転とは、物事の内容や状態、あるいは成り行きなどが何度も変わることを意味します。それまで正しいものとされてきた考えや決定が根本から覆される時に用いられますが、紆余曲折のような複雑なニュアンスはなく、単純に何度も覆ることを表す言葉です。

紆余曲折と二転三転の英語表記の違い

紆余曲折を英語にすると「twists and turns」「meandering」「complications」となり、例えば上記の「紆余曲折を経て」を英語にすると「after many complications」となります。

一方、二転三転を英語にすると「change again and again」「backtracking repeatedly」となり、例えば上記の「状況は二転三転した」を英語にすると「The situation changed again and again」となります。

紆余曲折の意味

紆余曲折とは

紆余曲折とは、物事が順調に運ばないで、込み入った経過をたどることを意味しています。

その他にも、「道などが曲がりくねっていること」の意味も持っています。

紆余曲折の読み方

紆余曲折の読み方は、「うよきょくせつ」です。誤って「うよきょくしゃく」「よよきょくせつ」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「紆余曲折ありましたが」「紆余曲折の末に」「紆余曲折がある」

「紆余曲折ありましたが」「紆余曲折の末に」「紆余曲折がある」などが、紆余曲折を使った一般的な言い回しです。

紆余曲折の使い方

「紆余曲折を経て契約がまとまった」「英語検定の実施は紆余曲折の末に見送られました」「これまでの人生は紆余曲折ありましたが、現在は平穏な毎日です」「幾多の紆余曲折ありました」などの文中で使われている紆余曲折は、「物事が込み入った経過をたどること」の意味で使われています。

一方、「紆余曲折した道を運転する」「峠の道は紆余曲折している」「紆余曲折した川をボートで下る」などの文中で使われている紆余曲折は、「道などが曲がりくねっていること」の意味で使われています。

紆余曲折の「紆余」は曲がりながら続くこと、「曲折」は折れ曲がることことや、物事がさまざまに入り組んで変化をすることを表します。紆余曲折とは、道や川などが曲がりくねっていることであり、転じて、ことの成り行きが込み入った経過をたどり変化することの意味で用いられています。

「紆余曲折を経て」の意味

上記の例文にある「紆余曲折を経て」とは、物事のなりゆく過程が単純ではなく、複雑な経緯を通ったことを意味します。「紆余曲折を経て」の言い換えには、「試行錯誤を重ねて」「あれこれ手を尽くして」などがあります。

紆余曲折の対義語

紆余曲折の対義語・反対語としては、物事がきわめて快調に進んでいるさまを意味する「順風満帆」、目的を達成するためにひたすら進むことを意味する「一路邁進」、少しの歪みもないことを意味する「一直線」などがあります。

紆余曲折の類語

紆余曲折の類語・類義語としては、くねくねと曲がることを意味する「曲りくねる」、道などが右に左に曲がりくねることを意味する「うねる」、くねくねと左右に曲がって行くことを意味する「蛇行」、 同じようなことが何度も繰り返され進行しないことを意味する「堂々巡り」などがあります。

二転三転の意味

二転三転とは

二転三転とは、物事の内容・状態・成り行きなどが、何度も変わることを意味しています。

二転三転の使い方

二転三転を使った分かりやすい例としては、「話が二転三転してしまいご迷惑をおかけしました」「英語留学の時期が二転三転する」「契約内容が二転三転したことをメールでお詫びする」「二転三転するストーリー展開に意表を突かれた」などがあります。

その他にも、「二転三転してしまい、大変申し訳ございません」「二転三転しましたが英語のリスニングテストは予定通り実施します」「説明内容が二転三転している」「議論が二転三転して膠着状態になっている」などがあります。

二転三転とは、物事の方針や方向がくるくると変わり、なかなか定まらないことです。内容や情勢などが、1回だけでなく何度も変わってしまうことを表し、基本的にはネガティブな意味で使われる言葉です。

表現方法は「二転三転して申し訳ありません」「二転三転してしまい申し訳ございません」

二転三転という言葉は、主にビジネスシーンでの謝罪する場面で用いられています。「契約条件が二転三転して申し訳ありません」「二転三転してしまい申し訳ございません」「仕様が二転三転してご迷惑をおかけしました」のように、それまで進めていた話が変わったり、状況が覆ったりすることを表します。

二転三転の対義語

二転三転の対義語・反対語としては、調子が同じで変化に乏しいことを意味する「一本調子」、何の変化もなく面白味に欠けることを意味する「千篇一律」などがあります。

二転三転の類語

二転三転の類語・類義語としては、さまざまに変化することを意味する「千変万化」、命令などが頻繁に変更されて一定しないことを意味する「朝令暮改」、一度変わった事の成り行きがまた変わることを意味する「再転」などがあります。

紆余曲折の例文

1.土地探しから始まり、紆余曲折を経て夢のマイホームが完成しました。
2.結婚生活30年の間には紆余曲折ありましたが、今は穏やかに幸せの意味を噛みしめています。
3.祖母は紆余曲折の人生を送りながらも、最期まで日々を楽しんでいたように見えました。
4.紆余曲折を経て誕生した新首相に、国民は経済やビジネスへの効果的な対策を期待しています。
5.私は車の運転が苦手なので、紆余曲折した道をドライブするのは苦痛でした。
6.真面目な母と違い叔母は恋多き女性で、今のご主人と再々婚するまでいろいろあったようだが紆余曲折を経て今は幸せな家庭を築いている。
7.選手生命を脅かすような大けが、所属チームの消滅など、ここに来るまで紆余曲折いろいろありましたが、明日やっとワールドカップの舞台に立つことができるなんて感無量です。
8.このドラマは、大学に落ちた青年と、仕事をクビになった男が紆余曲折を経てお互い切磋琢磨していく物語である。
9.私はほとんど相手側の弁護士の言うままに離婚届にサインをさせられて、紆余曲折の末親権は元妻が持つことになり、多額の養育費も支払うことになった。
10.例の大口の商談は紆余曲折ありましたが話がまとまり、その功労者となった上司は部長に昇進することが内定していました。

この言葉がよく使われる場面としては、道などが曲がりくねっていること、転じて、事の成り行きが様々の込み入った経過をたどることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「紆余曲折ありましたが」とは、多くの激しい変化やそれに伴う苦しさがあったことを意味します。例文3の「紆余曲折の人生」とは、大きな変化や曲折のある波乱のあった人生を表します。

二転三転の例文

1.こちらの不手際により、話が二転三転して申し訳ございません。
2.ビジネスセミナーの開催日時について二転三転したことを、この場をお借りして謝罪いたします。
3.ビジネス英語のメールの書き出しに迷ってしまい、内容が二転三転してしまった。
4.話が一転二転するのは仕方ないが、これほど二転三転するようでは困るよ。
5.二転三転した結果、今年が第1回となる大学共通テストの時間割は下記の通りに決まりました。
6.私は大学2年の後期から留学する予定が、コロナ禍で留学の時期が二転三転してしまい、当初の計画がすべてダメになってしまいました。
7.サッカー日本代表の監督が電撃解任されてからは、監督選びは二転三転し、今の監督が就任するまでに半年の時間がかかってしまった。
8.ゴミ処理場建設の計画について市の関係者の説明は二転三転し、住民たちはが計画が環境を考慮したものなのかどうか疑わしいと考えた。
9.仕事では上司の言うことは二転三転するものだから、部下たちは困惑しており、こうなったら社長に直談判するしかないと思うようになった。
10.グッズ販売なのですが、別の人のお取引がキャンセルになりましたので、またお譲りが可能になりました。話が二転三転してしまいまして大変申し訳ございませんでした。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の内容や成り行きなどが、何度も変わることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「一転二転」と「二転三転」の違いは、内容や成り行きが変わる頻度にあります。「一転二転」は、一度や二度がらりと変わることを表しますが、「二転三転」は、次から次へと何度も変わることを表します。

紆余曲折と二転三転という言葉は、どちらも「物事が順調に進まないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、成り行きが込み入っていることを表現したい時は「紆余曲折」を、内容や成り行きが何度も変わることを表現したい時は「二転三転」を使うようにしましょう。

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