似た意味を持つ「知行合一」(読み方:ちこうごういつ)と「言行一致」(読み方:げんこういっち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「知行合一」と「言行一致」という言葉は、どちらもを「実行することの大切さ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
知行合一と言行一致の違い
知行合一と言行一致の意味の違い
知行合一と言行一致の違いを分かりやすく言うと、知行合一とは知識を実行することを表し、言行一致とは発言を実行することを表すという違いです。
知行合一と言行一致の使い方の違い
一つ目の知行合一を使った分かりやすい例としては、「私の座右の銘は知行合一です」「知行合一で化学の授業では実験を取り入れてます」「机上の空論ではなく知行合一であるべきです」「知行合一の行動学をビジネス戦略に活かす」などがあります。
二つ目の言行一致を使った分かりやすい例としては、「私の座右の銘は言行一致です」「言行一致の英語教師は生徒から信頼されている」「言行一致はビジネスマンの基本です」「リーダーには言行一致が求められる」などがあります。
知行合一と言行一致の使い分け方
知行合一と言行一致という言葉は、どちらも実行することの大切さを表した四字熟語ですが、意味や使い方には違いがあります。
知行合一とは、知識と実行は本来二つには分けられないことを意味し、真に知ることは必ず実行を伴うことを表す四字熟語です。例えば、ことわざの「早起きは三文の徳」を知っていても、実際に早起きをしてその良さを知らなければ、この言葉の真意を理解したことにはならない、とする考えです。
言行一致とは、発言と行動が同じであることを意味し、主張しているとおりに行動することを表した四字熟語です。例えば、「明日は早起きする」と宣言して、実際に早起きできたならば言行一致といえます。もし早起きできなかった場合は、言行不一致と表現します。
つまり、知行合一と言行一致の違いは、知行合一は知識を実行に移すことに対し、言行一致は発言を実行に移す点にあります。
知行合一と言行一致の英語表記の違い
知行合一を英語にすると「awareness comes only through practice」となり、例えば上記の「私の座右の銘は知行合一です」を英語にすると「My motto is “awareness comes only through practice”」となります。
一方、言行一致を英語にすると「acting up to one’s words」「consistency of speech and action」となり、例えば上記の「私の座右の銘は言行一致です」を英語にすると「My motto is “acting up to my words”」となります。
知行合一の意味
知行合一とは
知行合一とは、知識と行為は一体であるということ、本当の知は実践を伴わなければならないということを意味しています。
知行合一の読み方
知行合一の読み方は「ちこうごういつ」です。誤って「ちぎょうごういつ」などと読まないようにしましょう。知行を「ちぎょう」と読んでしまうと、「職務を執行すること」という別の意味になってしまいます。
知行合一の使い方
知行合一を使った分かりやすい例としては、「知行合一でビジネストークを実践する」「知行合一になっていない時間の使い方を反省する」「ソクラテスは知行合一ではなく知徳合一を説いた」などがあります。
その他にも、「英語は実際に話すことで知行合一になるだろう」「知行合一の精神で現場主義の実践活動をしています」「陽明学を開いた王陽明は知行合一説を唱えました」「吉田松陰の松下村塾には知行合一の教えがありました」などがあります。
知行合一とは、知識と行為は一体であることを意味し、真の知識は実践によって裏づけられていなければならないことを表す四字熟語です。知行合一の「知行」は知ることと行うこと、「合一」は二つ以上のものが合わさって一つになることを意味します。
知行合一の由来
知行合一という言葉の由来は、陽明学にあります。古代中国の思想家である王陽明は、先知後行説を唱えた朱子学を批判して、道徳的実践や体験による知識を重んじました。日本では、幕末の志士達の師である吉田松陰が、松下村塾で塾生達に伝えた言葉として有名です。
知行合一の対義語
知行合一の対義語・反対語としては、知と行とでは行の方が重要であるが順序からいえば知が先で行が後であることを意味する「先知後行」、頭の中だけで考え出した役に立たない理論や考えを意味する「机上の空論」知識や理屈ばかりで行動が伴わないことを意味する「頭でっかち」などがあります。
知行合一の類語
知行合一の類語・類義語としては、知識と行動に食い違いがないことを意味する「知行一致」、しゃべることもやることも達者なことを意味する「口八丁手八丁」、理論などを実際に実行してみることを意味する「実践躬行」などがあります。
言行一致の意味
言行一致とは
言行一致とは、言葉に出したことと、その行動が同じであることを意味しています。
言行一致の読み方
言行一致の読み方は「げんこういっち」です。誤って「げんぎょういっち」などと読まないようにしましょう。
言行一致の使い方
言行一致を使った分かりやすい例としては、「ビジネスでは言行一致を大切にしています」「信頼を得るために言行一致を貫かねばならない」「言行一致の法則に苦しんだ経験があります」「言行一致しない人は信じられません」などがあります。
その他にも、「今のところ言行一致で英語のラジオ講座を毎日聴いています」「言行一致と有言実行の違いを説明しましょう」「言行一致で歌詞はすべて覚えました」「彼は言行一致しないところが欠点だ」などがあります。
言行一致とは、口で言ったことと行動とが同じであることを意味し、発言と行動とに矛盾がないこと、主張しているとおりに行動することを表す四字熟語です。言行一致の「言行」は口でいう内容と実際の行為、「一致」は二つ以上のものがぴったり一つになることを意味します。
言行一致という言葉は、口先だけでなく行動を伴うことであり、結果的に人々から信頼を得るというプラスイメージの言葉です。ビジネスシーンだけでなく、日常会話でも使用されている表現です。
言行一致の対義語
言行一致の対義語・反対語としては、主張と行動が食い違うことを意味する「言行不一致」、あれこれ言わず黙ってなすべきことを実行することを意味する「不言実行」などがあります。
言行一致の類語
言行一致の類語・類義語としては、発言したことを責任をもって実践することを意味する「有言実行」、口に出して言うことと実際に起こす行動を一致させることを意味する「形名参同」などがあります。
知行合一の例文
この言葉がよく使われる場面としては、知ることと実行することとは本来二つには分けられないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にあるように、知行合一という言葉は、座右の銘や経営理念あるいは校訓などにされている四字熟語です。例文4にある中江藤樹は、江戸時代初期の陽明学者であり、近江国出身のため近江聖人と称えられました。
言行一致の例文
この言葉がよく使われる場面としては、口で言ったことと実際に行うことが食い違わないことを表現したい時などが挙げられます。
例文3の文中にある言行一致の法則とは、自分の発言と行動を一致させたいと思う心理学的な働きを表しています。例文5の言行一致と有言実行の違いは、言行一致は結果的に発言と行動が同じになることに対し、有言実行はプロセスとして発言を行動に移すことを表す点にあります。
知行合一と言行一致という言葉は、どちらも「実行することの大切さ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、知識を実行することを表現したい時は「知行合一」を、発言を実行することを表現したい時は「言行一致」を使うようにしましょう。