似た意味を持つ「ユートピア」と「ディストピア」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ユートピア」と「ディストピア」という言葉は、「社会や世界のあり方」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ユートピアとディストピアの違い
ユートピアとディストピアの意味の違い
ユートピアとディストピアの違いを分かりやすく言うと、ユートピアは理想的な世界を表現する時に使い、ディストピアは理想的ではない世界を表現する時に使うという違いです。
ユートピアとディストピアの使い方の違い
一つ目のユートピアを使った分かりやすい例としては、「世界には様々なユートピア文学が存在する」「実現不可能なユートピアに少しでも近づこうとする努力が必要だろう」「ユートピアに思いを馳せることはできる」などがあります。
二つ目のディストピアを使った分かりやすい例としては、「ディストピア小説では抑圧や統制などが行われているのは当たり前のような風潮がある」「ディストピアすぎる職場環境とはお別れするべきだ」「ディストピア飯は人気らしい」などがあります。
ユートピアとディストピアの使い分け方
ユートピアとディストピアはどちらも、社会や世界のあり方を表す言葉ですが、指し示すものが大きく異なります。
ユートピアは、想像しうる限り最も住みやすい理想的な世界や社会を意味する言葉ですが、より語源に近い意味で、どこにも存在しないような素晴らしい場所を指す言葉として使われることもあります。
一方のディストピアは、反理想郷や暗黒世界を意味する言葉であり、そういった世界を描いた作品を指す言葉として使われることもあります。
つまり、ユートピアは理想的な世界や社会を指し、ディストピアは反理想的な世界や社会を指すという違いがあり、これらの言葉は対義語の関係にあると言えます。
ユートピアとディストピアの英語表記の違い
ユートピアを英語にすると「utopia」となり、例えば上記の「ユートピア文学」を英語にすると「Utopian literature」となります。
一方、ディストピアを英語にすると「dystopia」となり、例えば上記の「ディストピア小説」を英語にすると「dystopian writing」となります。
ユートピアの意味
ユートピアとは
ユートピアとは、想像しうる限り最も住みやすい理想的な世界を意味しています。
ユートピアの使い方
ユートピアを使った分かりやすい例としては、「彼の意見はユートピア的であり、他の参加者に見向きもされなかった」「過去のユートピア思想は社会主義に傾倒した考え方なのだろうか」「ユートピアを求めたい気持ちはあれど何をすればいいのか」などがあります。
その他にも、「誰もが自分の中にユートピアを持っていると思う」「彼女のユートピアに賛同したからこと一緒に活動を続けている」「ユートピアやディストピアが描かれる作品は世に多い」などがあります。
ユートピアは英語で「utopia」と表記され、「空想的な社会」「理想郷」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われており、より広義的に「住みやすい世界」を表す言葉としても使われることがあります。
ユートピアの由来
1516年に出版されたトマス=モアの著作である『ユートピア』という物語に、ユートピアと名の付く架空の国家が存在し、現実には存在しない理想的なものとして描かれたことで使われるようになった言葉です。
ギリシア語で「どこにもない場所」を表す言葉と、「良い場所」を表す言葉とを結び付けたトマス=モアによる造語であり、「素晴らしい場所だがどこにも存在しない場所」を表す言葉として使われるようになりました。
転じて、理想的な社会や空想的な社会を表す言葉として使われるようになりましたが、提唱されていたユートピアは社会主義や共産主義的な管理社会であり、自由主義的な理想郷とは異なるため、多くの人が考える自由主義的な理想郷とは大きく異なります。
ユートピアの類語
ユートピアの類語・類義語としては、牧歌的な理想郷を意味する「アルカディア」、現実とは全く様子の違った場所を意味する「別天地」、天上の理想世界を意味する「天国」苦しむことのない幸せな生活ができる場所を意味する「楽園」などがあります。
ディストピアの意味
ディストピアとは
ディストピアとは、反理想郷を意味しています。
ディストピアの使い方
ディストピアを使った分かりやすい例としては、「ディストピア飯が一般的にならないことを祈っている」「ディストピアが作り上げられたら労働環境も大きく変わるだろう」「実際社会主義的なディストピアが訪れることは悪いことなのだろうか」などがあります。
その他にも、「ディストピア文学は未来予想のようになっている気がする」「ディストピア的な世界が描かれている作品で主人公たちが一生懸命な姿に胸打たれる」「このような世界が訪れてほしくはないとディストピア小説を読んで思う」などがあります。
ディストピアは英語で「dystopia」と表記され、「暗黒郷」「地獄郷」という意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われており、特に自由が抑圧されたような世界や社会を指す言葉として使われ、「逆ユートピア」とも呼ばれています。
また、こういった理想とは反するような世界を描いた作品を指す言葉としても使われることが多く、徹底的な管理社会を作り上げることは秩序正しい社会につながるものの、人間としての自由が奪われていることを風刺する作品が該当します。
デ「ディストピア飯」の意味
上記例文の「ディストピア飯」とは、ディストピア的社会や世界の終末をテーマとしている作品に登場する、ゼリー状であったり、ブロックのような形状をしている食欲をそそらない食事を指す言葉です。
ディストピアの対義語
ディストピアの対義語・反対語としては、心配や苦労がなく楽しい生活ができる場所を意味する「楽土」、悩みや苦しみのない世界を意味する「パラダイス」があります。
ディストピアの類語
ディストピアの類語・類義語としては、厳しすぎる様子を意味する「過酷」、奥深く底知れないような場所を意味する「深淵」、これ以上ないような酷い境遇を意味する「奈落」などがあります。
ユートピアの例文
この言葉がよく使われる場面としては、想像しうる限り最も住みやすい理想的な世界を意味する時などが挙げられます。
本来は、社会主義や共産主義的な管理社会を指す言葉として使われていましたが、今日では自由主義的な理想郷を表す言葉として使われることがほとんどです。
ディストピアの例文
この言葉がよく使われる場面としては、反理想郷を意味する時などが挙げられます。
特に、理想とは反するような世界を描いた作品を指す言葉として使われることが多くあります。
ユートピアとディストピアは、どちらも「社会や世界のあり方」を表します。どちらを使うか迷った場合は、理想的な世界を表す場合は「ユートピア」を、理想的ではない世界を表す場合は「ディストピア」を使うと覚えておけば間違いありません。