【枢軸】と【連合】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「枢軸」(読み方:すうじく)と「連合」(読み方:れんごう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「枢軸」と「連合」という言葉は、どちらも「関係性や結びつき」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




枢軸と連合の違い

枢軸と連合の意味の違い

枢軸と連合の違いを分かりやすく言うと、枢軸とは物事の中心を表し、連合とは結び合うことを表すという違いです。

枢軸と連合の使い方の違い

一つ目の枢軸を使った分かりやすい例としては、「第2次世界大戦に日独伊は枢軸国となりました」「枢軸国と連合国の対立が激化した」「中央アジアはユーラシア大陸の東西の枢軸です」「ドイツはEUにおいて経済的な枢軸の国である」などがあります。

二つ目の連合を使った分かりやすい例としては、「その根本思想は連合主義にあった」「連合国軍最高司令官総司令部は東京に設置されました」「北アイルランドは連合王国に残留しました」「連合によって精神現象を説明する」「連合は5%程度の賃上げを求める方針だ」などがあります。

枢軸と連合の使い分け方

枢軸と連合という言葉は、どちらも政治的な関係性や結びつきを表し、第二次世界大戦においては「枢軸国」「連合国」と使用されていましたが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

枢軸とは、物事の中心を意味する言葉です。「枢軸産業」とは、国を支えるような中心となる産業のことです。一方の連合とは、複数のものが結び合って一つの組織を形成することを意味します。心理学では心的要素の結合の意味し、また、日本労働組合総連合会の略称としても用いられています。

「枢軸国」「連合国」とは、第二次世界大戦で対立した二陣営を指していう言葉です。枢軸国は日本・ドイツ・イタリアの日独伊三国同盟を中心とした国々であり、この枢軸国と戦ったのが「連合国」です。連合国はアメリカ・ソ連・イギリスによって主導され、戦争は連合国の勝利で終わりました。

枢軸と連合の英語表記の違い

枢軸を英語にすると「axis」「pivot」となり、例えば上記の「枢軸国」を英語にすると「the Axis」となります。

一方、連合を英語にすると「association」「combine」「union」となり、例えば上記の「連合主義」を英語にすると「associationism」となります。

枢軸の意味

枢軸とは

枢軸とは、物事の中心となる部分を意味しています。

その他にも「政治や権力の中心」の意味も持っています。

枢軸の使い方

「ハリウッド映画は文化産業の枢軸となった」「羽田空港は空路の枢軸である」「ヤスパースは哲学が生まれた時代を枢軸時代と名付けました」「中国古典は枢軸時代の産物である」などの文中で使われている枢軸は、「物事の中心となる部分」の意味で使われています。

一方、「枢軸国が勝利した場合の地図はどうなっていただろう」「枢軸国の軍服がかっこいいと思います」「ワールドカップ初戦は枢軸国同士の対戦となった」「枢軸ダービーはすばらしい試合だった」などの文中で使われている枢軸は、「政治や権力の中心」の意味で使われています。

枢軸とは、物事の大事な所や、政治機関や権力の中心を意味する言葉です。枢軸という言葉の由来は、構成する漢字にあります。「枢」は開き戸の回転軸、「軸」は車の心棒のことであり、物事の肝要な部分や活動の中心を表しています。

「枢軸時代」の意味

上記の例文にある「枢軸時代」とは、ドイツの哲学者であるヤスパースが唱えた世界史の転換期の一つです。紀元前500年頃を中心とする前後300年の幅をもつ時代を、世界史の軸となる時代として「枢軸時代」と称しました。

「枢軸国」の意味

枢軸を用いた日本語には「枢軸国」があります。枢軸国とは、第二次世界大戦の直前期から戦争中にかけて、日独伊の三国同盟の側に属した国のことです。イタリアの軍人ムッソリーニが、ナチスドイツとイタリアファシズムの協力関係を、「ベルリン=ローマ枢軸」と呼んだことに由来する名称です。

枢軸の対義語

枢軸の対義語・反対語としては、組織などの中央から最も遠い部分を意味する「末端」、末端や取るに足らないことを意味する「末梢」などがあります。

枢軸の類語

枢軸の類語・類義語としては、物事の中心や重要な部分を意味する「中核」、 物事の最も大切なところを意味する「枢機」、物事の中心となるところを意味する「機軸」、物事の最も大切な所を意味する「枢要」などがあります。

連合の意味

連合とは

連合とは、二つ以上のものが共通の目的のために結び合うことを意味しています。

その他にも「心理学で、観念と観念、観念と感情など心的要素の結合、また刺激と反応との結合」「日本労働組合総連合会の略称」の意味も持っています。

連合の使い方

「太平洋戦争の主役だった連合艦隊をテーマにした映画です」「連合国名誉旗は平和を象徴する旗である」「あさま山荘事件は連合赤軍の起こした事件です」「2022年度の連合三田会に出席しました」などの文中で使われている連合は、「二つ以上のものが結び合うこと」の意味で使われています。

一方、「連合弛緩は統合失調症の症状の一つです」「大学で連合心理学を研究しています」の文中で使われている連合は「心的要素の結合」の意味で、「連合は賃上げを要求するだろう」「連合会館の場所を確認する」の文中で使われている連合は「日本労働組合総連合会の略」の意味で使われています。

連合の「連」は結びつなぐこと、「合」は二つ以上のものが一緒になることを表します。連合とは、複数のものが共通の目的のために結び合うことを意味する言葉です。また、連合は心理学用語として、心的要素の結合を意味を意味し、「日本労働組合総連合会」の略称としても使用されています。

「連合心理学」の意味

上記の例文にある「連合心理学」とは、心的活動の要素の連合によって精神現象を説明しようとする心理学のことです。観念連合心理学の創始者は、イギリスの哲学者であるデイヴィッド・ハートリーだと言われています。

「国際連合」の意味

連合を用いた日本語には「国際連合」があります。国際連合とは、第二次世界大戦後に国際連盟に代わって設立された国際平和機構のことです。本部はニューヨークにあり、略称である「国連」と呼ばれることが多くあります。

連合の対義語

連合の対義語・反対語としては、他のものから離れて別になっていることを意味する「独立」、一人だけ他から離れてつながりや助けのないことを意味する「孤立」などがあります。

連合の類語

連合の類語・類義語としては、独立している二つ以上のものが一つになることを意味する「合同」、二つ以上のものがまとまって一つになることを意味する「合体」、共同の目的のために行動をともにする誓いを結ぶことを意味する「連盟」などがあります。

枢軸の例文

1.戦前戦後の石炭枢軸産業時代には、九州一円が長崎船籍の運炭船の出入りで賑わいました。
2.グローバル社会のいま、英語は教育課程の枢軸となる教科と言っても過言ではないだろう。
3.なぜ日本は日独伊の枢軸同盟に入ったのか、第二次世界大戦へと向かったのか、ご存知でしょうか。
4.もし第二次世界大戦で枢軸国が勝っていたら、世界はどうなっていただろう。
5.ブッシュ米大統領の「悪の枢軸」発言は、東アジアに緊張と静けさをもたらしました。
6.第二次世界大戦時、日独伊の三国は枢軸国として連携しましたが、イタリアは連合国に降伏し日独に宣戦布告しました。
7.ユーラシア大陸の枢軸である中央アジアは、多くの文化が交錯する場所で、人種のるつぼと言われている。
8.EUの中でドイツは経済的な枢軸となっており、その影響力は広範に及んでいます。
9.もし第二次世界大戦で枢軸国が勝利していたら、世界地図は大きく変貌していたでしょう。
10.枢軸時代とは、哲学者のヤスパースが提唱した世界史の転換期の一つで、文明史的な一大エポックのことである。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の大事な所、政治機関や権力の中心を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「悪の枢軸」とは、アメリカのジョージ・ブッシュ大統領が2002年の一般教書演説での発言であり、北朝鮮、イラン、イラクの3か国を名指しで批判する際に使った総称です。

連合の例文

1.連合赤軍の残党メンバー5人が起こした浅間山荘事件は、半世紀を経ても人々の記憶が消えることはないだろう。
2.連合主義は、18世紀から19世紀にかけてイギリスの経験論哲学者たちを中心に発展した考え方です。
3.連合会長が自民党の会合に出席し、男女の賃金格差の是正などが必要だと訴えました。
4.連合は、組合員に対して支持政党を尋ねるアンケートを毎年実施しています。
5.連合東京は、東京都内で働く約120万人の勤労者で組織する労働組合です。
6.今年の春闘では、値上げラッシュで生活が厳しいので、連合はさらなる賃上げを要求するだろう。
7.その国では共同体のリーダーたちが連合し、地域の発展と福祉の向上を目指す計画を策定しています。
8.リベラル系の政治家と市民団体の連合が、地方自治体の改革を求める運動を展開しています。
9.今度の課題のレポートでは、連合赤軍の起こした事件について、詳しく調べてみることにしました。
10.日露戦争では、東郷平八郎を連合艦隊司令長官とした日本海海戦では、大国ロシアのバルチック艦隊に勝利した。

この言葉がよく使われる場面としては、複数のものが共通の目的のために結び合うこと、心理学で心的要素の結合、日本労働組合総連合会の略を表現したい時などが挙げられます。

例文1にある連合は、複数のものが共通の目的のために結び合うことの意味で用いられています。「連合赤軍」とは、1970年代に活動した日本の極左テロリスト組織の一つです。闘争のための現金を強奪した「赤軍派」と、猟銃などを奪った「革命左派」という二つの組織で構成されていました。

例文2の連合は、心理学における心的要素の結合の意味で、例文3から例文5の連合は、日本労働組合総連合会の略称として用いられています。

枢軸と連合という言葉は、どちらも「関係性や結びつき」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事の大事な所や政治機関の中心を表現したい時は「枢軸」を、共通の目的のために結び合うことを表現したい時は「連合」を使うようにしましょう。

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