似た意味を持つ「バラード」と「ラブソング」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「バラード」と「ラブソング」という言葉は、「楽曲を表す言葉」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
バラードとラブソングの違い
バラードとラブソングの意味の違い
バラードとラブソングの違いを分かりやすく言うと、バラードは比較的静かな曲調を表現する時に使い、ラブソングは恋愛に関する歌詞を表現する時に使うという違いです。
バラードとラブソングの使い方の違い
一つ目のバラードを使った分かりやすい例としては、「バラード歌手の曲は発売される度にチャートにランクインしていく」「ライブで聞いたバラード曲はひどく心に響くものだった」「バラードは物語を知った上で演奏するのが良いだろう」などがあります。
二つ目のラブソングを使った分かりやすい例としては、「ラブソングの歌詞は読んでいて恥ずかしいものもある」「男性が歌うラブソングは低音が心地よく個人的に聞きやすい」「失恋した時に両想いの人向けのラブソングを聞くものではない」などがあります。
バラードとラブソングの使い分け方
バラードとラブソングはどちらも音楽に関する用語ですが、表すものが大きく異なります。
バラードは、ゆったりとしたテンポであり、比較的静かな曲を指す言葉で、感傷的な歌詞が特徴とも言われています。また、物語的内容を持つ構成の楽曲を指す言葉でもあり、クラシックにおける一つのジャンルとなっています。
一方のラブソングは、恋に落ちるところから恋の終わり、それに伴う傷心など恋愛を題材とした歌詞を特徴とする曲を指す言葉です。中でも、失恋に関する歌が一番多いとされています。
つまり、バラードはゆったりとして静かな曲調を表すのに対して、ラブソングは恋愛周りに関する歌詞を表すという違いがあります。前者に後者の感傷的な歌詞が用いられることが多いことから混同されていることが多くあります。
しかし、ラブソングとは言え恋愛が実った際の喜びなどを表現するための歌詞には明るいメロディーやアップテンポな曲調が用いられることもあることから、必ずしもバラードとラブソングが同じであるとは言えません。
バラードとラブソングの英語表記の違い
バラードを英語にすると「ballade」となり、例えば上記の「バラード歌手」を英語にすると「a ballad singer」となります。一方、ラブソングを英語にすると「love song」となり、例えば上記の「ラブソングの歌詞」を英語にすると「the lyric of a love song」となります。
バラードの意味
バラードとは
バラードとは、テンポのゆったりとした感傷的な曲を意味しています。
その他にも、物語的な内容を持つ楽曲を指す言葉としても使われています。
バラードの使い方
「好きなアーティストのバラードは声が透き通っていて聞きやすい」「バラードは歌唱中の息遣いまで聞こえてくる」「たまにバラードを聞いて落ち着きたい時もある」などの文中で使われているバラードは、「ゆったりとした曲」の意味で使われています。
一方、「リストのバラードはピアノ独奏のものがある」「クラシック・バラードを一度は演奏してみたい」「バラードナンバーは背景を知ると表現が豊かになる気がする」などの文中で使われているバラードは、「物語的な内容を持つ曲」の意味で使われています。
バラードは英語で「ballade」と表記され、物語や民謡という意味を持ちますが、この意味で使われる場合は「バラッド」という表記がされることが多くあります。バラードも叙事詩的な内容の詩を指すために使われることがあります。
バラードの由来
フランス南部で使われるプロバンス語で踊りを意味する「ballada」が由来となった言葉で、語りや語るような曲調を特徴とするイギリスにおけるバラッドに音楽がついたものを表すようになりました。
今日では、ゴスペルとブルースが合わさったゆったりとしたテンポの「ソウルバラード」、物悲しいしっとりした「センチメンタルバラード」などの派生ジャンルも存在します。
また、クラシック音楽にもバラードがあり、ショパンのバラードが有名です。物語が展開されていく構成の曲で、ハッピーエンドで終わる曲もあるのが非常に特徴的ですが、それ以外は悲劇的な最後を迎えています。
バラードの対義語
バラードの対義語・反対語としては、韻を踏んで抑揚を付けるような歌う手法やその手法による楽曲を意味する「ラップ」、リズミカルで動きのあるような曲を意味する「ポップ」があります。
バラードの類語
バラードの類語・類義語としては、ヨーロッパの叙情詩の一つを意味する「ソネット」、不運や悩みなどの身近な出来事や感情を表現した曲を意味する「ブルース」、物語風に歌った曲を意味する「譚歌」などがあります。
ラブソングの意味
ラブソングとは
ラブソングとは、恋愛を題材にした歌を意味しています。
ラブソングの使い方
ラブソングを使った分かりやすい例としては、「片思いを題材にしたラブソングは甘酸っぱい気持ちになれる」「ラブソングを歌って好きな子にアピールしても気付かれないだろう」「直接的な歌詞のラブソングは歌う時に感情移入してしまいそうだ」などがあります。
その他にも、「主人公とヒロインの名場面の後にラブソングが流れた」「ラブソングはほとんど聞かないと兄は言っていた」「好きなラブソングは多くの人も知る名曲だ」「女性は男性よりもラブソングが好きなのだろうか」などがあります。
ラブソングは英語で「love song」と表記され、「ラヴソング」「恋愛歌」とされることもあります。想定されている物語や歌詞の内容が恋愛に関するものであればラブソングと言えます。
日本のポピュラー音楽には「失恋ソング」と呼ばれるラブソングが多く、レゲエの「ラヴァーズ・ロック」など他にもラブソングを主とするジャンルも存在します。
ラブソングの由来
もともと音楽というもの自体が、男性が女性に選んでもらうための表現とされていたという説があるため、最初に生まれた音楽がラブソングと捉えることができます。古代ギリシアでは婚礼を執り行う際に用いられました。
日本でも、7世紀前半から8世紀中ごろまでの歌を収めた『万葉集』に恋慕に関する歌が収録されています。和歌は旋律を伴わない作品ですが、同時期に朝鮮半島や中国から音楽が伝来したことで、音楽文化が根付き始めました。
ラブソングの類語
ラブソングの類語・類義語としては、男女や親子、兄弟などの恋慕や親愛に関する歌を意味する「相聞歌」、結婚式で流れるような幸せな恋愛の歌を意味する「結婚ソング」などがあります。
バラードの例文
この言葉がよく使われる場面としては、テンポのゆったりとした感傷的な曲を意味する時などが挙げられます。
どの例文のバラードも、恋愛に関する楽曲だけではないため、ラブソングに置き換えて使うことができない場合もあります。
ラブソングの例文
この言葉がよく使われる場面としては、恋愛を題材にした歌を意味する時などが挙げられます。
どの例文のラブソングも、「ラヴソング」「恋愛ソング」などの表記に変えられることがあります。
バラードとラブソングは、どちらも「楽曲を表す言葉」を表します。どちらを使うか迷った場合は、比較的静かな曲調を表す場合は「バラード」を、恋愛に関する歌詞を表す場合は「ラブソング」を使うと覚えておけば間違いありません。