同じ「しまう」という読み方、似た意味を持つ「仕舞う」と「終う」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「仕舞う」と「終う」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「仕舞う」と「終う」の違い
「仕舞う」と「終う」の意味の違い
仕舞うと終うの違いを分かりやすく言うと、仕舞うは物事を終わらせたり、使ったものを片付けたりすることを意味するのに対し、終うは何かが完結したことを強調して表現する意味を持つという違いです。
「仕舞う」は常用漢字で「終う」は常用外漢字
また、仕舞うという言葉は常用漢字表にある言葉ですが、終うというのは「終」という漢字字体は常用漢字ですが「しまう」という読み方は常用漢字表外の読み方であるという違いがあります。
公用文では「仕舞う」か「しまう」
つまり、公的な書類に記載する際には「仕舞う」と漢字で表現するか、「しまう」とひらがなで表記するのが良いということです。一般的には、書き言葉で表現される際には「しまう」とひらがなで書かれることの多い言葉です。
「仕舞う」と「終う」の使い分け方
それでは「終う」という漢字は、どのような時に使用するかと言うと、何かを完結させたことを強調したい時などに使われることの多いものであると言えます。例えば「今日で店を終いにする」「これにて授業を終いにする」というように使用されます。
このように、完結という意味を強く持たせたい場合に「終う」という字が使われます。特に文学的な表現をする際、小説や物語などで好んで使用されます。
「しまう」という言葉は、一般的には「仕舞う」または「しまう」とひらがなで表記されることが多いものです。どうしても特別に完結していることを強く伝えたい時以外には、「仕舞う」または「しまう」とするのが良いでしょう。
「しまう」という言葉が使われる場面としては、物事の完結を示す他にも「忘れ物をしてしまった」や「お風呂に入ってしまいなさい」など、様々な表現で使用されます。どれもひらがなで表記されることが多いものであると覚えておくようにしましょう。
「仕舞う」の意味
「仕舞う」とは
仕舞うとは、今まで続いていた物事を終わりにすることや、使用したものを元の場所に戻すことなどを意味しています。仕舞うという言葉には様々な意味がありますが、どれも何かを終わらせたり片付けたりする意味を持ちます。
「仕舞う」の語源
仕舞うという言葉の成り立ちは、動詞である「する」という言葉の連用形である「し」に「振舞う」という意味の「舞う」が加わって「仕舞う」という語になったと言われています。
ここで言う連用形というのは、「用言に連なる言葉」という意味です。用言というのは、物事の存在や動作、性質や状態などを表す言葉のことを言います。それらの状態を表す言葉に付属する言葉を「連用」の言葉と表現します。
もっと分かりやすく考えると「~ます」という言葉に付けられるように変形させた言葉であると言えます。つまり「~する」という動詞を「~ます」という言葉と合体させると「~します」となります。「する」が「し」という連用形の語に変化しました。
この連用形の「し」に「舞う」を付けて「仕舞う」という表現になります。これは、動作を振舞うという意味の言葉になります。ある動作を美しく見せるというような意味です。散らかっているものを美しく見せるというイメージがわかりやすいでしょう。
こうした成り立ちから、仕舞うという言葉は、続けていたものをそこで終わりにすること、使用したものを片付けること、行動を完了させることなどを意味するものになりました。なにかが完結することを「仕舞う」と言うのだと覚えておくようにしましょう。
仕舞うという言葉の「仕」という字は、仕える、つかまつる(行うという言葉の謙譲語)、仕事をするなどの意味を持つ言葉です。仕舞うという言葉の場合には「行う」の謙譲語の意味として使われています。
仕舞うの「舞」という字は、手足を動かして踊る、取り扱う、励ますなどの意味を持ちます。仕舞うという言葉では、手足を動かす、取り扱うなどの意味を持って使われているものであると考えるとわかりやすいでしょう。
表現方法は「物を仕舞う」「タンスに仕舞う」「引き出しに仕舞う」
「物を仕舞う」「タンスに仕舞う」「引き出しに仕舞う」などが、仕舞うを使った一般的な言い回しです。
「仕舞う」の使い方
仕舞うを使った分かりやすい例としては、「子供達が散らかした物は結局親が仕舞うことになる」「タンスに仕舞うのが面倒でタンスの上に重ねてしまう」「引き出しに仕舞うテクニックがテレビで紹介されている」などがあります。
「仕舞う」の類語
仕舞うの類語・類義語としては、物品をある場所に保存することを意味する「保管する」、中に入れてしまっておくことを意味する「収納する」、物を一定の場所に収めることを意味する「格納する」などがあります。
仕舞うの「舞」という字を使った言葉としては、演劇や舞踊、音楽などを行うために設けられた場所を意味する「舞台」、自分勝手に言葉を解釈して文章を書くことを意味する「舞文」、励まし気持ちを奮いたたせることを意味する「鼓舞」などがあります。
「終う」の意味
「終う」とは
終うとは、続けていた何かを終わらせることや、何かが終わりになること、完了することなどを意味しています。
「終う」は公用文では使えない
終うという字は常用漢字表にある漢字ですが、「終う」と書いて「しまう」と読むのは常用漢字表外の読み方です。
そのため、「しまう」という言葉を公的な書類などで記載する場合には「仕舞う」と書くか「しまう」とひらがなで書く方が良いでしょう。「しまう」という言葉を「終う」という漢字で書く際には、何かが終わったことを強調したい時などがあります。
表現方法は「お終いにする」「お終いになる」「終いには」
「お終いにする」「お終いになる」「終いには」などが、終うを使った一般的な言い回しです。
「終う」の使い方
例えば「今日で店をお終いにする」「授業がお終いになった」などのように、何かが完結したり終わったりしたことを表現したい時には「終う」という漢字で書くと、その意味が伝わりやすくなります。
終うという言葉に使われている「終」という漢字は、終わる、終える、最後、ついになどの意味で使用される言葉です。始まりという言葉の対になる語であり、終わらせる、完結させるという意味を強く持ちます。
「しまう」という言葉を「終う」という字で表現する場合には、これらの「終わらせる」「完結させる」という意味をはっきりと伝えたいような時に使うようにしましょう。それ以外では常用漢字表に則って「仕舞う」「しまう」と表記するのが良いです。
「終う」の類語
終うの類語・類義語としては、出入り口を閉めることを意味する「閉鎖する」、図書館などの館内を閉めることを意味する「閉館する」、お店をやめて閉じることを意味する「閉店する」などがあります。
終うの「終」という字を使った単語としては、その日の業務を終えることを意味する「終業」、物事が終わりになり、決着がつくことを意味する「終結」、朝から晩まで一日中ということを意味する「終日」などがあります。
「仕舞う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かの物事を完結させる時や、片付けて綺麗にする時などが挙げられます。仕舞うという言葉は、様々な場面で使われる言葉であり、仕舞うの他にも「しまう」とひらがなで表記されることも多くあります。
仕舞うという言葉の語源としては、動詞である「~する」という言葉が考えられます。なにかを「する」ことを完了させるのを「仕舞う」と表現します。「舞う」というのは、手足を動かしたり、取り扱うという意味を持つ言葉です。
そのため、仕舞うというのは、例文にあるように、何かを片付けたり、そっと完結させたりする場面で使用される言葉であると言えます。漢字で「仕舞う」と表記しても、「しまう」とひらがなで表記しても同じ意味となります。
「終う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かの物事を終わらせたり、完了させたりすることを表現したい時などが挙げられます。例文にもあるように、店を閉じる時や授業が終わった時などを表現する時に使われることが多いものです。
この「終う」という字は、漢字字体は常用漢字表にある漢字ですが、「終う」を「しまう」と読ませる読み方は、常用漢字表外の読み方です。公的な書類に記載する時には「仕舞う」またはひらがなで「しまう」とするのが良いでしょう。
「終う」という言葉は「終える」「終わらせる」「締めくくる」「成し遂げる」などの言葉で言い換えられるものであると覚えておくとわかりやすいでしょう。なにかを「終えた」ことを強調したい時に使われる言葉です。