似た意味を持つ「謹製」(読み方:きんせい)と「特製」(読み方:とくせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「謹製」と「特製」という言葉は、どちらも「特別に作られたもの」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
謹製と特製の違い
謹製と特製の意味の違い
謹製と特製の違いを分かりやすく言うと、謹製とは謙譲表現であり、特製とは謙譲表現ではないという違いです。
謹製と特製の使い方の違い
一つ目の謹製を使った分かりやすい例としては、「当店謹製の和菓子を是非ご賞味ください」「柏餅の包み紙に謹製と書いてありました」「メニューリストから謹製ステーキ御膳を選びました」などがあります。
二つ目の特製を使った分かりやすい例としては、「当店ではオリジナル特製品を販売しております」「特製味噌ラーメンを注文する」「シェフ特製のステーキは最高です」「特製豆皿を10名様にプレゼントします」などがあります。
謹製と特製の使い分け方
謹製と特製という言葉は、どちらも特別にこしらえたものや特に丁寧に作られたものを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
謹製とは、心を込めて丁寧に作ることや、つつしんで作ることを意味する謙譲表現です。「当店謹製」のような使い方で、自分がへりくだって相手を敬う気持ちを表します。昨今では、「謹製ステーキ御膳」のように、商品名のように扱われることが多くなっている言葉です。
特製とは、特別に作られたものや、他とは違うように作られたものを意味します。その品物を指す場合は、「特製」とも「特製品」とも言います。特製は謙譲表現ではないため、謹製のような相手を敬うという意味合いはありません。
つまり、二つの言葉の違いは謙譲表現かどうかです。謹製という言葉には、相手を敬うニュアンスがありますが、特製には相手を敬う意味合いがないことを覚えておきましょう。
謹製と特製の英語表記の違い
謹製を英語にすると「carefully made」「carefully produced」「humbly made」となり、例えば上記の「当店謹製」を英語にすると「our shop’s carefully made」となります。
一方、特製を英語にすると「specially made」「specially produced」「deluxe」となり、例えば上記の「特製品」を英語にすると「a specially made article」となります。
謹製の意味
謹製とは
謹製とは、心をこめ、つつしんで作ること、その製品を意味しています。
謹製の読み方
謹製の読み方は「きんせい」です。誤って「くんせい」や「うんせい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「謹製いたしました」「謹製です」
「謹製いたしました」「謹製です」などが、謹製を使った一般的な言い回しです。
謹製の使い方
謹製を使った分かりやすい例としては、「当社直営レストラン謹製のお弁当はいかがですか」「高級和菓子の包みに謹製と印刷されている」「老舗和菓子屋の謹製おだんごの引換券をもらいました」などがあります。
その他にも、「当店謹製の栗饅頭がおすすめです」「夫の誕生日プレゼントは謹製誂靴にしました」「謹製と書いてあると特別感がありますね」「英語の先生へのお土産は謹製と書かれた手作り最中にしました」などがあります。
謹製の「謹」は、訓読みで「つつしむ」と読み、相手に対して敬いの心を持つこと、かしこまった態度をとることを表します。物をこしらえることを表す「製」と組み合わさり、謹製とは、心を込めてつつしんで製造することを意味します。多く、食品の製造業者が用いる言葉です。
謹製の誤った使い方
謹製という言葉は、相手への敬意を表す謙譲表現であり、基本的には自分が作ったものに対して使用する言葉です。そのため、他人が作ったものに「謹製」を使用することは本来誤用とされています。
例えば、「鈴木さん謹製の梅酒」という表現は謹製の誤った使い方であり、おかしな日本語です。「鈴木さんが心を込めて作った梅酒」などと言い換えるとよいでしょう。ただし、「謹製梅酒」「謹製タオル」のように商品名として扱われる場合、自分が作ったもの以外でも使用することがあります。
謹製の対義語
謹製の対義語・反対語としては、作り方が粗雑なことや雑なつくりを意味する「粗製」などがあります。
謹製の類語
謹製の類語・類義語としては、つくりが普通より上等であることを意味する「上製」、特に念を入れてつくることを意味する「別製」、十分に念を入れてつくることを意味する「精製」などがあります。
特製の意味
特製とは
特製とは、特別に念を入れて作ること、その品物、特別製を意味しています。
特製の読み方
特製の読み方は「とくせい」です。同じ読み方をする熟語に「特性」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「特製料理」「〇〇特製」
「特製料理」「〇〇特製」などが、特製を使った一般的な言い回しです。
特製の使い方
特製を使った分かりやすい例としては、「あの店は特製もりそばがオススメですよ」「特製樺太丼の辛さはどれぐらいですか」「特製レモンスカッシュはいかがですか」「特製ラーメンのクチコミをチェックする」などがあります。
その他にも、「英語の先生特製のプリントが役に立った」「特製レモンサワーをもう一杯注文しよう」「持ち帰りで特製シウマイを6個ください」「番組特製クオカードをプレゼント」「抽選で特製大皿が当たります」などがあります。
特製の読み方は「とくせい」です。同じ読み方をする熟語に「特性」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
特製とは、特別につくること、特別に念を入れて作った品物を意味し、「特別製」とも言います。特製の「特」は他と異なってそれ一つだけのさまを表し、「製」は物をこしらえることや仕立てることを表す漢字です。
特製という言葉は、特別感のあるプラスイメージの言葉です。特製は、特別にこしらえたもの、特に注意して製造されたものに用いることができます。反対に、特に思い入れなどなく、普通に作ったものに対して使用することはできません。
特製の対義語
特製の対義語・反対語としては、並の程度に作ることであることを意味する「並製」、製品としてすでにでき上がっていることや出来合いを意味する「既製」などがあります。
特製の類語
特製の類語・類義語としては、一般の商品とは別に条件などを加えて注文することを意味する「特注」、自分の手で作ることや自分の手で作った物を意味する「手製」、あつらえ品や注文服を意味する「オーダーメイド」、高級衣装店を意味する「オートクチュール」などがあります。
謹製の例文
この言葉がよく使われる場面としては、つつしんで心をこめて作ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、謹製という言葉はお菓子などの食品によく用いられますが、例文1のように食品以外にも使用することができます。
特製の例文
この言葉がよく使われる場面としては、特に注意して製造すること、他と異なる質や形につくることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「特製料理」とは、 一般的な作り方ではなく材料や調理方法などを自分で考えた料理を意味します。例文2の「特性」と「特製」は同音異義語であり、特性はそのものだけが持つ性質のことです。
謹製と特製という言葉は、どちらも「特別に作られたもの」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、相手への敬意を表現したい時は「謹製」を使うようにしましょう。