似た意味を持つ「エスカレート」と「エスカレーション」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「エスカレート」と「エスカレーション」という言葉は、「段階的拡大」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
エスカレートとエスカレーションの違い
エスカレートとエスカレーションの意味の違い
エスカレートとエスカレーションの違いを分かりやすく言うと、エスカレートは動詞として使い、エスカレーションは名詞として使うという違いです。
エスカレートとエスカレーションの使い方の違い
一つ目のエスカレートを使った分かりやすい例としては、「エスカレートし続ける嫌がらせは気が付いたら収まっていた」「要求がエスカレートし、精神的苦痛に繋がっている」「今後の状況は予測ができずエスカレートする可能性もある」などがあります。
二つ目のエスカレーションを使った分かりやすい例としては、「戦争のエスカレーションは安全を脅かすものとなる」「エスカレーションの抑止を狙うような対応が求められる」「早いところ見切りをつけてエスカレーションした方が良い」などがあります。
エスカレートとエスカレーションの使い分け方
エスカレートとエスカレーションはどちらも段階的な拡大や増加を表す言葉ですが、使い方で意味が異なる言葉です。
エスカレートは、名詞のように使われることもありますが、「エスカレートする」「エスカレートし続ける」などのように基本的には動詞として使われています。
一方のエスカレーションは「戦闘のエスカレーション」「エスカレーション性」などのように名詞として使われます。「エスカレーションする」という言葉を段階的に拡大していくことを表すために使うことはできません。
つまり、エスカレートは「する」などの言葉と併用して動詞として使い、エスカレーションは名詞として使います。
エスカレーションを「エスカレーションする」と動詞として使う場合は、ビジネスシーンにおける上長への対応の引継ぎ願いをすることを意味することとなるため、意味が変わります。
エスカレートとエスカレーションの英語表記の違い
エスカレートを英語にすると「escalate」となり、例えば上記の「エスカレートし続ける」を英語にすると「continue to escalate」となります。
一方、エスカレーションを英語にすると「escalation」となり、例えば上記の「戦争のエスカレーション」を英語にすると「an escalation of the war」となります。
エスカレートの意味
エスカレートとは
エスカレートとは、物事が段階的に拡大することを意味しています。
表現方法は「エスカレートする」「エスカレートさせる」
「エスカレートする」「エスカレートさせる」などが、エスカレートを使った一般的な言い回しです。
エスカレートの使い方
エスカレートを使った分かりやすい例としては、「紛争がエスカレートしているニュースを見た」「友人らの言い争いがエスカレートしている」「彼女の横暴さは日に日にエスカレートしている気がする」「父の小言が年々エスカレートし続けている」などがあります。
その他にも、「現在の状況を鑑みるに経済不況はエスカレートしていくだろう」「違反行為がエスカレートすれば取り締まりも追いつかない」「連絡ツールは便利になったがいじめがエスカレートするきっかけともなった」などがあります。
エスカレートは英語で「escalate」と表記し、段階的に拡大することや次第に上がっていくことを意味する言葉として使われています。日本語でも同じ意味で、使い方も同じです。
エスカレートの語源
この言葉は、商業施設などにある「エスカレーター」が語源となっており、1922年から「エスカレーターで上へ移動する」という意味で使われるようになりました。
これが転じて、「戦争や紛争などに発展すること」、さらに「次第に悪化すること」を意味するようになり、1960年代後半から多く使われるようになりました。日本でも、エスカレーターの導入と共に「エスカレート」という言葉も使われるようになりました。
エスカレートの対義語
エスカレートの対義語・反対語としては、縮まって小さくなることを意味する「縮小」、次第に減ることを意味する「累減」があります。
エスカレートの類語
エスカレートの類語・類義語としては、程度や範囲を大きくすることを意味する「増幅」、重なり加えることを意味する「累加」、だんだんと増えることを意味する「漸増」、数量が激しい勢いで増えることを意味する「激増」などがあります。
エスカレーションの意味
エスカレーションとは
エスカレーションとは、段階的に増大することや激化することを意味しています。
その他にも、企業などの業務において対応しきれない事態となった場合、上司などの責任者に報告をし、対応を引き継いでもらうことも意味します。
表現方法は「エスカレーションを受ける」「エスカレーションを行う」
「エスカレーションを受ける」「エスカレーションを行う」などが、エスカレーションを使った一般的な言い回しです。
エスカレーションの使い方
「紛争のエスカレーションが報道される」「エスカレーション性のある関係性でハラハラしてしまう」「エスカレーションは組織のためにも回避するべきである」などの文中で使われているエスカレーションは、「段階的な拡大」の意味で使われています。
一方、「エスカレーションフローをあらかじめ用意しておく」「エスカレーションをする際の判断基準を伝えておく」「エスカレーション」などの文中で使われているエスカレーションは、「上司への対応要請」の意味で使われています。
エスカレーションは英語で「escalation」と表記され、段階的拡大の意味で使われています。日本語でも同じ意味で使われ、特に敵対関係にある組織らの行為である戦争などが段階的に激化することを表します。
また、エスカレーションは上司や責任者へ対応引継ぎを要請することを表す言葉で、ビジネスシーンで使われることもあります。この場合は「エスカレ」「エスカ」と省略して呼ばれることもあります。
「エスカレーションフロー」の意味
上記例文の「エスカレーションフロー」とは、問題が発生してから上司に対応引継ぎするまでの流れを図で表したものやシステムを指す言葉です。
エスカレーションの対義語
エスカレーションの対義語・反対語としては、だんだんと減ることを意味する「漸減」があります。
エスカレーションの類語
エスカレーションの類語・類義語としては、増えて大きくなることを意味する「増大」、組織などを広げて充実させることを意味する「拡充」、だんだん増えていくことを意味する「累増」、数量が次第に増えることを意味する「逓増」などがあります。
エスカレートの例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が段階的に拡大することなどが挙げられます。
どの例文のエスカレートも動詞として使われているため、エスカレーションに置き換えて使うことはできません。
エスカレーションの例文
この言葉がよく使われる場面としては、段階的に増大することや激化することなどが挙げられます。
例文3、4や5のように、上司や責任者などに報告や相談をして、引継いで対応してもらうことを意味する言葉としても使われています。
エスカレートとエスカレーションは、どちらも「段階的拡大」を表します。どちらを使うか迷った場合は、動詞として使う場合は「エスカレート」を、名詞として使う場合は「エスカレーション」を使うと覚えておけば間違いありません。