似た意味を持つ「感受性」(読み方:かんじゅせい)と「共感性」(読み方:きょうかんせい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「感受性」と「共感性」という言葉は、どちらも「感じ取る心の働き」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
感受性と共感性の違い
感受性と共感性の意味の違い
感受性と共感性の違いを分かりやすく言うと、感受性とは他人の気持ちを感じ取る心の働き、共感性とは他人の気持ちを感じ取って共有する心の働きという違いです。
感受性と共感性の使い方の違い
一つ目の感受性を使った分かりやすい例としては、「感受性が強い人はストレスが多いだろう」「私は感受性が強いので気疲れしやすい」「感受性を高める方法はありますか」「感受性が豊かであることを自己PR欄に書きました」「抗インフルエンザウイルス薬への感受性を調べる」などがあります。
二つ目の共感性を使った分かりやすい例としては、「認知的共感性が乏しい若者が増えている」「独善的で共感性のない人だ」「女性は情動的共感性に優れている」「心理テストであなたの共感性を診断します」などがあります。
感受性と共感性の使い分け方
感受性と共感性という言葉は、どちらも他人の気持ちを感じ取る働きを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
感受性とは、外からの刺激を受け取る力や感じ取る能力を意味します。例えば、相手の気持ちをすぐに察知するような人は、「感受性が強い人」「感受性が豊かな人」と表現することができます。また、医薬における「感受性」とは、病原体に対する薬の効果を表します。
共感性とは、他人の感情を推し量って自分のことのように感じたり、寄り添ったりする能力を意味します。相手の立場を自分に置き換えて相手の感情を自分も共に感じる、思い遣りのような心の働きのことです。
つまり、感受性とは他人の気持ちを感じ取ることですが、共感性とは他人の気持ちを感じ取ったうえで、その気持ちを共有する働きを表す言葉なのです。
感受性と共感性の英語表記の違い
感受性を英語にすると「sensibility」「susceptibility」となり、例えば上記の「感受性が強い」を英語にすると「have great sensibility」となります。
一方、共感性を英語にすると「sympathy」「sympathism」「empathy」となり、例えば上記の「認知的共感性」を英語にすると「cognitive empathy」となります。
感受性の意味
感受性とは
感受性とは、外界の刺激や印象を感じ取ることができる働きを意味しています。
その他にも、「病気にかかりやすいこと。例えば、麻疹や風疹などの感染症に対する免疫ができていないため、感染した場合に発症する可能性が高いこと」の意味も持っています。
表現方法は「感受性豊か」「感受性が乏しい」「感受性が強い」
「感受性豊か」「感受性が乏しい」「感受性が強い」などが、感受性を使った一般的な言い回しです。
感受性の使い方
「自分は感受性が豊かな方だと思います」「英語の先生は感受性が強すぎるようです」「感受性が強い人の特徴をご存知でしょうか」「感受性が弱い人には、ある特徴があります」などの文中で使われている感受性は、「刺激や印象を感じ取ることができる働き」の意味で使われています。
一方、「感受性対策にはワクチンの接種が重要です」「薬剤感受性を中心に疫学調査を行う」「乳がんの7割はホルモン感受性です」などの文中で使われている感受性は、「病気にかかりやすいこと」の意味で使われています。
感受性の「感受」は、印象などを感じて心に受けとめること、外界の刺激を感覚器官によって受け入れることです。感受性とは、外からの刺激や印象を感じ取れる能力を意味します。感受性は大別して、認知的感受性と情動的感受性の二つがあります。
認知的感受性は、感性知覚に基づく色彩・匂い・香りなどの感覚であり、感覚性とも呼ばれています。もう一つの情動的感受性は、感情性とも呼ばれ、快楽や苦痛の感情を受けいれる能力のことです。
感受性という言葉は、医療用語としても用いられています。この場合、病原体や薬物などに対する生体反応の程度や、病原体に対する薬の効果の強さを意味します。上記の例文にある「薬剤感受性」とは、薬剤によって病原体が感染力を失ったり死滅したりする程度を表します。
感受性の対義語
感受性の対義語・反対語としては、感覚が鈍いことや感じ方が弱いことを意味する「無神経」、感じ方が鈍いことを意味する「鈍感」などがあります。
感受性の類語
感受性の類語・類義語としては、物事を心に深く感じ取る働きを意味する「感性」、他からの刺激に感じる度合いや程度を意味する「感度」、感覚や感度の鋭いことを意味する「敏感」、感受性を意味する「センシビリティー」などがあります。
共感性の意味
共感性とは
共感性とは、他人と喜怒哀楽の感情を共有することを意味しています。
表現方法は「共感性が高い」「共感性が低い」「共感性がない」
「共感性が高い」「共感性が低い」「共感性がない」などが、共感性を使った一般的な言い回しです。
共感性の使い方
共感性を使った分かりやすい例としては、「共感性が高い人と低い人に感覚のズレが生じる」「共感性が高すぎるのかもしれない」「共感性を活かした仕事に就く」「アスペルガー症候群の共感性は低いと言われている」などがあります。
その他にも、「介護士は共感性疲労になりやすい」「多次元共感性尺度を作成する」「共感性羞恥で辛い思いをしています」「共感性羞恥心が酷くてドラマが見れない」「共感性羞恥の治し方が知りたいです」などがあります。
共感性の「共感」は、他者の意見や感情などにそのとおりだと感じる気持ちを表します。物事に備わった性質を表す「性」と結び付き、共感性とは、他人の気持ちや感情を自分のことのように感じる働きを意味します。
「共感性羞恥」の意味
共感性を用いた日本語には「共感性羞恥」(読み方:きょうかんせいしゅうち)があります。共感性羞恥とは、他人が恥をかいている様子を見ると、自分のことのように恥ずかしさを感じることです。そのような気持ちを「共感性羞恥心」(読み方:きょうかんせいしゅうちしん)と言います。
共感性の対義語
共感性の対義語・反対語としては、相手の存在や言動に対して反抗する気持ちを意味する「反感」、他人の言動などを受け入れないで強く否定するこを意味する「反発」などがあります。
共感性の類語
共感性の類語・類義語としては、他人の考えや行動などに心から同感することを意味する「共鳴」、同じように感じることを意味する「同感」、他に調子を合わせることを意味する「同調」、同情や共感を意味する「シンパシー」、人の気持ちを思いやることを意味する「エンパシー」などがあります。
感受性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、外界の刺激を受けとる能力、対象からの触発によって印象を受容する感性の働きを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように感受性の慣用的な言い回しには、「感受性が強い」「感受性が弱い」「感受性が豊か」「感受性が乏しい」などがあります。
例文4にあるHSPとは、Highly Sensitive Personの略であり、非常に感受性が強く敏感な気質もった人を指していう言葉です。
共感性の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の気持ちや感情を自分のことのように感じる働きを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように共感性の慣用的な言い回しには、「共感性が高い」「共感性が低い」「共感性を高める」「共感性がある」「共感性がない」などがあります。
例文4にある「情動的共感性」とは、悲しむ人を見て自分まで悲しくなるような、他者の情動や感情を自分の情動や感情として写し取ることを意味します。
感受性と共感性という言葉は、どちらも「感じ取る働き」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、他人の感情を感じ取る働きを表現したい時は「感受性」を、他人の感情を共有する働きを表現したい時は「共感性」を使うようにしましょう。