【ムード】と【モダリティ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「ムード」と「モダリティ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ムード」と「モダリティ」という言葉は、「話し手の心的態度に関する言語表現」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




ムードとモダリティの違い

ムードとモダリティの意味の違い

ムードとモダリティの違いを分かりやすく言うと、ムードは文章の動詞部分に表現される時に使い、モダリティは文章の動詞部分以外にも表現される時に使うという違いです。

ムードとモダリティの使い方の違い

一つ目のムードを使った分かりやすい例としては、「モダリティはムード形式と異なる部分もあれば似たような部分もある」「この時期の商店街はお祭りムード一色だ」「ムードミュージックを作業用の音楽にしている」などがあります。

二つ目のモダリティを使った分かりやすい例としては、「義務的モダリティには許可を表す表現も含まれる」「モダリティを意識して文章を書いたことがない」「感覚モダリティによっては異なる情報を受け取ることもある」などがあります。

ムードとモダリティの使い分け方

ムードとモダリティはどちらも、文章において話し手の心的態度に関する言語表現を表しますが、その性質は若干異なります。

ムードは、特に動詞部分に話者の態度が反映されている場合の文法を指す言葉です。例えば、「遊びたい」という言葉は、「遊ぶ」という動詞に自身の欲求を反映させた言葉で、この文法表現が該当します。

一方のモダリティは、動詞以外の部分に話者の態度が反映されている場合の文法を指す言葉です。上記同様、「遊ぶ」という語を用いて、「きっと遊んでくれる」と話者の推測を反映させた「きっと」「だろう」の二部分が該当します。

つまり、ムードは話者の態度が動詞部分に、モダリティは話者の態度が動詞以外の部分に反映されている言語表現であるという明確な違いがあります。

また、ムードには雰囲気や気分、モダリティは感覚器官から得られる情報を表す言葉としてそれぞれ使われている点も異なると言えます。

ムードとモダリティの英語表記の違い

ムードを英語にすると「mood」となり、例えば上記の「ムード形式と異なる」を英語にすると「different from a mood」となります。

一方、モダリティを英語にすると「modality」となり、例えば上記の「義務的モダリティ」を英語にすると「deontic modality」となります。

ムードの意味

ムードとは

ムードとは、話し手の心的態度の違いが反映された動詞部分を意味しています。

その他にも、その時々の気分、感情、雰囲気や世間一般の傾向を表す言葉として使われています。

表現方法は「ムードな雰囲気」「ムードがある」

「ムードな雰囲気」「ムードがある」などが、ムードを使った一般的な言い回しです。

ムードの使い方

「ムードの分類は日本語だけでなく英語でも行われている」「学生時代には仮定法がムードとして扱われるということも分からなかった」などの文中で使われているムードは、「話し手の心的態度の違いが反映された動詞部分」の意味で使われています。

一方、「諦めムードが漂う中でエースがゴールを決めた」「ムードメーカーが一人居るだけで失敗しても全員で前に進もうという気持ちになれる」「ムードを壊さないように発言する」などの文中で使われているムードは、「雰囲気や気分」の意味で使われています。

ムードは英語「mood」でと表記され、「気分」「雰囲気」「言語学における法」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われていますが、日常的に使われているのは雰囲気を表す時がほとんどです。

例えば、「直す」という言葉であれば、命令の意味がこめられた「直せ」、意志の意味がこめられた「直そう」、希求の意味がこめられた「直したい」などのように、動詞に表れる文末表現がムードに当たり、文法カテゴリーの一つとされています。

「諦めムード」「ムードメーカー」の意味

また、その場その時の感情や雰囲気を表す言葉として、上記例文の「諦めムード」「ムードメーカー」などのように使われていますが、日常会話においてはこちらの意味で使われることがほとんどです。

ムードの類語

ムードの類語・類義語としては、主語や動作主と目的語の関係を表すために動詞や助動詞に結びついて変化する文法カテゴリーを意味する「ヴォイス」、そのものの醸し出す雰囲気を意味する「佇まい」、漠然と感じられる様子を意味する「気配」などがあります。

モダリティの意味

モダリティとは

モダリティとは、話し手の内容や聞き手に対する態度や判断が表現された部分を意味しています。

その他にも、視覚や聴覚、触覚、味覚などで得られる感覚を意味する言葉として使われています。

モダリティの使い方

「モダリティのおかげで自信がなさそうな答えをすることもできる」「普段モダリティが与える影響は考えたことがない」などの文中で使われているモダリティは、「話し手の態度を表す部分」の意味で使われています。

一方、「モダリティは影響し合っている」「モダリティについて調べなければかき氷が同じ味とは気付かなかった」「VRを使用したモダリティ効果は非常に面白い」などの文中で使われているモダリティは、「感覚器官で得られる情報」の意味で使われています。

モダリティは英語で「modality」と表記され、「様式」「法性」「手順」といった意味を持つ言葉です。日本でも日常的に使われることはありませんが、言語学分野の用語として使われたり、2000年以降に医学分野で使われるようになりました。

言語学的モダリティはいくつかに分けられ、「きっと○○だろう」のように述語を補うような事柄への推測などの「対事モダリティ」、「おいしいよ」のように述語の末尾に接続する同意や強調などの「対人モダリティ」に大きく分けられています。

「クロスモダリティ現象」の意味

また、五感などから得られる感覚を指す言葉として使われることもあります。上記の「クロスモダリティ現象」とは複数の感覚器官で得られた情報が互いに影響し合う現象を指し、「クロスモーダル効果」とも呼ばれています。

例えば、味は同じでも色やにおいが異なるかき氷は味が異なるように感じられたり、通常サイズの料理を食べる際にVRで大きなサイズの料理を見せられている場合により満腹感を感じるなどの例が挙げられます。

モダリティの類語

モダリティの類語・類義語としては、主体と相手や話題に挙がった人物との関係や態度を表す言語表現である「敬語」、事物の存在の仕方や判断の仕方を意味する「様相」などがあります。

ムードの例文

1.法の意味を持つムードと言われたが、法は法律ではないことも最初は分からなかった。
2.文章上でムードの使い方を間違ってしまえば、聞き手に対して勘違いされるだけだ。
3.恋人と良いムードになった時、相手に夢を壊すようなことを言われて別れたと友人は話してくれた。
4.体育祭で優勝した後のお祭りムードを引きずる生徒たちに先生は定期テストのための喝を入れるほかなかった。
5.ムード音楽を聞きながら食事を楽しむなんてレストランでしかしたことがない。
6.先輩に連れていってもらったスナックのディープな雰囲気と昭和のベタなムード歌謡にはまってしまってあれ以来通っている。
7.映画のクライマックスで緊迫したムードが高まり、観客は息をのむようにして画面に見入っていた。
8.世の中がお祭りムード一色のなか、彼だけは家庭の事情もあり、一人落胆しているようだった。
9.諦めムードが漂う中でエースがゴールを決めたことで、夜中にも関わらず家々から歓声があちこちで聞こえた。
10.撮影した写真を見せてもらったが、結婚式の会場には幸せなムードが満ちており、新郎新婦の笑顔が輝いていた。

この言葉がよく使われる場面としては、話し手の心的態度の違いが反映された動詞部分を意味する時などが挙げられます。

例文3から例文5のように、その時の気分や雰囲気を表す言葉として使われることがほとんどです。

また、例文5の「ムード音楽」とは、心地が良く、聞いている人がくつろげるような雰囲気を作る目的の音楽を指す言葉で、「ムードミュージック」とも呼ばれています。

モダリティの例文

1.モダリティは文章になくとも通じるが、意味に幅を持たせることができるため多用してしまう。
2.使いどころを間違えたモダリティは、辞書を引かない子どもに文章によく見られるように思う。
3.サブモダリティを変化させて、失敗しそうな状況から成功へと転換させるやり方があるらしい。
4.クロスモダリティ効果の研究で、飲み物が本来の味よりも美味しく感じられるようにするための音声が開発されるなどされている。
5.医療業界で使われているモダリティは、医薬品をどう作るかなどを指す言葉のようだ。
6.医薬・製薬業界では新たなモダリティが開発、実用化されることでより治療の多様性や個人の症状に合わせた個別化医療が進んでいくと考えられる。
7.視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感だけでなく、時間感覚や空間感覚などもモダリティに含まれます。
8.この小説の著者は、モダリティを上手く用いて読者の感情に強く訴えかける作品を創り出しています。
9.医療分野の画像診断におけるMRIやCTスキャンは、異なるモダリティを用いて体内を画像化する技術です。
10.この文には、義務を表すモダリティである「~べき」が使われているので、相手にその行為をさせたいのであろう。

この言葉がよく使われる場面としては、話し手の内容や聞き手に対する態度が表現された部分を意味する時などが挙げられます。

例文3から例文5のように、視覚や聴覚、触覚、味覚などで得られる感覚を意味することもあります。

また、例文3の「サブモダリティ」とは、五感を通じて認識した様々な要素を意味する言葉で、これらを組み合わせて人間は体験したことを記憶しています。

ムードとモダリティは、どちらも「話し手の心的態度に関する言語表現」を表します。どちらを使うか迷った場合は、文章の動詞部分に表現される場合は「ムード」を、文章の動詞部分以外にも表現される場合は「モダリティ」を使うと覚えておけば間違いありません。

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