似た意味を持つ「為せば成る」(読み方:なせばなる)と「一念岩をも通す」(読み方:いちねんいわをもとおす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」という言葉は、どちらもやる気があれば必ずやり遂げられることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の違い
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の意味の違い
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の違いを分かりやすく言うと、「為せば成る」とは上杉鷹山(読み方:うえすぎようざん)の歌が由来、「一念岩をも通す」とは中国の『韓詩外伝』(読み方:かんしがいでん)が由来という違いです。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の使い方の違い
一つ目の「為せば成る」を使った分かりやすい例としては、「私の座右の銘は為せば成るです」「為せば成ると思って行動することはとても大切です」「為せば成るを信じて諦めずに頑張りたいです」などがあります。
二つ目の「一念岩をも通す」を使った分かりやすい例としては、「一念岩をも通すという言葉を信じて今日も練習に励む」「一念岩をも通すというように諦めなければ目標を達成できるはずです」などがあります。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の使い分け方
「為せば成る」と「一念岩をも通す」はどちらもやる気があれば必ずやり遂げられることを意味する言葉ですが、由来が異なっているというのが違いです。
「為せば成る」は上杉鷹山の歌が由来なのに対して、「一念岩をも通す」は中国の『韓詩外伝』が由来になっています。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」の英語表記の違い
「為せば成る」も「一念岩をも通す」も直訳した英語表現はないのですが、近い表現として、「Where there is a will、there is a way」があります。
「為せば成る」の意味
「為せば成る」とは
「為せば成る」とは、やる気があれば必ずやり遂げられることを意味しています。
「為せば成る」は「成せば成る」とも表記可能
「為せば成る」は別の漢字を使って、「成せば成る」と表記することも可能です。
「為せば成る」の使い方
「為せば成る」を使った分かりやすい例としては、「私が勤めている会社のスローガンは為せば成るです」「為せば成るという言葉を信じて毎日遅くまで練習している」「落ち込んでいる友人がいたので為せば成ると言ってあげました」などがあります。
「為せば成る」はやる気があれば必ずやり遂げられることを意味することわざです。また、日常会話やビジネスシーンなどではあまり使われていない言葉ですが、座右の銘やスローガンなどでよく使われているため、馴染みがある人も多いでしょう。
「為せば成る」の由来
「為せば成る」の由来は上杉鷹山が詠んだ歌です。江戸中期の米沢藩主であった上杉鷹山が、家臣に教訓として「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という歌を詠みました。
これを現代語に訳すと、「何事でもやってみなければわからず、できそうにないこともやり通すことで成し遂げることができる」となります。このことが転じて、やる気があれば必ずやり遂げられることを「為せば成る」と言うようになりました。
また、上杉鷹山が詠んだこの歌は、武田信玄の「為せばなる 為さねば成らぬ 成らぬ業を 成らぬと捨てつる 人の儚さ」を参考にしたものとされているため、由来は上杉鷹山ではなく武田信玄だという説もあります。
「為せば成る」の対義語
「為せば成る」の対義語・反対語としては、弱小な者でも一心に念じれば望みが達せられることを意味する「蟻の思いも天に登る」、他の事に心を動かされずひたすら一つの事に気持ちを集中させることを意味する「一意専心」(読み方:いちいせんしん)などがあります。
「一念岩をも通す」の意味
「一念岩をも通す」とは
「一念岩をも通す」とは、強い信念をもって物事に当たればどんな事でも成し遂げることができることを意味しています。
「一念岩をも通す」の読み方
「一念岩をも通す」の読み方は「いちねんいわをもとおす」です。誤って「いちねんがんをもとおす」などと読まないようにしましょう。
「一念岩をも通す」の使い方
「一念岩をも通す」を使った分かりやすい例としては、「一念岩をも通すは部長の座右の銘だ」「誰も成功するとは思っていないが、一念岩をも通すを信じて必ず成功させてみせる」「一念岩をも通すは弊社のモットーです」などがあります。
「一念岩をも通す」は強い信念をもって物事に当たればどんな事でも成し遂げることができることを意味することわざです。また、日常会話やビジネスシーンなどではあまり使われておらず、主に座右の銘やスローガンなどで使われている言葉です。
「一念岩をも通す」の由来
「一念岩をも通す」の由来は、中国の『韓詩外伝』です。『韓詩外伝』とは中国の古代説話集になります。紀元前数世紀の昔、中国の楚という国に熊渠子(読み方:ゆうきょし)という人がいました。
熊渠子が虎だと思い込んで矢を放ったところ、それは虎ではなくただの石でした。しかし、その放った矢は普通は突き刺さることのない石に突き刺さったのです。これが転じて、強い信念を持って一途に物事を行えば必ずやり遂げられることを「一念岩をも通す」と言うようになりました。
「虚仮の一念岩をも通す」の意味
「一念岩をも通す」を使った有名な言葉としては、「虚仮の一念岩をも通す」です。「虚仮の一念岩をも通す」(読み方:こけのいちねんいわをもとおす)とは、どんなに愚かな人でも思いを一途に行えば岩をも貫通するような大きな仕事ができることを意味しています。
また、「虚仮」を「苔」と勘違いして、「苔の一念岩をも通す」とするのは間違いなので気を付けましょう。
「一念岩をも通す」の類語
「一念岩をも通す」の類語・類義語としては、一念を込めてやればどんなことでもできることを意味する「石に立つ矢」、小さな努力でも根気よく続けてやれば最後には成功することを意味する「雨垂れ石を穿つ」(読み方:あまだれいしをうがつ)などがあります。
「為せば成る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、やる気があれば必ずやり遂げられることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「為せば成る」は、プラスのイメージで使う言葉です。
「一念岩をも通す」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、強い信念をもって物事に当たればどんな事でも成し遂げることができることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「一念岩をも通す」は、プラスのイメージで使う言葉です。
「為せば成る」と「一念岩をも通す」はどちらもやる気があれば必ずやり遂げられることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、上杉鷹山の歌が由来なのが「為せば成る」、中国の『韓詩外伝』が由来なのが「一念岩をも通す」と覚えておきましょう。