【思いを馳せる】と【思いを巡らす】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「思いを馳せる」(読み方:おもいをはせる)と「思いを巡らす」(読み方:おもいをめぐらす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」という言葉は、どちらも考えたり想像したりすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の違い

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の意味の違い

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の違いを分かりやすく言うと、「思いを馳せる」とは遠い過去と未来や遠くにいる人にしか使えない、「思いを巡らす」とは近い未来や目の前にいる人にも使えるという違いです。

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の使い方の違い

一つ目の「思いを馳せる」を使った分かりやすい例としては、「故郷の妻子に思いを馳せる」「生まれ育った故郷に思いを馳せる」「遠い異国の地に思いを馳せる」「私はあの場所に思いを馳せる」「彼女は自分の故郷に思いを馳せる」などがあります。

二つ目の「思いを巡らす」を使った分かりやすい例としては、「これからどうするべきか思いを巡らす」「彼は自分の将来に思いを巡らす」「これからの運命について思いを巡らす」「私の案の反響について色々と思いを巡らす」などがあります。

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の使い分け方

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」はどちらも考えたり想像したりすることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「思いを馳せる」は、「故郷にいる両親に思いを馳せる」「思い出の場所に思いを馳せる」などのように、ノスタルジックや淡い感情を持って遠い過去と未来や遠くにいる人にしか使うことができません。

一方、「思いを巡らす」は「これからの将来について思いを巡らす」「黙ってしまった彼女を前に、その心うちに思いを巡らす」などのように、近い未来や目の前にいる人にも使えるというのが違いになります。

また、「思いを巡らす」は「故郷にいる友人に思いを巡らす」のように、遠い過去と未来や遠くにいる人に対して使うこともできます。

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」の英語表記の違い

「思いを馳せる」を英語にすると「think about」「thoughts of」「thoughts turned」となり、例えば上記の「彼女は自分の故郷に思いを馳せる」を英語にすると「She thoughts turned to her hometown」となります。

一方、「思いを巡らす」を英語にすると「consider」「to contemplate」「think over」となり、例えば上記の「私の案の反響について色々と思いを巡らす」を英語にすると「I consider the reactions to my plan this way and that」となります。

「思いを馳せる」の意味

「思いを馳せる」とは

「思いを馳せる」とは、遠く離れている人や物事を思いやることを意味しています。

「思いを馳せる」の使い方

「思いを馳せる」を使った分かりやすい例としては、「故郷で暮らす両親に思いを馳せる」「海外へ単身赴任した父へ思いを馳せる」「ふるさとに思いを馳せながら小説を書きました」「東京で暮らすようになってから故郷の北海道に思いを馳せる毎日です」などがあります。

「思いを馳せる」の語源

「思いを馳せる」の語源は、ある物事について考えをもつことを意味する「思い」に、 気持ちや考えを遠くに至らせることを意味する「馳せる」が合わさったことです。

「思いを馳せる」は遠く離れている人や物事を思いやることを意味する言葉で、この「遠く」とは物理的な距離だけではなく、遠い過去などの時間的な距離の意味も持っています。

また、「思いを馳せる」はその人や物事を思うだけで、プラスのイメージやマイナスのイメージなどの感情は一切含んでいません。そのため、前後の文章によってどういう感情を表しているのか把握するようにしましょう。

「思いを馳せる」の類語

「思いを馳せる」の類語・類義語としては、自分の気持ちを向けることを意味する「思いを寄せる」、あれこれと考えることを意味する「物思いにふける」、根拠もなくあれこれと想像することを意味する「妄想する」などがあります。

「思いを巡らす」の意味

「思いを巡らす」とは

「思いを巡らす」とは、あれこれと多方面に心を働かせることを意味しています。

「思いを巡らす」の使い方

「思いを巡らす」を使った分かりやすい例としては、「国家の将来に思いを巡らす」「次は何の車を購入しようか思いを巡らす」「一児の親として子供の将来に思いを巡らす」「あれこれ思いを巡らすだけで決心がつきません」などがあります。

「思いを巡らす」の語源

「思いを巡らす」の語源は、ある物事について考えをもつことを意味する「思い」に、あれこれと心を働かせることを意味する「巡らせる」が合わさったことです。

「思いを巡らす」は、時間的に近い未来や目の前に居る人などの、近い対象のものに対しても使うことができるというのが特徴になります。また、過去や遠い人にも使うこともできるので、とても幅広い範囲で使うことができる言葉と覚えておきましょう。

「思いを巡らす」の類語

「思いを巡らす」の類語・類義語としては、実際には経験していない事柄などを推し量ることを意味する「想像する」、念を入れてよく考えることを意味する「熟考する」、あれこれ苦心して考えることを意味する「知恵を絞る」などがあります。

「思いを馳せる」の例文

1.最近布団に入ると学生時代に思いを馳せることが多く、中々寝ることができません。
2.単身赴任して3年経つので、故郷に残してきた家族に思いを馳せる。
3.近くのデパ地下で行なわれている物産展で故郷の名産品を見つけて、懐かしい日々に思いを馳せながら購入しました。
4.有名な世界遺産がある場所に足を運んで、当時の情景に思いを馳せながら歴史的建造物を肌で感じることができました。
5.上京して3年経つが、故郷に思いを馳せることが段々と増えてきました。
6.小さい時から星座や夜空が大好きで、今でもよく近くのプラネタリウムへ行き、この壮大な宇宙や銀河、そしてその果てへと思いを馳せる。
7.引っ込み思案だった息子が留学したいと旅立ってから2年。今ではあまりメールもこなくなったが、元気にやっているのだろうと幼い頃の写真を見ては思いを馳せている。
8.たまの休みなのだから少し遠出でもして、例えば古戦場跡巡りをして歴史に思いを馳せるの悪くないなと思うのでした。
9.私は外国の文化に興味があったが当時は海外旅行をすることは難しかったので、本を見ながら遠い異国の文化に思いを馳せておりました。
10.私は片づけがひと段落して休憩していると、父親は見るからに古いアルバムを見て何やら思いを馳せているようでした。

この言葉がよく使われる場面としては、遠く離れている人や物事を思いやることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「思いを馳せる」はノスタルジックや淡い感情を持った時に使う言葉です。

「思いを巡らす」の例文

1.次オーストラリアへ旅行した時はどこへ行くか、何をするかに思いを巡らす。
2.新社会人になるので、これからの可能性について思いを巡らす。
3.日本国民として国の将来について思いを巡らしているので、選挙は必ず参加しています。
4.大学受験に合格したので、今後の学生生活について思いを巡らす。
5.次はどのパーツを買おうか思いを巡らすが、中々決まりません。
6.昨日の夜中彼女から突然「ごめん、もう無理」とラインが来たあとブロックされ、何か怒らせることをしたかとあれこれ思いを巡らせたが、結局何も分からないまま朝が来た。
7.私は自分がどんな境遇にあったとしても、他人に思いを巡らすことができない人間にはなりたくないと常々思っています。
8.高校生になった息子もまじめに自分の将来に思いを巡らすようになったのだと、親として子供の成長の早さを実感するのでありました。
9.女友達はとても優柔不断で、どのサークルに入ろうかという時もあれこれ思いを巡らすだけで、何も決められないなんてことはざらにありました。
10.国家の将来に思いを巡らせば巡らすほど悲観的なことしか浮かばないくらいに、我が国は旧態依然とした社会のままなのでした。

この言葉がよく使われる場面としては、あれこれと多方面に心を働かせるを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「思いを巡らす」は色々と考える場合に使う言葉です。

「思いを馳せる」と「思いを巡らす」どちらも考えたり想像したりすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「思いを馳せる」は遠い過去と未来や遠くにいる人にしか使えないの対して、「思いを巡らす」は近い未来や目の前にいる人にも使えると覚えておきましょう。

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