似た意味を持つ「注意喚起」(読み方:ちゅういかんき)と「注意勧告」(読み方:ちゅういかんこく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「注意喚起」と「注意勧告」という言葉は、どちらも注意を呼びかけることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
注意喚起と注意勧告の違い
注意喚起と注意勧告の意味の違い
注意喚起と注意勧告の違いを分かりやすく言うと、注意喚起よりも注意勧告の方が、注意を呼びかける程度が強いという違いです。
注意喚起と注意勧告の使い方の違い
一つ目の注意喚起を使った分かりやすい例としては、「音声によるトンネル内注意喚起システムです」「ビジネスメール詐欺に関して注意喚起する」「工事現場に注意喚起の張り紙がありました」などがあります。
二つ目の注意勧告を使った分かりやすい例としては、「注意勧告を出されて一筆書きました」「情報セキュリティに関する注意勧告を読む」「警察から道路の看板を撤去するよう注意勧告を受けた」などがあります。
注意喚起と注意勧告の使い分け方
注意喚起と注意勧告という言葉は、どちらも注意を呼びかける時に用いられていますが、意味や使い方には少し違いがあります。
注意喚起とは、注意を促すことを意味し、特定の危険や危害に対して用心する気持ちや意識を呼び起こすことを表します。注意喚起の「喚起」は、呼び覚ますことであり、相手に意識させることです。
注意勧告とは、注意するように説き勧めることを意味します。例文の「警察から道路の看板を撤去するよう注意勧告を受けた」のように、公的機関などから具体的にすべきことを指示される場合に使われることが多い言葉です。
つまり、注意喚起は注意を呼び起こさせることであり、注意勧告は注意をするように説明して正しい行いを勧めることです。二つの言葉を比べると、注意喚起よりも注意勧告の方が、注意を促すニュアンスが強い言葉だと言えるでしょう。
注意喚起と注意勧告の英語表記の違い
注意喚起を英語にすると「heads-up」「wake-up call」「reminder」となり、例えば上記の「注意喚起システム」を英語にすると「reminder system」となります。
一方、注意勧告を英語にすると「advisory」「caution recommendation」となり、例えば上記の「注意勧告を出す」を英語にすると「issue an advisory」となります。
注意喚起の意味
注意喚起とは
注意喚起とは、気をつけなくてはいけないことを呼びかけて意識させること、注意を促すことを意味しています。
表現方法は「注意喚起を行う」「注意喚起を受ける」「注意喚起がありました」
「注意喚起を行う」「注意喚起を受ける」「注意喚起がありました」などが、注意喚起を使った一般的な言い回しです。
注意喚起の使い方
注意喚起を使った分かりやすい例としては、「熱中症に関する注意喚起を行う」「弊社をかたった迷惑メールへの注意喚起を出す」「玄関に頭上注意の注意喚起ステッカーを貼る」「外国人観光客に対して英語で注意喚起する」などがあります。
その他にも、「火災予防のための注意喚起ポスターを作成しています」「審判が注意喚起しているイラストをダウンロードする」「注意喚起のアイコンを貼り付ける」「事務局より感染症に関する注意喚起のお願いがあります」などがあります。
注意喚起の「注意」は気をつけることや用心すること、「喚起」は呼び起こすことや呼び覚ますことを表します。注意喚起とは、悪いことが起こらないように、注意を怠らないように促すことを意味する言葉です。注意喚起は言い換えると、「注意を働きかける」「用心するよう呼びかける」になります。
「注意喚起を促す」は誤り
注意喚起を用いた誤った表現には「注意喚起を促す」があります。注意喚起はそれだけで「注意を促すこと」を意味するので、「注意喚起を促す」は「頭痛が痛い」と同様の二重表現となる誤用です。正しくは、「注意喚起する」「注意を喚起する」「注意喚起を行う」などと表現します。
注意喚起の対義語
注意喚起の対義語・反対語としては、そのままにして放っておくことを意味する「放置」、見切りをつけて従来の関係を断つことを意味する「見放す」などがあります。
注意喚起の類語
注意喚起の類語・類義語としては、まごころを込めて相手の欠点や過ちを戒めさとすことを意味する「忠告」、助けになるような意見や言葉を言ってやることを意味する「助言」、危険が迫ったことを伝えて注意や準備を人々に促すことを意味する「警報」などがあります。
注意勧告の意味
注意勧告とは
注意勧告とは、注意を向けるように説いて勧めることを意味しています。
表現方法は「注意勧告を受ける」「注意勧告を出す」「注意勧告する」
「注意勧告を受ける」「注意勧告を出す」「注意勧告する」などが、注意勧告を使った一般的な言い回しです。
注意勧告の使い方
注意勧告を使った分かりやすい例としては、「フィッシング詐欺メールについて注意勧告を出す」「英語教室の感染症に関する注意勧告をしっかり守る」「車いすの使い方についてメーカーから注意勧告が出ています」などがあります。
その他にも、「国連本部の詐欺注意勧告ウェブページを確認する」「規定に反した社員に注意勧告する」「会社から注意勧告書を出されてしまった」「注意勧告書雛形をインターネットで探しています」「すでに再三の注意勧告が行なわれているはずですよ」などがあります。
注意勧告の「勧告」とは、ある行動をとるように説き勧めることであり、「是正勧告」のように、主に行政機関が指導する時に用いる言葉です。注意勧告とは、ある組織や住民に対して、特定の事柄に注意を向けるように説明して勧め誘うことを意味する言葉です。
注意勧告という言葉は、公的な機関がこうするべきだと具体的に示す場合に使われることがほとんどです。例えば、「注意勧告」の一つである「退避勧告」とは、外務省が対象の危険な国や地域から、安全な国や地域へ退避するよう強く勧める指示のことです。
注意勧告の対義語
注意勧告の対義語・反対語としては、手をつけないで放っておくことを意味する「野放し」、見ていながらそのままにしておくことを意味する「見捨てる」などがあります。
注意勧告の類語
注意勧告の類語・類義語としては、よくない事態が生じそうなので気をつけるよう告げ知らせることを意味する「警告」、口頭でさとし告げることを意味する「諭告」、教え告げることや戒め告げることを意味する「訓告」などがあります。
注意喚起の例文
この言葉がよく使われる場面としては、用心するように注意を促すことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、注意喚起という言葉は、ある組織や住民などに対して、特定のことに関する注意を促すことを表す時に用いられています。
注意勧告の例文
この言葉がよく使われる場面としては、注意を向けるように説き勧めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、注意勧告という言葉は、行政機関など公的な立場から、こうするべきだと具体的な指示がある場合に用いられることがほとんどです。
注意喚起と注意勧告という言葉は、どちらも注意を呼びかける言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、より強く注意を向けさせたい場合には「注意勧告」を使うようにしましょう。