同じ「なんこう」という読み方の「難航」と「難攻」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「難航」と「難攻」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
難航と難攻の違い
難航と難攻の意味の違い
難航と難攻の違いを分かりやすく言うと、難航とは物事が順調にいかないことを表し、難攻とは攻撃することが難しいことを表すという違いです。
難航と難攻の使い方の違い
一つ目の難航を使った分かりやすい例としては、「大しけで船が難航する」「停戦協議は難航しています」「不具合の原因調査が難航しております」「難航中の交渉についてアドバイスをもらう」などがあります。
二つ目の難攻を使った分かりやすい例としては、「難攻不落の要塞をどう攻略するか」「会津に難攻不落の名城があります」「難攻不落の女性に恋をしてしまった」「難攻不落な男性を落とす方法を知りたいです」などがあります。
難航と難攻の使い分け方
難航と難攻という言葉は、どちらも「なんこう」と読みますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
難航とは、「船が難航する」のような使い方で、悪天候などの理由で航行が難しいことを意味します。転じて、障害が多いために物事がはかどらないことの意味で、「調査が難航する」「難航中の交渉」など比喩的に使用されることが多い言葉です。
難攻とは、文字通り「攻めることが難しいこと」を意味します。主に、攻め落とすのが容易でないことを意味する「難攻不落」という四字熟語で使用されています。「難攻不落」は、攻め落とすのが難しい場所だけでなく、自分の要望を受け入れてくれない人や組織に対しても用いることができます。
つまり、難航とは障害があって物事がはかどらないことを表し、難攻とは攻撃することが困難であることを表す言葉です。難航と難攻という言葉は、意味が全く異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことは出来ません。
難航と難攻の英語表記の違い
難航を英語にすると「rough sailing」「tough going」「hard going」となり、例えば上記の「難航する」を英語にすると「become heavy going」となります。
一方、難攻を英語にすると「impregnable」「invulnerable」「unassailable」となり、例えば上記の「難攻不落の要塞」を英語にすると「unassailable fortress」となります。
難航の意味
難航とは
難航とは、暴風雨などのために、航行が困難になることを意味しています。
その他にも、「障害が多く、物事がはかどらないこと」の意味も持っています。
難航の読み方
難航の読み方は「なんこう」です。同じ読み方をする熟語に「難行」や「難攻」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「仕事が難航する」「話が難航する」「調査が難航する」
「仕事が難航する」「話が難航する」「調査が難航する」「捜査が難航する」「話し合いが難航する」などが、難航を使った一般的な言い回しです。
難航の使い方
「大荒れの海でコンテナ船が難航している」「海流と潮流が速いために難航する海域があります」「視界の悪い気象により飛行機は難航する」などの文中で使われている難航は、「航行が困難になること」の意味で使われています。
一方、「契約交渉は難航を極めるだろう」「がれきの撤去作業が難航している」「観光船の捜索は難航しています」「ビジネスモデルの変革は難航するかもしれない」などの文中で使われている難航は、「物事がはかどらないこと」の意味で使われています。
難航とは、文字通り「航行が難しいこと」を意味し、暴風雨などの障害のために航行しがたいことを意味します。海を渡る船舶だけでなく、「飛行機は難航する」のように空を航行する航空機にも用いることができます。
「交渉は難航する」の意味
難航という言葉は、比喩的に、障害が多くて物事が順調に進まないことの意味で多く使用されています。上記の例文にある「交渉は難航する」とは、交渉が思い通りに上手くいかないさまを表し、ビジネスシーンでよく用いられる表現です。
難航の対義語
難航の対義語・反対語としては、 物事が滞らずスムーズに運ぶことを意味する「円滑」などがあります。
難航の類語
難航の類語・類義語としては、物事がとどこおってすらすらと進まないことを意味する「渋滞」、1か所にとどまって動かないことを意味する「停滞」、物事の処置や進行が難しくてすらすらいかないことを意味する「難渋」などがあります。
難攻の意味
難攻とは
難攻とは、攻撃するのが困難であることを意味しています。
難攻の使い方
難攻を使った分かりやすい例としては、「難攻不落の城ランキングが発表されました」「小田原城は難攻不落の城と言われていた」「難攻不落の魔王城へようこそ」「英語圏にも難攻不落の城はありますか」などがあります。
その他にも、「難攻な要塞への攻撃を開始する」「難攻不落の迷路に迷い込んでしまった」「猛烈な抵抗に難攻を強いられる」「難攻不落なミッションに挑む」「難攻不落な女性を好きになってしまいました」などがあります。
難攻の「難」は訓読みで「むずかしい」「かたい」と読み、容易でないことや事態がうまくいかないことを表します。「攻」は訓読みで「せめる」と読み、こちらから進んで敵を撃つことを表す漢字です。難攻とは、攻めにくいこと、攻めるのが難しいことを意味する言葉です。
四字熟語「難攻不落」の意味
難攻を用いた四字熟語には「難攻不落」があります。難攻不落とは、攻撃するのが難しく、簡単に陥落しないことを意味します。「不落」は、城などを攻め落とすことができないことを表す熟語です。転じて、承知させるのが困難なことの意味を持ち、「難攻不落な人」のような使い方をします。
難攻の類語
難攻の類語・類義語としては、なかなか強くて油断できないことを意味する「手ごわい」、相手が付け入る隙を全く見せないさまを意味する「隙がない」、非常にかたい守りを意味する「鉄壁」などがあります。
難航の例文
この言葉がよく使われる場面としては、困難な航海、障害が多くて物事のはかどらないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、難航という言葉は、「困難な航海」の意味で使用されることは少なく、ほとんどの場合は「障害が多くて物事のはかどらないこと」の意味で用いられています。
難攻の例文
この言葉がよく使われる場面としては、攻めにくいことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、難攻という言葉は、単体で使用されるよりも「難攻不落」という四字熟語で使用されています。
難航と難攻という言葉は、どちらも「なんこう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事がはかどらないことを表現したい時は「難航」を、攻撃するのが難しいことを表現したい時は「難攻」を使うようにしましょう。