似た意味を持つ「洒脱」(読み方:しゃだつ)と「洒落」(読み方:しゃれ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「洒脱」と「洒落」という言葉は、どちらも「垢抜けているさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
洒脱と洒落の違い
洒脱と洒落の意味の違い
洒脱と洒落の違いを分かりやすく言うと、洒脱とは垢抜けているさまを表し、洒落とは垢抜けているさまだけでなく、気の利いていることや冗談事も表すという違いです。
洒脱と洒落の使い方の違い
一つ目の洒脱を使った分かりやすい例としては、「軽妙洒脱な人との時間は心地よいものです」「どこか洒脱な雰囲気が漂う建物だ」「洒脱なペンケースをプレゼントしました」「この本には軽妙洒脱な生き方のヒントがあります」などがあります。
二つ目の洒落を使った分かりやすい例としては、「彼はとてもお洒落な好青年です」「江戸の洒落言葉が面白い」「洒落にならない悪戯はやめなさい」「口を挟まず、高みの見物と洒落込むことにしよう」などがあります。
洒脱と洒落の使い分け方
洒脱と洒落という言葉は、どちらも服装や言動などが垢抜けて洗練されている様子を表します。上記の例文にある「洒脱な雰囲気」「お洒落な好青年」の洒脱と洒落は、同じ意味と捉えることが出来ます。
さらに、洒落には「気のきいた文句」「戯れにすること、冗談事」の意味もあります。上記の例文にある「江戸の洒落言葉」「洒落にならない悪戯」はこの意味で用いられており、洒脱という言葉に置き換えることは出来ません。
洒脱と洒落という言葉を比べると、洒落の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
ちなみに、二つの言葉に共通する「洒」は音読みで「しゃ」と読み、「しゅ」「さけ」と読む「酒」とは別の漢字です。「酒」と間違えないように注意してください。
洒脱と洒落の英語表記の違い
洒脱を英語にすると「sophisticated」「witty」「refined」となり、例えば上記の「軽妙洒脱」を英語にすると「smart and refined」となります。
一方、洒落を英語にすると「joke」「stylish」「fashion-conscious」となり、例えば上記の「彼はとてもお洒落です」を英語にすると「He is very fashionable」となります。
洒脱の意味
洒脱とは
洒脱とは、俗気がなくさっぱりしていること、垢抜けしていることを意味しています。
表現方法は「洒脱な雰囲気」「洒脱な人」「洒脱でない」
「洒脱な雰囲気」「洒脱な人」「洒脱でない」などが、洒脱を使った一般的な言い回しです。
洒脱の使い方
洒脱を使った分かりやすい例としては、「母は社交的で洒脱な人です」「アートのような洒脱さがあるカードケースだ」「英語で洒脱なやりとりがしたいです」「着るだけで洒脱な雰囲気を醸し出すジャケットです」などがあります。
その他にも、「あの人は軽妙洒脱な性格で人気があります」「友人に洒脱な女性を紹介してもらった」「シャツを洒脱に着こなしたい」「洒脱な中国人と知り合いになりました」「軽妙洒脱な文章は読みやすい」などがあります。
洒脱とは、さっぱりしていて俗気がないこと、嫌味がなく垢抜けていることを意味するプラスイメージの言葉です。洒脱の「洒」は訓読みで「あらう・すすぐ」と読み、洗ったようにさっぱりしていること、「脱」は俗っぽさから抜け出ていることを表します。
四字熟語「軽妙洒脱」の意味
洒脱を用いた四字熟語には「軽妙洒脱」があります。軽やかでしゃれていること、俗っぽくなく洗練されて巧みなことを意味し、人の性格や話しぶり、芸術作品などに対して用いられています。
洒脱の対義語
洒脱の対義語・反対語としては、言動や趣味などが洗練されていないことを意味する「野暮」、洗練されていないことや無作法なことを意味する「無骨」などがあります。
洒脱の類語
洒脱の類語・類義語としては、穏やかであっさりしていることを意味する「平淡」、あっさりしていて物事にこだわらないさまを意味する「洒然」、すっきりとあか抜けしているさまを意味する「瀟洒」、人柄や趣味などを垢抜けした優雅なものにすることを意味する「洗練」などがあります。
洒落の意味
洒落とは
洒落とは、その場に興を添えるために言う、気のきいた文句を意味しています。
その他にも、「戯れにすること、冗談事」「気のきいた身なりをすること、華やかに装うこと」「今風で垢抜けていること」の意味も持っています。
表現方法は「洒落が効いてる」「洒落にならない」「洒落臭い」
「洒落が効いてる」「洒落にならない」「洒落臭い」などが、洒落を使った一般的な言い回しです。
洒落の使い方
「勢いよく洒落を飛ばす」「洒落が通じない人だ」「洒落本は江戸時代に流行しました」などの文中で使われている洒落は「気のきいた文句」の意味で、「洒落にならない恐怖を体験しました」「洒落にならない怖い話は苦手です」などの文中で使われている洒落は「冗談事」の意味で使われています。
一方、「いつもお洒落だね」「デートなので洒落込むつもりだ」などの文中で使われている洒落は「気のきいた身なりをすること」の意味で、「洒落臭いこと言うな」「都会暮らしで洒落て綺麗になった」などの文中で使われている洒落は「垢抜けていること」の意味で使われています。
洒落の読み方
洒落の読み方は「しゃれ」の他に「しゃらく」とも読みます。「しゃらく」と読む場合、「物事にこだわらず、さっぱりしていること」を意味し、意味が異なるので注意しましょう。
「しゃれ」と読む場合の洒落とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちます。そのため、文脈により意味を捉える必要があります。日常会話では「お洒落」という言い回しで、垢抜けたファッションや洗練された身なりをすることを表すことが多い言葉です。
「洒落本」の意味
上記の例文にある「洒落本」とは、江戸中期から後期にかけて、主に江戸で流行した遊里文学です。遊里の内部や遊女と遊客の言動を、会話を中心にして写実的に描いた本です。
「洒落怖」の意味
洒落を用いた日本語には「洒落怖」(読み方:しゃれこわ)があります。洒落怖とは、インターネットの掲示板である2ちゃんねるのオカルト板のスレッドの略称です。洒落怖という名称の語源は、「洒落にならない怖い話」にあります。
洒落の対義語
洒落の対義語・反対語としては、くだらないしゃれや下手なしゃれを意味する「駄洒落」、男女の間の微妙な情のやりとりに通じていないことを意味する「無粋」、垢抜けしないことを俗に言う語を意味する「ださい」などがあります。
洒落の類語
洒落の類語・類義語としては、とっさに適切な応対や発言ができるような鋭い才知を意味する「機知」、気のきいた会話を生み出す才知を意味する「ウイット」、人の心を和ませるようなおかしみを意味する「ユーモア」、身なりなどがさっぱりとしていることを意味する「粋」などがあります。
洒脱の例文
この言葉がよく使われる場面としては、俗気がぬけてさっぱりしていること、垢抜けしていることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「洒脱な人」とは、お金や名誉などにこだわらず、性格がさっぱりとしていて垢抜けた印象のある人のことです。
洒落の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気の利いていること、戯れてすること、華やかに装うこと、垢抜けていることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「洒落者」の意味は、服装や言動などが洗練されている人のことです。「粋人」と言い換えることが出来ます。例文5の「洒落にならない」とは、冗談になっていない、聞き流すことができないことを表現する言い回しです。
洒脱と洒落という言葉は、どちらも「垢抜けているさま」を表します。さらに「洒落」には、気の利いていること、冗談事の意味もあることを覚えておきましょう。