似た意味を持つ「パスティーシュ」と「エピゴーネン」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「パスティーシュ」と「エピゴーネン」という言葉は、「芸術作品の模倣」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
パスティーシュとエピゴーネンの違い
パスティーシュとエピゴーネンの意味の違い
パスティーシュとエピゴーネンの違いを分かりやすく言うと、パスティーシュは二次創作などポジティブな表現をする時に使い、エピゴーネンは盗作などネガティブな表現をする時に使うという違いです。
パスティーシュとエピゴーネンの使い方の違い
一つ目のパスティーシュを使った分かりやすい例としては、「パスティーシュ小説の生い立ちを歴史的観点から考えると面白そうだ」「パスティーシュは原作とは別の物語だ」「同じ史実を元にした物語でも異なるのがパスティーシュの特徴だ」などがあります。
二つ目のエピゴーネンを使った分かりやすい例としては、「エピゴーネンに過ぎないと言われて悔しい思いをした」「全く同じ文言を使用したエピゴーネンは盗作とも言える」「エピゴーネンを生み出すような師であったことにガッカリした」などがあります。
パスティーシュとエピゴーネンの使い分け方
パスティーシュとエピゴーネンはどちらも、美術作品や文学作品などの模倣を意味する言葉ですが、使い方が大きく異なります。
パスティーシュは、他者の作品から借用されたイメージなどを使って作り上げられた作品を指す言葉で、「二次創作」「パロディ」といった言葉と同じような意味を持ちます。
一方のエピゴーネンは、学問や思想、芸術などにおいて真似ばかりをし、独創性のない人を指す言葉で、「パクリ」「盗作」をする人を表します。
つまり、パスティーシュは元の作品を参考にした別の作品を表すポジティブな言葉として、エピゴーネンは元の作品そのままのやり方をした作品を表すネガティブな言葉として使われるという違いがあります。
パスティーシュとエピゴーネンの英語表記の違い
パスティーシュを英語にすると「pastiche」となり、例えば上記の「パスティーシュ小説」を英語にすると「pastiche novels」となります。
一方、エピゴーネンを英語にすると「epigon」「epigone」となり、例えば上記の「エピゴーネンに過ぎない」を英語にすると「be nothing but an epigon」となります。
パスティーシュの意味
パスティーシュとは
パスティーシュとは、他者の作品から借用されたイメージなどを使って作り上げられた作品を意味しています。
パスティーシュの使い方
パスティーシュを使った分かりやすい例としては、「パスティーシュ作品の中でもシャーロック・ホームズに関するものはどれも面白い」「優れたパスティーシュを生み出す作家は原作に対する愛が深いと言える」などがあります。
その他にも、「たとえパスティーシュだったとしてもアガサ・クリスティをリスペクトした作品は読んでみたい」「短編のパスティーシュを持ち寄ってアンソロジーが作られた」「パスティーシュは二次創作として敬意を払って出版されている」などがあります。
パスティーシュは 「pastiche」と表記されますが、フランス語で「作風の模倣」を指し、「パスティシュ」と表記されることもあります。イタリア語では「パスティッチョ」という発音されており、料理のパスタと語源が同じです。
世界観や登場人物を借りて作り上げられた作品から、オリジナルの文体や雰囲気が似ること、また似せるやり方で作られた作品がパスティーシュに該当します。上記例文の「シャーロック・ホームズ」に関するパスティーシュは非常に多く存在しています。
パスティーシュの対義語
パスティーシュの対義語・反対語としては、原作を意味する「オリジナル」があります。
パスティーシュの類語
パスティーシュの類語・類義語としては、他者によって創作された作品を模倣した作品や作り変える行為を意味する「パロディ」、芸術や文学において他者から影響を受けて似た作品を創作することやその作品を意味する「オマージュ」などがあります。
エピゴーネンの意味
エピゴーネンとは
エピゴーネンとは、学問や思想、芸術などにおいて真似ばかりをし、独創性のない人を意味しています。
エピゴーネンの使い方
エピゴーネンを使った分かりやすい例としては、「真意は異なるとしてもエピゴーネンは悪いイメージを持たれる」「エピゴーネンよりもパクリという言葉が一般的だ」「イラストにおけるエピゴーネンはトレスをする人も含まれると思う」などがあります。
その他にも、「周囲のエピゴーネンらの考えを変える手段が思いつかない」「エピゴーネンとして評価されるのは遺憾である」「エピゴーネンである自分に面白い物語が生み出せない」「今までエピゴーネンだったとは思えないと独創性を褒められた」などがあります。
エピゴーネンは英語で「epigone」と表記されますが、ドイツ語で「優れている先人のやり方を流用や模倣をする人」を指します。「後に生まれた者」の複数形であるギリシア語の「エピゴノイ」が由来となった言葉です。
芸術分野におけるエピゴーネンは文化を受け継いでいく以上必要なものと考えられていますが、基本的にはオリジナルの作品よりも劣っているとされています。
また、政治体制や思想などを真似る人を指す言葉としても使われていますが、どの意味で使われる場合でも否定的なニュアンスで使われることがほとんどであるため、使うタイミングや相手に注意が必要です。
エピゴーネンの対義語
エピゴーネンの対義語・反対語としては、ある方面で第一等の地位やその地位の人を意味する「一流」、中心をなす系統を意味する「本流」があります。
エピゴーネンの類語
エピゴーネンの類語・類義語としては、一流の人に追随するのみの人を意味する「亜流」、一級品には及ばないが中程度であるものを意味する「B級」、前にあったことの模倣となり新鮮味のないものを意味する「二番煎じ」などがあります。
パスティーシュの例文
この言葉がよく使われる場面としては、他者の作品から借用されたイメージなどを使って作り上げられた作品を意味する時などが挙げられます。
どの例文のパスティーシュも、原作に対するリスペクトを持った上で生み出された別の作品を指します。
エピゴーネンの例文
この言葉がよく使われる場面としては、学問や思想、芸術などにおいて真似ばかりをし、独創性のない人を意味する時などが挙げられます。
どの例文のエピゴーネンも、批判的な意味が込められており、生み出された作品は劣っているものと見なされることがほとんどです。
パスティーシュとエピゴーネンは、どちらも「芸術作品の模倣」を表します。どちらを使うか迷った場合は、二次創作を表す場合は「パスティーシュ」を、盗作や流用を表す場合は「エピゴーネン」を使うと覚えておけば間違いありません。