似た意味を持つ「老婆心ながら」(読み方:ろうばしんながら)と「僭越ながら」(読み方:せんえつながら)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」という言葉は、どちらもを出過ぎたことをすること意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の違い
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の意味の違い
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の違いを分かりやすく言うと、「老婆心ながら」は目上の人に使えない、「僭越ながら」は目上の人に使えるという違いです。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の使い方の違い
一つ目の「老婆心ながら」を使った分かりやすい例としては、「老婆心ながら忠告するけどこのままでは失敗するよ」「老婆心ながら彼の将来が心配です」「老婆心ながら言っておきたいことがあります」「老婆心ながらお二人の幸せを願っていますよ」などがあります。
二つ目の「僭越ながら」を使った分かりやすい例としては、「僭越ながら代表としてご挨拶させていただきます」「僭越ながらこちらの意見には賛同することはできません」「僭越ながら担当者が不在のため私が対応させていただきます」などがあります。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の使い分け方
「老婆心ながら」と「僭越ながら」はどちらも出過ぎたことをすることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「老婆心ながら」はお節介と分かっていながら忠告することを意味する言葉で、謙ってはいるものの、年長者から目下の人に対して使う言葉になります。
一方、「僭越ながら」は自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることを意味する言葉で、基本的に目上の人をさしおいて意見する場合に使う言葉と覚えておきましょう。
つまり、「老婆心ながら」は目上の人に使えないのに対して、「僭越ながら」は目上の人に使えるのが違いです。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」の英語表記の違い
「老婆心ながら」も「僭越ながら」も英語にすると「Allow me to say」「 I do not mean to be rude, but」などがあります。
「老婆心ながら」の意味
「老婆心ながら」とは
「老婆心ながら」とは、お節介と分かっていながら忠告することを意味しています。
表現方法は「老婆心ながら言わせてもらうと」「老婆心ながら忠告すると」
「老婆心ながら言わせてもらうと」「老婆心ながら忠告すると」などが、「老婆心ながら」を使った一般的な言い回しになります。
「老婆心ながら」の使い方
「老婆心ながら」を使った分かりやすい例としては、「老婆心ながら二人の行く末を案じています」「老婆心ながら言わせてもらうとここは飲食禁止エリアですよ」「老婆心ながら言わせてもらうそんな装備で登山するべきではありません」などがあります。
「老婆心ながら」は、必要以上に世話を焼こうとする自分の気持ちを謙った表現である「老婆心」に、接続助詞の「ながら」が合わさり、お節介と分かっていながら忠告することの意味で使われている言葉です。
「老婆心ながら」は他人に忠告や助言をする場合に使う言葉で、ビジネスシーンでも使用することができます。ただし、人生経験豊富な目上の人が目下の人に対して使う言葉なので、目下の人から目上の人に対しては使えないと覚えておきましょう。
「老婆心ながら」はクッション言葉
「老婆心ながら」クッション言葉です。クッション言葉とは、伝えたい本題に入る前に一言添えて気遣いを示す言葉のことを意味しています。そのため、クッション言葉を使用すると相手に対して良い印象を与えることができます。
「老婆心ながら」の注意点
「老婆心ながら」を使う上で注意しなければならないのは、男性が使っても問題ないという点です。老婆という言葉を使用しているため、女性をイメージしやすいですが、「老婆心ながら」の老婆は年長者のことを指しています。そのため、男性が使用しても問題ありません。
「老婆心ながら」の類語
「老婆心ながら」の類語・類義語としては、出しゃばっていらぬ世話を焼くことを意味する「お節介ながら」、一層注意するためのことを意味する「念のため」などがあります。
「僭越ながら」の意味
「僭越ながら」とは
「僭越ながら」とは、自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることを意味しています。
表現方法は「僭越ながらお祝い」「誠に僭越ながら」「僭越ながら意見を」
「僭越ながらお祝い」「誠に僭越ながら」「僭越ながら意見を」などが、「僭越ながら」を使った一般的な言い回しになります。
「僭越ながら」の使い方
「僭越ながら」を使った分かりやすい例としては、「僭越ながら私の意見を述べさせてもらいます」「僭越ながらいくつか確認させていただきたい点がございます」「僭越ながら乾杯の音頭を取らせていただきます」などがあります。
「僭越ながら」は自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることを意味する「僭越」に、接続助詞の「ながら」が合わさった言葉で、ビジネスシーンにおいてよく使われています。
「僭越ながら」は目下の人が目上の人に対して、自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをする場合の前置きとして使うのが一般的です。
したがって、「僭越ながら申し上げますと」「僭越ながら意見を述べさせていただきます」などのように、目上の人に対して意見する場合に使うことが多いと覚えておきましょう。
「僭越ながら」の注意点
「僭越ながら」を使う上で注意しなければならないのは、目上の人から目下の人に対しては使わない方が良い言葉という点になります。なぜなら、目上の人から目下の人に対して使ってしまうと、嫌味と捉える人も一定数するからです。
「僭越ながら」の類語
「僭越ながら」の類語・類義語としては、 相手に迷惑をかけたり相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うことを意味する「恐縮ですが」、礼儀に欠けていることを意味する「失礼ながら」などがあります。
「老婆心ながら」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、お節介と分かっていながら忠告することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「老婆心ながら」は目上の人に対しては使うことができない言葉です。
「僭越ながら」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の地位や立場を越えて出過ぎたことをすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「僭越ながら」は目上の人にも使える言葉です。
「老婆心ながら」と「僭越ながら」はどちらも出過ぎたことをすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人に使えないのが「老婆心ながら」、目上の人にも使えるのが「僭越ながら」と覚えてきましょう。