似た意味を持つ「リリック」と「ポエム」と「ライム」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「リリック」と「ポエム」と「ライム」という言葉は、詩に関する言葉という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
リリックとポエムとライムの違い
リリックとポエムとライムの意味の違い
リリックとポエムとライムの違いを分かりやすく言うと、リリックは曲がついた詩を表現する時に使い、ポエムは詩文を表現する時に使い、ライムは韻を表現する時に使うという違いです。
リリックとポエムとライムの使い方の違い
リリックという言葉は、「リリックビデオを何度も見入ってしまう」「リリックに込められた想いを汲み取ることができたら嬉しい」などの使い方で、個人の深い内面的な世界や感情を表現した叙情詩を意味します。
ポエムという言葉は、「ポエムを読んでいるとまるで自分もその世界にいるような心地になる」「あの人の言葉遣いや表現がどうもポエムに聞こえてくる」などの使い方で、詩や韻文作品を意味します。
ライムという言葉は、「ライムを刻むことはダジャレに似ている」「あの曲のライムが脳内に残ってすぐ口に出してしまう」などの使い方で、韻や押韻を意味します。
リリックとポエムとライムの使い分け方
リリックとポエムはどちらも、作者の考えた世界観や感情などを詩としたものを指しますが、前者には曲がついていますが、後者には曲はついていません。
一方のライムは韻を意味するため、ポエムに含まれる程度の語の短さとなります。そのため、言葉の長い順に並べると、リリック≧ポエム>ライムとなります。
これが、リリック、ポエム、ライムの明確な違いです。
リリックの意味
リリックとは
リリックとは、個人の深い内面的な世界や感情を表現した叙情詩を意味しています。
リリックの由来
古代ギリシアでは、リラという竪琴に合わせて歌われていました。中世ヨーロッパ頃には、曲をつけることが前提となり、18世紀頃のフランスなどでは衰退します。
19世紀に入ってからは各国で再度人気を集め、今日で言う詩と同義と考えられるようになり、アンソロジーとしてまとめられた作品が多く出版されました。そこから、リリックは読むものと考えられるようになります。
そのため、現代では曲の歌詞という意味で使われることが多い言葉です。
表現方法は「リリックを紡ぐ」「リリックを刻む」「リリックを書く」
「リリックを紡ぐ」「リリックを刻む」「リリックを書く」などが、リリックを使った一般的な言い回しです。
「リリックビデオ」の意味
リリックを使った言葉として、「リリックビデオ」があります。これは、曲の歌詞を主体としたミュージックビデオを指す言葉です。1990年代はプロモーションビデオとして放映されていましたが、動画サイトが多く見られるようになってから急増しました。
リリックの対義語
リリックの対義語・反対語としては、歴史的な事件や神話などの題材をもとにして国民の意識などを言い表すこと叙事詩を意味する「エピック」があります。
リリックの類語
リリックの類語・類義語としては、素朴な言葉で歌った短い物語の詩を意味する「バラード」、詩に歌われるような思想や詩を作りたくなるような気持ちを意味する「ポエジー」などがあります。
ポエムの意味
ポエムとは
ポエムとは、詩や韻文作品を意味しています。また、詩的な文章を意味する言葉でもあります。
ポエムでは、韻律やオノマトペであったり、隠喩、直喩などの技法が使われることが多く、そういった決まり事によって別の意味などを示すことがありますが、20世紀頃からは、伝統的な形式ではなく、韻律も用いらずに作られたリズムのものが多くなりました。
ポエムには恥ずかしい文章などをからかう意味も
また、ポエムは、中身のない文章や意味不明な発言に対してからかいの意味を込めて使うこともあります。
これは一般人が詩的な文章を作ると、その作品がどこか妄想じみており見るに堪えなくなってしまったり、恥ずかしい気持ちになることもあるために、本来のポエムに揶揄うニュアンスが含まれることとなりました。
表現方法は「ポエムを書く」「ポエムを詠む」「ポエムを生み出す」
「ポエムを書く」「ポエムを詠む」「ポエムを生み出す」などが、ポエムを使った一般的な言い回しです。
ポエムの対義語
ポエムの対義語・反対語としては、韻律や定型にとらわれない通常の文章を意味する「散文」があります。
ポエムの類語
ポエムの類語・類義語としては、優れた詩歌を意味する「名吟」(読み方:めいぎん)、14行からなる定型詩を意味する「ソネット」があります。
ライムの意味
ライムとは
ライムとは、韻や押韻を意味しています。
ライムの英語表記
英語表記にすると「rhyme」となり、「rhythm」と表記するリズムと非常に似ていますが、ニュアンスが若干異なります。
ライムは語の響きを合わせるテクニック
ライムは、ポエムや楽曲にて使われる語の響きを合わせるテクニックです。母音が同じ2語や、同音異義語を用いることでより頭に残りやすい作品になります。
いわゆる洒落やダジャレにもライムの技法が見受けられますが、ダジャレは同じ言葉を含んだ言葉や表現を重ねた言葉を表すため、母音が同じであれば成立するライムとは若干異なります。
「ライムを刻む」は「韻を踏む」と同じ意味
ライムを使った表現として「ライムを刻む」がありますが、「韻を踏む」という表現と同じ使い方となります。
ライムの類語
ライムの類語・類義語としては、ことわざなどに口調を似せて意味の異なる句を作る言葉遊びを意味する「語呂合わせ」、言い表し方を意味する「言い回し」、文を構成する漢字の音の配列についての規則を意味する「リズム」などがあります。
リリックの例文
この言葉がよく使われる場面としては、個人の深い内面的な世界や感情を表現した叙情詩を意味する時などが挙げられます。
今日では、上の例文の通り、曲の歌詞を意味する言葉として使われています。
ポエムの例文
この言葉がよく使われる場面としては、詩や韻文作品を意味する時などが挙げられます。
例文2のように、ポエムという言葉は揶揄表現として使われることもあります。
ライムの例文
この言葉がよく使われる場面としては、韻や押韻を意味する時などが挙げられます。
例文2の「ライムを刻む」とは、「韻を踏む」と同じ意味を持ちます。
リリックとポエムとライムどれを使うか迷った場合は、曲がついた詩を表す場合は「リリック」を、詩文を表す場合は「ポエム」を、韻を表す場合は「ライム」を使うと覚えておけば間違いありません。