似た意味を持つ「邪推」(読み方:じゃすい)と「憶測」(読み方:おくそく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「邪推」と「憶測」という言葉は、どちらも「他人の気持ちなどを推し量ること」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
邪推と憶測の違い
邪推と憶測の意味の違い
邪推と憶測の違いを分かりやすく言うと、邪推とは悪く推し量ること、憶測とはいい加減に推し量ることという違いです。
邪推と憶測の使い方の違い
一つ目の邪推を使った分かりやすい例としては、「ひねくれ者の彼は邪推深くて困ります」「この報道は真実なのかと邪推する」「過去の経験から邪推してしまうのも無理はない」「いたずらに邪推する人の心理が知りたいです」などがあります。
二つ目の憶測を使った分かりやすい例としては、「事業の先行きを憶測するべきではありません」「彼の見解は憶測に過ぎないだろう」「あくまでも憶測なんですけどね」「憶測や推測で決めつけてはいけません」などがあります。
邪推と憶測の使い分け方
邪推と憶測という言葉は、どちらも他人の心意などを推量することを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
邪推とは、他人の心の内を悪く想像して考えることを意味します。例えば、夫の帰りが遅い日が続きもしかしたら浮気しているのではないか、と夫の心意に悪い見当をつけることを「邪推」と言います。逆に、家族のために仕事を頑張っているのだろう、と良い見当をつけることは「邪推」と言いません。
憶測とは、自分勝手に推測すること、自分の心だけでいい加減に推し量ることを意味します。確かな証拠がないままに、想像だけであれこれ考えることを表します。憶測には、邪推が持つ「悪意をもって見当する」という意味合いはありません。
つまり、邪推とは悪く推量することを表し、憶測とはいい加減に推量することを表す言葉です。二つの言葉を比べると、憶測よりも邪推の方がネガティブな感情を表す言葉だと言えるでしょう。
邪推と憶測の英語表記の違い
邪推を英語にすると「distrust」「groundless suspicion」「unjust suspicion」となり、例えば上記の「邪推深い」を英語にすると「distrustful」となります。
一方、憶測を英語にすると「guess」「speculation」「surmise」となり、例えば上記の「憶測する」を英語にすると「make a guess」となります。
邪推の意味
邪推とは
邪推とは、他人の心意を悪く推量すること、ひがんで自分に悪意をもっていると疑ってかかることを意味しています。
邪推の読み方
邪推の読み方は「じゃすい」です。誤って「やすい」「しゃすい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「邪推が過ぎる」「邪推してしまう」「邪推する人」
「邪推が過ぎる」「邪推してしまう」「邪推する人」などが、邪推を使った一般的な言い回しです。
邪推の使い方
邪推を使った分かりやすい例としては、「彼女は嘘を言っているのではないかと邪推する」「猜疑心が強く、つい邪推してしまう」「そんなふうに邪推する人がいても不思議ではない」「さすがに邪推が過ぎるだろう」などがあります。
その他にも、「邪推深い人との話に付き合いきれない」「私について邪推するのは止めてください」「不安な気持ちから邪推な考えが浮かぶ」「邪推を招くような振る舞いをしないように」「本当なのかなと邪推してしまう」などがあります。
邪推とは、他人の言葉や行為に対して間違った推測をすること、また、ひがんで悪く想像して考えることを意味する言葉です。邪推の「邪」は訓読みで「よこしま」と読み、正しくないことや性質がひねくれることを表し、「推」は類似の事実を当てはめてみて、見当をつけることを表します。
邪推という言葉は、ゆがんだ考えというネガティブな心の働きを表現する言葉であり、マイナスイメージを伴います。良い意味で使用されることはほとんどないため、人に対して使う時は注意しましょう。
邪推の対義語
邪推の対義語・反対語としては、ただひたすらに信じることを意味する「盲信」、むやみやたらに信じることを意味する「妄信」、信頼しすぎることを意味する「過信」などがあります。
邪推の類語
邪推の類語・類義語としては、あれこれ気を回して悪い意味に考えることを意味する「勘ぐる」、何か企んでいるのではないかと疑うことを意味する「猜疑」、うたがわしく思う気持ちを意味する「疑念」などがあります。
憶測の意味
憶測とは
憶測とは、自分で勝手に推測すること、当て推量を意味しています。
憶測は臆測とも書く
憶測は「臆測」とも書きますが、一般的には「心」から転じた偏である「りっしんべん」を用いた「憶測」と表記されています。
表現方法は「憶測に過ぎない」「憶測が飛び交う」「勝手な憶測」
「憶測に過ぎない」「憶測が飛び交う」「勝手な憶測」などが、憶測を使った一般的な言い回しです。
憶測の使い方
憶測を使った分かりやすい例としては、「憶測で決めつける人は苦手です」「憶測の域を出ない解釈は危険です」「憶測が憶測を呼び真実が歪められてしまう」「英語の先生は辞めるのではないかと憶測が飛び交う」などがあります。
その他にも、「軽々しく憶測するのは止めた方がいい」「ビジネスに憶測はご法度です」「曖昧な発言は憶測を呼ぶので気を付けてください」「憶測で決めつける人は心の病気かもしれません」「インスタの写真が憶測を呼ぶことがある」などがあります。
憶測の「憶」は、ある事柄について他の事柄をもとにして判断をすること、「測」は推し量ることや考えを巡らすことを表します。憶測とは、根拠もなくいい加減に推測することを意味するマイナスイメージを伴う言葉です。
憶測は臆測とも書く
憶測を用いたに日本語には「揣摩憶測」(読み方:しまおくそく)があります。揣摩憶測とは、自分だけの判断で他人の心中を推量すること、また、はっきりした根拠もなく情勢を推し量ることを意味する四字熟語です。「揣摩臆測」とも書きます。
憶測の対義語
憶測の対義語・反対語としては、物事にはっきりした判断をくだすことを意味する「断定」、固く信じて疑わないことを意味する「確信」などがあります。
憶測の類語
憶測の類語・類義語としては、いいかげんな見通しで事を行うことを意味する「当てずっぽう」、心の中で推し量ることを意味する「心当て」、ある事柄をもとにして推量することを意味する「推測」などがあります。
邪推の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の言動を悪い意味にひがんで推量することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、邪推の慣用的な言い回しには、「邪推してしまう」「邪推が過ぎる」「邪推な考え」「邪推する」などがあります。
憶測の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いい加減な推測をすること、あて推量を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「憶測」と「推測」の違いは、根拠となるものがあるかないかです。憶測は根拠がなくいい加減であることにに対して、推測は得た知識や情報をもとにしているという違いがあります。
邪推と憶測という言葉は、どちらも「他人の気持ちなどを推し量ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悪く推し量ることを表現したい時は「邪推」を、いい加減に推し量ることを表現したい時は「憶測」を使うようにしましょう。