【因果】と【因縁】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「因果」(読み方:いんが)と「因縁」(読み方:いんねん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「因果」と「因縁」という言葉は、どちらもを原因を表す仏教用語という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




因果と因縁の違い

因果と因縁の意味の違い

因果と因縁の違いを分かりやすく言うと、因果とは原因と結果を表し、因縁とは原因と条件を表すという違いです。

因果と因縁の使い方の違い

一つ目の因果を使った分かりやすい例としては、「ワクチンとの因果関係を否定できない」「因果応報の恐ろしさを思い知らされた」「インド哲学における因果論を読み解く」「英語教師はつくづく因果な仕事だと感じます」などがあります。

二つ目の因縁を使った分かりやすい例としては、「親子は前世からの深い因縁がある」「ここは両家の因縁深い場所であった」「それは因縁果の道理に基づく結果である」「何かと因縁をつけるクレーマーに困っています」などがあります。

因果と因縁の使い分け方

因果と因縁という言葉は、どちらも仏教用語であり、ある結果を招く直接の原因を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

因果とは、仏教用語で一切の現象の原因と結果の法則を意味し、「因果応報」とは、人はよい行いをすればよい報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがあるということを意味します。ビジネスシーンで多く用いられる「因果関係」は、原因とそれによって生じる結果との関係を表す言葉です。

因縁とは、直接に結果を生ずる「因」と、そのプロセスで間接的に働く諸条件の「縁」で、すべての物事この二つの作用で起きるという仏教の考えを意味します。転じて、宿命や由来、言いがかりの意味を持ち、「因縁を付ける」とは、言いがかりをつけて相手を責めたてることです。

つまり、因果とは原因と結果であり、因縁とは原因と条件を意味する言葉です。二つの言葉は似ていますが、厳密な意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。

因果と因縁の英語表記の違い

因果を英語にすると「cause and effect」「fate」「misfortune」となり、例えば上記の「因果関係」を英語にすると「the relation of cause and effect」となります。

一方、因縁を英語にすると「relation」「connection」「destiny」となり、例えば上記の「深い因縁がある」を英語にすると「be deeply related」となります。

因果の意味

因果とは

因果とは、原因と結果、また、その関係を意味しています。

その他にも、「仏語で、前に行った善悪の行為が、それに対応した結果となって現れるとする考え」「宿命的に不幸な状態におかれているさま、不運なさま」の意味も持っています。

表現方法は「因果を感じる」「因果関係」「因果を含める」

「因果を感じる」「因果関係」「因果を含める」などが、因果を使った一般的な言い回しです。

因果の使い方

「事象の因果関係を明らかにする」「因果関係を統計データによって分析する」「物質的現象は全て因果律に支配されている」「統計的因果推論をわかりやすく教えてください」などの文中で使われている因果は、「原因と結果」の意味で使われています。

一方、「親の因果が子に報う」「因果応報は必ずあります」「いじめっ子に起きた因果応報の実話を集める」の文中で使われている因果は「善悪の行為が結果となって現れること」の意味で、「刑事なんて因果な職業ですね」の文中で使われている因果は「不運なさま」の意味で使われています。

因果の「因」は事の起こるもと、「果」は原因があって生じるもを表し、因果とは原因と結果を意味する言葉です。特に仏教用語として用いられる場合は、前世や過去の悪業の報いとして現在の不幸があるとする考えを指します。また、宿命的に不運な状況におかれているさまも意味する言葉です。

「因果応報」の意味

上記の例文にある「因果応報」とは、仏教で、前世やその人の過去の行いが原因で、さまざまの結果を報いとして受けることを意味します。善因には富楽などの善果を受け、悪因には貧苦などの悪果を受けることを表しますが、現在では悪因悪果の意で用いることが多い四字熟語です。

「因果律」の意味

因果を用いた日本語には「因果律」があります。「因果律」とは、哲学で、すべての事象は必ずある原因によって起こり、原因なしには何も起こらないという原理のことです。また、物理学では、ある時点の系の状態が与えられると、それ以後あるいは以前の系の状態が決定するという法則を意味します。

因果の対義語

因果の対義語・反対語としては、運がよいことや巡りあわせがよいさまを意味する「幸運」などがあります。

因果の類語

因果の類語・類義語としては、ゆかりや関係を意味する「由縁」、前世の善悪の行為によって現世で受ける報いを意味する「業」、 物事が起こったわけや理由を意味する「いわれ」、運がないことや不幸せを意味する「非運」などがあります。

因縁の意味

因縁とは

因縁とは、 仏語で、物事が生じる直接の力である因と、それを助ける間接の条件である縁ですべての物事はこの二つの働きによって起こることを意味しています。

その他にも、「前世から定まった運命」「以前からの関係」「物事の起こり、理由」「言いがかり」の意味も持っています。

表現方法は「過去の因縁」「因縁の相手」「前世の因縁」

過去の因縁」「因縁の相手」「前世の因縁」「因縁をつける」「因縁が深い」などが、因縁を使った一般的な言い回しです。

因縁の使い方

「お釈迦様は因縁生起を説きました」「因縁果報の原則を知っていますか」の文中で使われている因縁は「物事は因と縁の働きによって起こること」の意味で、「あなたとは何か因縁めいたものを感じます」の文中で使われている因縁は「前世から定まった運命」の意味で使われています。

一方、「因縁の相手を決勝戦で戦う」の文中で使われている因縁は「以前からの関係」の意味で、「墓標の因縁いわれを探る」の文中で使われている因縁は「物事の起こり」の意味で、「先輩に因縁をつけられた」の文中で使われている因縁は「言いがかり」の意味で使われています。

因縁とは、上記の例文にあるように複数の意味をもつ言葉です。もともとは仏教に由来する言葉であり、「因」は結果を引き起こす直接の内的原因、「縁」はそれを外から助ける間接的原因を表します。仏教では、一切のものがこの二つの働きによって起こると考えられています。

四字熟語「因縁生起」の意味

因縁を用いた四字熟語には「因縁生起」(読み方:いんねんせいき)があります。因縁生起とは、仏教における真理を表す一つの言葉で、現象的事物はすべて因と縁との2種の原因が働いて生ずると説くものです。略して「縁起」と言います。

因縁の対義語

因縁の対義語・反対語としては、物事の筋道や道理を意味する「理屈」、道理にかなった正しい意見や議論を意味する「正論」などがあります。

因縁の類語

因縁の類語・類義語としては、生まれる前の世から定まっている人間の運命を意味する「宿命」、何らかの繋がりがあることを意味する「ゆかり」、物事がそれを起源とするところを意味する「由来」、文句や難癖を意味する「いちゃもん」などがあります。

因果の例文

1.食に関するデータを分析してみると、相関関係はあっても因果関係はないことは珍しくありません。
2.善因善果や悪因悪果という因果応報の理を、お坊さんがわかりやすく説明してくれました。
3.今回のアンケート調査により、英語の学習時間と成績には明らかな因果関係があることがわかりました。
4.仕事でもプライベートでも因果を感じることはありますが、それは偶然に過ぎない出来事なのでしょう。
5.私生活まで報道されてしまう芸能人とは、なんとも因果な商売だと思いませんか。
6.夫が他界しこれからは気楽に生きようと思っていたら、何の因果か息子とその再婚相手の子どもの面倒をみることになってしまった。
7.なんの因果がわからないが、私は無償で知り合いの子供に勉強を教えることになってしまったのだ。
8.統計データに基づいて、A社の業績悪化とB社の台頭との間に因果関係を立証することは困難です。
9.この研究では、大規模なランダム化比較試験によって、新しい薬剤と症状改善との因果関係を明らかにしました。
10.人間の行動はすべて因果律によって決定されているという考えは、倫理的な責任を問う際に問題となる。

この言葉がよく使われる場面としては、仏教で一切の現象の原因と結果の法則、前に行なった業の報い、不運や不幸せを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある因果関係と相関関係の違いは、因果関係は原因と結果の関係を表すことに対し、相関関係は二つのものが密接に関わっている関係を表す点にあります。

因縁の例文

1.幼い頃から辛い目にあったり苦しんだりしているのは、全て前世の因縁なのでしょうか。
2.過去の因縁を断ち切るために新興宗教に入信しようとしたら、家族に猛反対されました。
3.決勝戦で因縁の相手と戦うことになり、我がチームは闘志を燃やしている。
4.因縁が深い二国間の関係を改善させるために、我々は何をすべきだろうか。
5.こちらは見てもいないのに睨んできただなんて、因縁をつけるのはやめてください。
6.愛と憎しみが入り混じった、複雑な関係。過去の因縁が二人の運命を翻弄する。果たして、彼らは真の幸福を手にすることができるのだろうか?
7.かつての師匠との因縁の対決は、想像を超える激戦となった。師匠は禁断の術を使い、圧倒的な力で主人公を追い詰める。
8.彼との因縁は遠い昔から始まっていた。彼は私の前世の因縁の相手であり、今世でも何か特別なつながりを感じる。
9.本当は若者たちを注意してやりたかったが、変な因縁をつけられて、何されるかわからなかったので見て見ぬふりをした。
10.その青年は本作のキーパーソンとなる存在で、主人公とは深い因縁がある、いわゆる宿敵同士なのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、物事はすべて原因と条件とによって定められていること、前世からの定まった運命、ある状態をひきおこす原因になること、来歴や由来、言いがかりや無理な理由を表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「前世の因縁」とは、前世からの定まった運命や関係を意味します。例文3の「因縁の相手」とは、以前から関係のある相手を意味し、多くは宿敵やライバルを指す言葉です。

因果と因縁という言葉は、どちらも「原因」を表す仏教用語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、原因と結果を表現したい時は「因果」を、原因と条件を表現したい時は「因縁」を使うようにしましょう。

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