似た意味を持つ「差し支えない」(読み方:さしつかえない)と「問題ない」(読み方:もんだいない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「差し支えない」と「問題ない」という言葉は、どちらもある物事を行うのに具合の悪い事情がないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「差し支えない」と「問題ない」の違い
「差し支えない」と「問題ない」の意味の違い
「差し支えない」と「問題ない」の違いを分かりやすく言うと、「差し支えない」は目上の人に対して使える、「問題ない」は目上の人に対して使えないという違いです。
「差し支えない」と「問題ない」の使い方の違い
一つ目の「差し支えない」を使った分かりやすい例としては、「差し支えないようでしたらお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」「こちらのスペースに展示してあるものは撮影しても差し支えないです」「差し支えないのであれば今晩お伺いします」などがあります。
二つ目の「問題ない」を使った分かりやすい例としては、「このままの仕様で問題ないです」「車で来てもらって問題ないですよ」「このハサミを使っても問題ないですか」「怪我は治っているのでプレイしても問題ないです」などがあります。
「差し支えない」と「問題ない」の使い分け方
「差し支えない」と「問題ない」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「差し支えない」は敬語表現ではないものの丁寧な言い回しなので目上の人に対して使うことができます。一方、「問題ない」はやや丁寧さに欠けており、目上の人に対しては使えないというのが違いです。
「差し支えない」と「問題ない」の英語表記の違い
「差し支えない」も「問題ない」も英語にすると「no problem」「all right」「inconvenience」「That’s fine」となり、例えば上記の「差し支えないのであれば今晩お伺いします」を英語にすると「If it is not inconvenient for you, I’ll come this evening」となります。
「差し支えない」の意味
「差し支えない」とは
「差し支えない」とは、都合の悪い事情がないことを意味しています。
表現方法は「差し支えないようでしたら」「差し支えないでしょうか」
「差し支えないようでしたら」「差し支えないでしょうか」などが、「差し支え」を使った一般的な言い回しになります。
「差し支えない」の使い方
「差し支えない」を使った分かりやすい例としては、「差し支えなければこちらにご署名をお願いします」「今お電話しても差し支えないですか」「差し支えないのであればお昼一緒にどうでしょうか」などがあります。
「差し支えない」は都合の悪い事情や支障のことを意味する「差し支え」に否定形の「ない」が合わさり、都合の悪い事情がないことの意味で使われている言葉です。つまり、自分にとって不都合ではないというニュアンスで使います。
「差し支えない」は相手にお願いや質問された場合に「大丈夫ですよ」という意味合いで返事する場合と、相手にお願いする時のクッション言葉として使います。
前者の使い方の例を挙げると、「お昼ご飯ご一緒してもいいでしょうか」とお願いされた場合に、「差し支えないです」と答えたのであれば、「大丈夫ですよ一緒に食べましょう」という意味になります。
後者の使い方としては、「差し支えないのであればお昼ご一緒しませんか」となり、都合の悪い事情がなければお昼を一緒食べましょうと相手にお願いすることを意味しています。
「差し支えない」はビジネスシーンでよく使用されており丁寧な表現なので目上の人に対しても使うことが可能です。ただし、「差し支えないです」「差し支えありません」「差し支えございません」などとするとより丁寧な表現になるので、相手に良い印象を与えることができます。
「差し支えない」の類語
「差し支えない」の類語・類義語としては、ある物事を行うのに具合の悪い事情がないことを意味する「支障はない」、都合の悪いことはないことを意味する「不都合はない」などがあります。
「問題ない」の意味
「問題ない」とは
「問題ない」とは、大丈夫であることを意味しています。
表現方法は「問題ないよ」「全然問題ない」「問題ないと思います」
「問題ないよ」「全然問題ない」「問題ないと思います」などが、「問題ない」を使った一般的な言い回しです。
「問題ない」の使い方
「問題ない」を使った分かりやすい例としては、「少しくらいの遅刻なら問題ないですよ」「問題ないようでしたらこのままお作りいたします」「少し早めに来てくださっても問題ないです」「このお時間で問題ないでしょうか」などがあります。
「問題ない」は困った事柄や厄介な事件のことを意味する「問題」に否定形のないが合わさり、困った事柄や厄介な事件がないことを意味しています。これが転じて、大丈夫であることや支障がないという意味で使われるようになりました。
「問題ない」は敬語表現ではないので、友人や家族間などの親しい間柄で使う言葉です。また、ビジネスシーンでも使うことができますが、目上の人に対して使うことはできず、主に同僚や目下の人に対して使います。
「問題ない」の敬語表現は「問題ございません」「問題ありません」
もし、目上の人に対して使いたいのであれば、「問題ございません」や「問題ありません」に置き換えて使うようにしましょう。
「問題ない」の類語
「問題ない」の類語・類義語としては、る物事を行うのに具合の悪い事情がないことを意味する「差し障りない」、不満に思う点がないことを意味する「申し分ない」、条件などにかなっていて都合がよいことを意味する「好都合」などがあります。
「差し支えない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、都合の悪い事情がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「差し支えない」は目上の人に対して使える言葉です。
「問題ない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大丈夫であることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「問題ない」は同僚や目下の人に対して使う言葉になります。
「差し支えない」と「問題ない」はどちらもある物事を行うのに具合の悪い事情がないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人に対して使えるのが「差し支えない」、目上の人に対して使えないのが「問題ない」と覚えておきましょう。