似た意味を持つ「少なからず」(読み方:すくなからず)と「少なくとも」(読み方:すくなくとも)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「少なからず」と「少なくとも」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「少なからず」と「少なくとも」の違い
「少なからず」と「少なくとも」の意味の違い
「少なからず」と「少なくとも」の違いを分かりやすく言うと、「少なからず」とは少なくないこと、「少なくとも」とは最低限の程度のことという違いです。
「少なからず」と「少なくとも」の使い方の違い
一つ目の「少なからず」を使った分かりやすい例としては、「少なからず事故が起こる可能性があるので十分に注意した方がいいだろう」「大臣の発言に嫌悪感を抱く人が少なからずいました」「その話を聞いて彼は少なからず驚きました」などがあります。
二つ目の「少なくとも」を使った分かりやすい例としては、「少なくとも息子さんが挑戦したことに対しては褒めてやってください」「夕飯を作るには少なくとも30分はかかるだろう」「これを完成するには少なくとも5時間はかかるだろう」などがあります。
「少なからず」と「少なくとも」の使い分け方
「少なからず」と「少なくとも」は似た日本語ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「少なからず」は数量や程度が軽少ではないことを意味しており、簡単に言うならば、少ないことを表現しています。
一方、「少なくとも」は少なく見積もってものことを意味しており、簡単に言うならば、最低限の程度のことを表現しているというのが違いです。
「少なからず」と「少なくとも」の英語表記の違い
「少なからず」を英語にすると「not a little」となり、例えば上記の「その話を聞いて彼は少なからず驚きました」を英語にすると「He was not a little surprised to hear the story」となります。
一方、「少なくとも」を英語にすると「at least」となり、例えば上記の「少なくとも5時間はかかる」を英語にすると「It will take at least five hours」となります。
「少なからず」の意味
「少なからず」とは
「少なからず」とは、数量や程度が軽少ではないことを意味しています。
表現方法は「少なからずいる」「少なからず影響を受ける」
「少なからずいる」「少なからず影響を受ける」などが、「少なからず」を使った一般的な言い回しになります。
「少なからず」の使い方
「少なからず」を使った分かりやすい例としては、「大型台風によって農作物への被害が少なからず出ました」「マンションのルールを守らない住民が少なからずいらっしゃいました」「あなたの行動に少なからず失望した人もいると思うよ」などがあります。
「少なからず」は数量や程度が軽少ではないこと、つまり少なくないことを意味している言葉です。数量や程度などが小さいことを意味する「少ない」に、否定形の「ず」が合わさっているので、少ないではく多いことを表しています。
また、多いことを控え目に表現したい時に、「少なからず」を使うと覚えておきましょう。
「少なからず」を使う上で注意しなければならないのは、数量や程度が少ないと勘違いすることです。「少ない」という言葉を使っているので勘違いしやすいですが、実際は「少ない」を否定する言葉なので、数量や程度が多いことを表しています。
「少なからず」は「彼は少なからず起こっている」「少なからず反響があったので再放送が決まりました」などのように、物だけではなく、反響や感情などの物体がないものに対しても使うことが可能です。
「少なからず」の類語
「少なからず」の類語・類義語としては、数量や程度がかなり多かったり進んでいたりすることを意味する「大分」、かなりの程度であることを意味する「相当」、極端ではないが並の程度を超えていることを意味する「かなり」などがあります。
「少なくとも」の意味
「少なくとも」とは
「少なくとも」とは、少なく見積もってものことを意味しています。その他にも、これだけは実現させたいという最低限の願望のことの意味も持っています。
表現方法は「少なくとも私は」「少なくとも今は」「少なくとも嫌いじゃない」
「少なくとも私は」「少なくとも今は」「少なくとも嫌いじゃない」などが、「少なくとも」を使った一般的な言い回しになります。
「少なくとも」の使い方
「これの完成には少なくとも1年はかかります」「今日の売り上げは少なくとも7万円はあります」などの文中で使われている「少なくとも」は、「少なく見積もってものこと」の意味で使われています。
一方、「少なくともこれだけは約束できますよ」「レギュラーになりたいなら少なくとも毎日3時間は練習した方がいいだろう」などの文中で使われている「少なくとも」は、「これだけは実現させたいという最低限の願望のこと」の意味で使われています。
「少なくとも」は少なく見積もってものことと、これだけは実現させたいという最低限の願望のことの二つの意味を持っていますが、どちらの意味でも使われている言葉です。
「少なくとも」は、最低限度の値、あるいは最低限しなければならない行為を提示する場合に、使うのが一般的になっています。ただし、あくまで最低限を提示しているだけで、高ければ高い方がいいという含みがあることが多いです。
例えば、「この試験に合格するには少なくとも70点は取られなればならない」とした場合は、最低限は70点だが、点は高ければ高い方がいいというニュアンスが含まれています。
「少なくとも」の類語
「少なくとも」の類語・類義語としては、不満足ながらこれだけは実現させたいという最低限の願望のことを意味する「せめて」、何はともあれのことを意味する「とにかく」、程度などが一番低いことを意味する「最低」などがあります。
「少なからず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数量や程度が軽少ではないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「少なからず」は少なくないことを表現したい時に使う言葉です。
「少なくとも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少なく見積もってものことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、これだけは実現させたいという最低限の願望のことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3の「少なくとも」は少なく見積もってものこと、例文4と例文5の「少なくとも」はこれだけは実現させたいという最低限の願望のことを意味しています。
「少なからず」と「少なくとも」は似た言葉ですが意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、少なくないことを表現したい時は「少なからず」を、最低限の程度のことを表現したい時は「少なくとも」を使うと覚えておきましょう。