似た意味を持つ「親和性」(読み方:しんわせい)と「融和性」(読み方:ゆうわせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「親和性」と「融和性」という言葉は、どちらも「結び付く性質」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
親和性と融和性の違い
親和性と融和性の意味の違い
親和性と融和性の違いを分かりやすく言うと、親和性よりも融和性の方が、物事の結び付きが強いさまを表すという違いです。
親和性と融和性の使い方の違い
一つ目の親和性を使った分かりやすい例としては、「カーキはアウトドアファッションとの親和性が高い色です」「ハードとの親和性に留意してソフトウェアを選ぼう」「セラミックは生体親和性が良い素材です」などがあります。
二つ目の融和性を使った分かりやすい例としては、「治安が良く、文化融和性が高いニュージーランドは留学先におすすめです」「協調性や融和性に欠く性格は周囲に受け入れられなかった」「マンション住民同士の融和性が課題となっています」などがあります。
親和性と融和性の使い分け方
親和性と融和性という言葉は、どちらも物事の相性の良さや結び付く性質を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
親和性とは、ある物質が他の物質と容易に結合する性質や、物事を組み合わせたときの相性の良さを意味します。上記の例文のように、基本的には化学分野やITシステム分野で使われる言葉ですが、最近では「彼とは親和性があると思う」のように、人間関係の相性の良さを表すことがあります。
融和性とは、馴染んで融合する性質、打ち解けて仲良くするさまを意味する言葉です。上記の例文の「文化融和性」とは、異なる二つの文化がとけ合って一つになるさまを表します。また、人間関係においては、人と人同士が互いに打ち解けて親しくなるさまを意味します。
つまり、親和性は相性の良さを意味しますが、融和性という言葉は相性の良さに留まらず、打ち解けて一つにまとまる様子を表します。二つの言葉を比べると、親和性よりも融和性の方が結び付きが強いことを表現する言葉だと言えるでしょう。
親和性と融和性の英語表記の違い
親和性も融和性も英語にすると「compatibility」「compatible」となり、例えば上記の「親和性が高い」を英語にすると「have a high compatibility」となります。
親和性の意味
親和性とは
親和性とは、ある物質が他の物質と容易に結合する性質や傾向を意味しています。
その他にも、「物事を組み合わせたときの相性の良さ、結び付きやすい性質」の意味も持っています。
表現方法は「親和性が低い」「親和性が高い」「親和性がある」
「親和性が低い」「親和性が高い」「親和性がある」などが、親和性を使った一般的な言い回しです。
親和性の使い方
「タングステンと鉄は親和性が高い」「チタンは生体親和性が良い物質です」「この建物には生物親和性コンクリートを使用しています」などの文中で使われている親和性は、「物質同士が容易に結合する性質」の意味で使われています。
一方、「スマホとゲームの親和性は高い」「SNSとの親和性が高いビジネスはたくさんあります」「挨拶は人間関係において親和性を高めると思います」などの文中で使われている親和性は、「物事を組み合わせたときの相性の良さ」の意味で使われています。
親和性の「親和」は、異種の物質がよく化合すること、互いになごやかに親しむことという二つの意味を持つ言葉です。物事の性質や傾向を表す「性」と合わさり、親和性とは、異なる物質同士が容易に結び付く性質や、物事の相性の良さを意味します。
親和性という言葉は、大きく分けて二つのシーンで使われている言葉です。一つは、物理や化学の分野で使われ、複数の物質の結合性を表し、「親和性が高い」「親和性が低い」などと表現します。
もう一つは、ビジネスシーンで使用され、物事を組み合わせることにより高い効果が得られることを表します。また、「ハードとの親和性を考えてソフトをダウンロードする」のように、コンピューターシステムの相性の良さを表すこともあります。
さらに、親和性は相性の良さの意味が転じて、人間関係を表現する時にも使われるようになっています。上記の例文の「挨拶は親和性を高める」は、挨拶は人と人を結び付ける性質があることを表しています。
親和性の対義語
親和性の対義語・反対語としては、自分の仲間以外の者すべてをしりぞけて受け入れないことを意味する「排他」、互いの主張や立場が相反していて両立しないことを意味する「相容れない」、嫌ってのけものにすることを意味する「疎外」などがあります。
親和性の類語
親和性の類語・類義語としては、化学物質を構成する複数の原子を結び付けている結合を意味する「化学結合」、互いの性格や調子などの合い方を意味する「相性」、全体がほどよくまとまっていることを意味する「調和」、調和がとれることや適合することを意味する「マッチ」などがあります。
融和性の意味
融和性とは
融和性とは、馴染んで融合する性質、打ち解けて仲良くする傾向を意味しています。
表現方法は「融和性が高い」「融和性がある」「融和性を高める」
「融和性が高い」「融和性がある」「融和性を高める」などが、融和性を使った一般的な言い回しです。
融和性の使い方
融和性を使った分かりやすい例としては、「景観との融和性が高い外観にする」「介護とデジタル技術の融和性が高まりつつある」「落語は詩歌との融和性が高いと思う」「動画と音楽は高い融和性がある」などがあります。
その他にも、「彼女は温和な性格で、誰とでも親しくなれる融和性がある」「地域住民の融和性を高めるようなイベントを企画しよう」「弊社と融和性の高い企業とのコラボレーションを検討しています」などがあります。
融和性とは、馴染んで融合することを意味します。融和性の「融和」は、とけて混じり合うこと、打ち解けて互いに親しくなることを表す熟語であり、「性」は名詞の下に付いて物事の性質や傾向を表す接尾語です。
融和性という言葉は、「住民の融和性を高める」のように個人間の結び付きを表すだけでなく、「融和性の高い企業」のように会社間や国同士など組織間の結びつきを表現することもあります。
融和性の対義語
融和性の対義語・反対語としては、仲が悪いことや仲たがいを意味する「不和」、仲が悪くなることを意味する「軋轢」、互いに自分の意見を強く主張して譲らないことを意味する「確執」などがあります。
融和性の類語
融和性の類語・類義語としては、異なる性質や思想などが感化されて同じになることを意味する「同化」、味わいや調子などが一つに溶けあうことを意味する「馴染む」、気が合うことや気持ちがよく通じることを意味する「肌が合う」などがあります。
親和性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある物質が他の物質と容易に結合する性質、物事を組み合わせたときの相性の良さを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある親和性は、ある物質が他の物質と容易に結合する性質の意味で用いられています。例文3から例文5の親和性は、物事を組み合わせたときの相性の良さの意味で用いられています。
融和性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、溶けて混じり合う性質、打ち解けて互いに親しくなる傾向を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある融和性は、溶けて混じり合う性質や馴染んで融合する傾向を表しています。例文5の融和性は、打ち解けて互いに親しくなるさまの意味で用いられています。
親和性と融和性という言葉は、どちらも「結び付く性質」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、より強く物事が結び付くさまを表現したい時は「融和性」を使うようにしましょう。