似た意味を持つ「寄り添う」(読み方:よりそう)と「付き添う」(読み方:つきそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「寄り添う」と「付き添う」という言葉は、どちらもそばに寄ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「寄り添う」と「付き添う」の違い
「寄り添う」と「付き添う」の意味の違い
「寄り添う」と「付き添う」の違いを分かりやすく言うと、「寄り添う」とは物理的と心理的どちらでも使える、「付き添う」とは物理的でしか使えないという違いです。
「寄り添う」と「付き添う」の使い方の違い
一つ目の「寄り添う」を使った分かりやすい例としては、「子供の気持ちに寄り添うのは大切なことだと思います」「暮らしに寄り添う家づくりが私の目標です」「彼に寄り添って歩く」「夫婦は寄り添って歩いていた」などがあります。
二つ目の「付き添う」を使った分かりやすい例としては、「息子の小学校の入学式に付き添う」「祖母の通院に付き添う」「会社を休んで妻の出産に付き添う」「彼女の買い物に付き添うことになりました」「病院まで父に付き添う」などがあります。
「寄り添う」と「付き添う」の使い分け方
「寄り添う」と「付き添う」はどちらもそばに寄ることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「寄り添う」は「彼に寄り添って歩く」のように物理的だけでなく、「娘の気持ちに寄り添うことはとても大切です」のように、心理的にそばに寄る場合にも使うことができます。
一方、「付き添う」は「娘の中学校の入学式に付き添う」「祖父の通院に付き添うことになりました」などのように、物理的にそばに寄る場合にのみ使えるというのが違いです。
つまり、「寄り添う」は物理的と心理的どちらでも使えるのに対して、「付き添う」は物理的でのみ使える言葉と覚えておきましょう。
「寄り添う」と「付き添う」の英語表記の違い
「寄り添う」を英語にすると「snuggled up」「nestle close」となり、例えば上記の「夫婦は寄り添って歩いていた」を英語にすると「The couple walked along nestling close to each other」となります。
一方、「付き添う」を英語にすると「to accompany」「attend」となり、例えば上記の「病院まで父に付き添う」を英語にすると「I accompanied my father to the hospital」となります。
「寄り添う」の意味
「寄り添う」とは
「寄り添う」とは、もたれかかるようにそばへ寄ることを意味しています。
「寄り添う」は「寄添う」とも表記可能
「寄り添う」は送り仮名を省略して、「寄添う」と表記することが可能です。
表現方法は「心に寄り添う」「気持ちに寄り添う」「人に寄り添う」
「心に寄り添う」「気持ちに寄り添う」「人に寄り添う」などが、「寄り添う」を使った一般的な言い回しになります。
「寄り添う」の使い方
「寄り添う」を使った分かりやすい例としては、「お互いに寄り添うことで愛情を深められると思っています」「大学受験に失敗して落ち込んでいる息子に寄り添う」「お客様に寄り添う商品を提供する」「彼は相手の気持ちに寄り添うことができる人です」などがあります。
「寄り添う」はある人や物やある所に向かって近づくことを意味する「寄る」に、ぴったりとそばにいることを意味する「添う」が合わさり、もたれかかるようにそばへ寄ることの意味で使われている動詞になります。
「寄り添う」は二つの使い方ができるのが特徴です。一つ目は「愛犬が寝ている私に寄り添う」「ソファーで休憩している彼に寄り添う」などのように、実際に身体がそばにあり物理的に寄り添っていることを表現する場合になります。
二つ目は「落ち込んでいる娘に寄り添う」「お客様に寄り添うサービスを提供する」などのように、気持ちがそばにあり心理的に寄り添っていることを表現する場合です。
また、「寄り添う」は基本的にプラスのイメージで使う言葉と覚えておきましょう。
「寄り添う」の類語
「寄り添う」の類語・類義語としては、他人の意見や感情などにその通りだと感じることを意味する「共感する」、支えることを意味する「サポートする」などがあります。
「付き添う」の意味
「付き添う」とは
「付き添う」とは、世話などをするためにそばに付いてることを意味しています。
「付き添う」は「付添う」とも表記可能
「付き添う」は送り仮名を省略して、「付添う」と表記することが可能です。
表現方法は「病院に付き添う」「子供に付き添う」
「病院に付き添う」「子供に付き添う」などが、「付き添う」を使った一般的な言い回しになります。
「付き添う」の使い方
「付き添う」を使った分かりやすい例としては、「娘の小学校の卒業式に付き添う」「祖父の通院に付き添うことになりました」「息子の中学事件に付き添う」「サッカースクールに母親が付き添う」「今日は彼女の買い物に付き添う」などがあります。
「付き添う」はあるもののそばに寄ってそい従うことを意味する「付く」に、ぴったりとそばにいることを意味する「添う」が合わさり、世話などをするためにそばに付いてることの意味で使われている動詞です。
特に、貴人や弱い者や小さな者のように、世話や保護を必要とする者のそばにいる場合に使うことが多いと覚えておきましょう。
「付き添う」を使う上で注意しなければならないのは、実際に身体がそばにあり、物理的に近寄っている場合にしか使えないという点です。したがって、「彼女に気持ちに付き添うことにした」のように、心理的にそばに寄る場合は使えないと覚えておきましょう。
「付き添う」の類語
「付き添う」の類語・類義語としては、そばを離れずにいることを意味する「添う」、一緒に連れ立って行くことを意味する「同行」、目上の人などに付き従っていくことを意味する「お供」、目下の人や家来を一緒に連れていくことを意味する「召し連れる」などがあります。
「寄り添う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もたれかかるようにそばへ寄ることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の「寄り添う」は心理的、例文4と例文5の「寄り添う」は物理的な意味で使っています。
「付き添う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世話などをするためにそばに付いてることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「付き添う」は物理的にそばに寄る場合に使う言葉です。
「寄り添う」と「付き添う」はどちらもそばに寄ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物理的にも心理的にも使えるのが「寄り添う」、物理的でしか使えないのが「付き添う」と覚えておきましょう。