【哭く】と【泣く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「なく」という読み方の「哭く」と「泣く」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「哭く」と「泣く」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「哭く」と「泣く」の違い

「哭く」と「泣く」の意味の違い

「哭く」と「泣く」の違いを分かりやすく言うと、「哭く」の方が「泣く」よりも感情の表現が激しいという違いです。

「哭く」と「泣く」の使い方の違い

一つ目の「哭く」を使った分かりやすい例としては、「突然の解雇通知に膝から落ちて哭く」「彼は人目を気にせずわんわんと哭いてる」「悪天候により海がうねりを上げて哭いている」などがあります。

二つ目の「泣く」を使った分かりやすい例としては、「赤ん坊がお腹を空かせて泣いている」「努力が認められたのが嬉しくて泣く」「彼の歌に感動して泣く」「この話を聞いて泣かないものはいないだろう」「お金を落として泣きたくなった」などがあります。

「哭く」と「泣く」の使い分け方

「哭く」と「泣く」は同音でどちらも喜びや悲しみなどの気持ちがとても強く涙を流すことを意味する言葉で大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「哭く」の方が「泣く」よりも感情の表現が激しいという点です。

「哭く」はただ涙を流すのではなく、感情を抑えきれずに大声で哭き叫ぶというニュアンスなのに対して、「泣く」は辛い時や悲しみで涙を流すなど辛い思いをしたというニュアンスで使います。

また、「泣く」の方が「哭く」よりも一般的に使われているというのも違いの一つです。

「なく」には「哭く」や「泣く」以外にも「鳴く」や「啼く」などがあります。「鳴く」や「啼く」は鳥や獣などが声を出す時に使う言葉と覚えておきましょう。

「哭く」と「泣く」の英語表記の違い

「哭く」も「泣く」も英語にすると「cry」「shed tears」「weep」「sob」「blubber」「wail」「lament」となり、例えば上記の「お金を落として泣きたくなった」を英語にすると「I felt like crying when I discovered I had lost the money」となります。

「哭く」の意味

「哭く」とは

「哭く」とは、感情を抑えきれずに大声で泣き叫ぶことを意味しています。

「哭く」の読み方

「哭く」の読み方は「なく」です。誤って「こく」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「大声で哭く」「空が哭く」

「大声で哭く」「空が哭く」などが、「哭く」を使った一般的な言い回しになります。

「哭く」の使い方

「哭く」を使った分かりやすい例としては、「友人の訃報を聞き大声で哭く」「今日はずっと外で風が哭き続けている」「彼は人目をはばからず大声で哭いている」「ここ1時間くらい雷が哭いていてとても怖いです」などがあります。

「哭く」はただ泣くのではなく、感情を抑えきれずに大声で哭く場合に使うのが特徴です。また、訃報などの辛い場面で、声を出して激しく哭く場合にも使うことができます。

「哭く」のその他の特徴としては、上記の「今日はずっと外で風が哭き続けている」のように、人以外の大きな音に対しも使えるという点です。

「哭く」の類語

「哭く」の類語・類義語としては、雄たけびを上げることを意味する「吠える」、むせび泣くことを意味する「歔欷」(読み方:きょき)、悲しみのあまり声をあげて泣くことを意味する「慟哭」(読み方:どうこく)などがあります。

「泣く」の意味

「泣く」とは

「泣く」とは、悲しみや喜びなどを抑えることとができずに涙を出すことを意味しています。その他にも、身にしみて辛い思いをすることの意味も持っています。

表現方法は「思わず泣く」「嬉しさに泣く」「感動して泣く」

「思わず泣く」「嬉しさに泣く」「感動して泣く」などが、「泣く」を使った一般的な言い回しになります。

「泣く」の使い方

「大学に見事合格しあまりの嬉しさに泣く」「彼の話に感動して泣く」などの文中で使われている「泣く」は、「悲しみや喜びなどを抑えることとができずに涙を出すこと」の意味で使われています。

一方、「雨で運動会が中止という悪天候に泣くことになった」「席替えのくじ運が悪くて泣く」などの文中で使われている「泣く」は、「身にしみて辛い思いをすること」の意味で使われています。

「泣く」はある感情や目の物理的刺激への反応として涙を流すことや、目に涙を浮かべることを表現する場合に使う言葉です。また、泣くを促す感情としては、怒り、幸福、悲しみ、苦痛などがあります。

「泣く」の特徴としては、涙が出ることです。ではなぜ涙が出るのかと言うと、自律神経が深く関係しています。怒り、幸福、悲しみ、苦痛などの感情によって交感神経が優位になると、涙腺が刺激されて涙が流れるという仕組みです。

「泣く」の類語

「泣く」の類語・類義語としては、声をつまらせて泣くことを意味する「嗚咽する」(読み方:おえつする)、悔しさや無念をじっと堪えることを意味する「涙を呑む」、涙をこぼすことを意味する「落涙」などがあります。

「哭く」の例文

1.10年間飼っていた愛犬の寿命がもう長くないと知り、膝から崩れ落ちて哭いた。
2.川が氾濫し自宅が流されてしまい、ただ哭くことしができませんでした。
3.少年の哭き叫んでいる声が聞こえたので、助けに行くと熊に追われていました。
4.地震で大きな看板が落下し、地面に落ちた時の哭く音が凄かったです。
5.大型台風が上陸した影響で、外は激しい風で大きく哭いている。
6.自分よりも大切な人を亡くした時、人は叫び哭くのではなく、感情を失くし声も涙も何も出てこなくなる。
7.内戦地で出会い命を預け合った仲間の訃報を聞いた。天に轟くほどの声で哭いたのは、後にも先にもあの時しかない。
8.先日、台風が上陸する前後には悪天候により海がうねりを上げて哭いているのが、1キロ離れた我が家でも聞こえました。
9.パトロールをしていると女の悲鳴に似た哭なき声がし急いで駆け付けてみると、チンピラが女に暴力を振るおうとしていた。
10.忘年会の出し物は声帯模写でもやろうと思っているが、犬の哭き声をやったところで大して受けないのは目に見えている。

この言葉がよく使われる場面としては、感情を抑えきれずに大声で泣き叫ぶことを表現したい時などが挙げられます。

例文4や例文5のように「哭く」は、人以外の大きな物音に対しても使うことができます。

「泣く」の例文

1.道を歩いていたら子供が泣いていたので、何があったのかと聞きました。
2.息子を病院に連れていったら泣いてしまったので、おもちゃを買って上げることを約束しました。
3.今シーズン引退する選手のインタビューで感動してしまい、思わず泣いてしました。
4.悪天候に泣くことになり、今大会を1位で終えることはできませんでした。
5.大好きなアーティストのコンサートに落選し、思わず泣いてしまいました。
6.よく泣くのは赤ちゃんの仕事というが、たまには職務怠慢して欲しいと思う新米ママの私です。
7.父親から男は泣くものではないという観念を叩きこまれていたので、今までずっと泣くことを我慢していたのかもしれない。
8.大学の特設会場では見事合格しあまりの嬉しさに泣く学生と、不合格で悔しくて泣く学生とが入り乱れていた。
9.今まであれだけ頑張って練習してきたのに、まさかの雨で運動会が中止という悪天候に泣くことになるとはね。
10.彼女とは3年ぶりの再会だ。都会暮らしで辛いこともあったのか、彼女は私の顔を見るなり泣いて喜んでいた。

この言葉がよく使われる場面としては、悲しみや喜びなどを抑えることとができずに涙を出すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、身にしみて辛い思いをすることを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「泣く」は悲しみや喜びなどを抑えることとができずに涙を出すこと、例文4例文5の「泣く」は身にしみて辛い思いをすることの意味で使っています。

「哭く」と「泣く」はどちらも喜びや悲しみなどの気持ちがとても強く涙を流すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「哭く」の方が「泣く」よりも感情の表現が激しい場合に使うと覚えておきましょう。

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