同じ「かっこう」という読み方の「格好」と「恰好」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「格好」と「恰好」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
格好と恰好の違い
格好と恰好の意味の違い
格好と恰好の違いを分かりやすく言うと、格好とは常用漢字であり、恰好とは常用外漢字であるという違いです。
格好と恰好の使い方の違い
一つ目の格好を使った分かりやすい例としては、「結婚してから彼は格好が良くなった」「盛り上がる格好のネタを探している」「格好いい苗字に憧れがある」「格好の良い軽トラキャンピングカーを購入した」などがあります。
二つ目の恰好を使った分かりやすい例としては、「マスコミの恰好の的になっている」「妙な恰好をして現れた」「名前が恰好良い」「後輩にお金を借りるなんて恰好つかない」「あの人は恰好いい老い方をしている」などがあります。
格好と恰好の由来
格好と恰好という言葉は、どちらも「かっこう」と読み、同じ意味を持つ言葉です。もとの漢字は恰好であり、「恰 (あたか) も好 (よ) し」の意で、ちょうど似つかわしいさまが原義でした。転じて、形がちょうどよいというところから、姿や形の意味にもなっています。
ところが、「恰」は常用漢字やその前身の当用漢字にも入っておらず、「恰」と同音で妥当な漢字である「格」が当て字として使われるようになりました。格好と恰好は、全く同じ意味の言葉であり、常用漢字である「格」を使っているのか、常用外漢字である「恰」を使っているかが違いになります。
格好と恰好の使い分け方
常用漢字とは、日本語の読み書きが混乱しないように、一般の社会生活で漢字を使用する際の目安として示されているものです。公文書や義務教育の授業はこれに従う必要がありますが、個人や小説などの書き物は従わなければいけないものではありません。そのため、格好も恰好も使われています。
ただし、義務教育で習う漢字が格好であること、公文書や新聞などで使われていることなどから、格好の方が馴染みのある漢字と言えます。実際に、恰好よりも格好の方が多く使われています。
格好と恰好の英語表記の違い
格好も恰好も英語にすると「appearance」「shape」「form」となり、例えば上記の「格好が良くなる」を英語にすると「improve in appearance」となります。
格好の意味
格好とは
格好とは、外から見た事物の形や姿、身なりを意味しています。
その他にも、人に対して恥ずかしくない姿や体裁、ふさわしいことの意味も持っています。
表現方法は「格好良い」「格好悪い」「格好の餌食」
「格好良い」「格好悪い」「格好の餌食」などが、格好を使った一般的な表現方法になります。
格好の使い方
「格好いいシャツを買った」「お見合い相手は格好良い人だった」「家で格好つける必要はない」「格好いい画像はSNSに即アップする」「何事も格好から入るタイプだ」などの文中で使われている格好は、「事物の形や姿、身なり」の意味で使われています。
一方、「格好悪いふられ方だった」「格好ばかり取り繕う」の文中で使われている恰好は「体裁」の意味で使われています。「カフェは息抜きの格好の場」「高齢者の一人暮らしは詐欺の格好の的だ」の文中で使われている格好は、「ふさわしいこと」の意味で使われています。
格好という言葉は、日常生活において聞いたり使ったりする馴染みのある言葉です。よく使われる言葉に「格好いい」がありますが、「かっこういい」ではなく「かっこいい」「カッコイー」などと砕けた言い方で使われたりしています。
格好という言葉は、上記の例のように複数の意味を持ちます。原義は前述したように、ちょうど似つかわしいさまですが、様々な意味に派生しました。上記の例以外にも、年齢を表す語に付いて、ちょうどその年齢くらいであることの意味も持ち、「三十格好の男」などと表現することがあります。
格好の類語
格好の類語・類義語としては、 衣服をつけた姿や服装を意味する「身なり」、衣服をつけた外見のようすを意味する「姿」、体つきや身なりを意味する「なり」などがあります。
格好の格の字を使った別の言葉としては、骨組みや肉づきなどから見た身体の形を意味する「体格」、その人の容姿や態度などに現れる品格を意味する「風格」などがあります。
恰好の意味
恰好とは
恰好とは、外から見た事物の形や姿、身なりを意味しています。
その他にも、人に対して恥ずかしくない姿や体裁、ふさわしいことの意味も持っています。
恰好の使い方
「まるで登山の恰好だ」「計算されつくした恰好良さ」「背筋を伸ばすだけで恰好良く見える「その恰好たるや落武者のようだった」「恰好ばかりで中身のない人だ」などの文中で使われている恰好は、「外から見た形や姿」の意味で使われています。
一方、「後輩に奢ってもらうのは恰好が付かない」「恰好ばかりを繕う」の文中で使われている恰好は「体裁」の意味で使われています。「雑談するには恰好の相手だ」「マスコミの恰好の餌食となる」の文中で使われている恰好は、「ふさわしいこと」の意味で使われています。
表現方法は「恰好の的」「恰好の餌食」
恰好という言葉は、格好よりも使われなくなりましたが、小説などの書き物で使われることがあります。恰好を用いた表現には、「恰好の的」「恰好の餌食」などがあり、「格好の的」「格好の餌食」とも書きます。
他にも、「恰好の場所」や「恰好の例」などもあります。
「恰好の的」の意味
「恰好の的」「格好の的」とは、ちょうどよい標的を意味し、非難や攻撃などの対象を表現する時に使われます。
「格好の餌食」の意味
「恰好の餌食」「格好の餌食」も同じ意味を持ちますが、えさとして食われる「餌食」の方がより野心や欲望のため犠牲となる標的であることを表し、さらに卑劣な表現になります。
恰好の類語
恰好の類語・類義語としては、外側から見た様子を意味する「外見」、顔だちと体つきを意味する「容姿」、外から見た感じや様子を意味する「体裁」などがあります。
恰好の恰の字を使った別の言葉としては、肉づきや押し出しから見た姿を意味する「恰幅」(読み方:かっぷく)、身長や体つきを意味する「背恰好」などがあります。
格好の例文
この言葉がよく使われる場面としては、姿や身なり、体裁、ふさわしいことを表現したい時などが挙げられます。
例文1使われている格好は、人に対して恥ずかしくない姿や体裁を意味します。例文2で使われている格好は外から見た事物の姿や身なりを意味します。例文3や例文4で使われている格好は、ふさわしいことを意味します。どちらの例文の格好を恰好に置き換えても構いません。
例文5にある「格好品」という表現はありません。正しくは「嗜好品」であり、風味や味、摂取時の心身の高揚感など味覚や臭覚を楽しむために飲食される食品や飲料、喫煙物などを意味します。
恰好の例文
この言葉がよく使われる場面としては、姿や身なり、体裁、ふさわしいことを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「恰好のタイミング」とは、ふさわしい時機を意味します。例文3にある「恰好のおもちゃ」とは、遊ぶのにちょうどよい玩具を意味します。どちらも「格好のタイミング」「格好のおもちゃ」とも表現されます。例文5のように、「恰」は学校で習わないので読めない子供もいます。
格好と恰好という言葉は、同音同義語の言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、公的な書類などに記載する場合は常用漢字である「格」を用いた「格好」を使うと良いでしょう。その他の場合には、好みにより使えば良いでしょう。