似た意味を持つ「退社」(読み方:たいしゃ)と「退職」(読み方:たいしょく)と「退勤」(読み方:たいきん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「退社」と「退職」と「退勤」という言葉は、仕事を終えるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
退社と退職と退勤の違い
退社と退職と退勤の使い分け方
退社と退職と退勤の違いを分かりやすく言うと、退社は会社を辞めることと勤務が終了したことを表現する時に使い、退職は会社を辞めることのみを表現する時に使い、退勤は勤務が終了したことのみを表現する時に使うという違いです。
退社と退職と退勤の使い方の違い
退社という言葉は、「退社に合わせて寄せ書きをもらった」「まだ明るいうちに退社できそうだ」などの使い方で、会社を辞めることと、その日の勤務を終えて会社を後にすることの両方を意味します。
退職という言葉は、「退職届の書き方を調べる」「結婚を決めた後輩が退職するらしい」などの使い方で、会社を辞めることを意味します。勤務を終えるという意味はありません。
退勤という言葉は、「退勤時はタイムカードに打刻する」「退勤後は何もやる気がしない」などの使い方で、その日の勤務をやめて会社を出ることを意味します。その職を離れるといった意味はありません。
これらのことから、会社を辞める場合には退職を、勤務を終える場合には退社を使い、退社はこのどちらにも使うことが出来ます。これらが退社、退職、退勤の明確な違いです。
退社の意味
退社とは
退社とは、勤務している会社を辞めること、その日の勤めを終えて会社から退出することを意味しています。
表現方法は「退社しました」「退社した社員」「退社させていただきます」
「退社しました」「退社した社員」「退社させていただきます」などが、退社を使った一般的な言い回しです。
退社を使った言葉として、「寿退社」「円満退社」があります。
「寿退社」の意味
一つ目の「寿退社」とは、結婚に伴い会社を辞めることを意味する言葉です。本来は結婚をする女性が会社を辞める時に使っていた言葉ですが、近年は男性が主夫を担う家庭や、女性側の家業を継ぐこともあるため男性にも使われています。
「円満退社」の意味
二つ目の「円満退社」とは、上司や同僚らの理解を得て、職務の始末を済ませて互いに気持ちよく退職することを意味する言葉です。円満退社の類語として「自然退職」がありますが、こちらは会社や勤務者の意思とは関係なしに労働契約が終了します。
退社の対義語
退社の対義語・反対語としては、会社に入り社員となることを意味する「入社」、会社に出勤することを意味する「出社」があります。
退社の類語
退社の類語・類義語としては、今までついていた職を自分からやめることを意味する「辞職」、ついていた任務や職務を自分から申し出てやめることを意味する「辞任」などがあります。
退社の社の字を使った別の言葉としては、同じ目的で物事を行う集団を意味する「会社」、詩歌を作るための結社を意味する「吟社」(読み方:ぎんしゃ)、共通の目的を達成するために合意によって組織する継続的な団体を意味する「結社」などがあります。
退職の意味
退職とは
退職とは、勤めている職をやめることを意味しています。
表現方法は「退職する」「退職したい」「退職させてくれない」
「退職する」「退職したい」「退職させてくれない」などが、退職を使った一般的な言い回しです。
退職を使った言葉として、「退職慰労金」「定年退職」があります。
「退職慰労金」の意味
一つ目の「退職慰労金」とは、会社の取締役や監査役といった役員が退職する時に支払う退職金で、他の従業員に対する退職金とは違います。本来の退職金は、それぞれの会社の規定に従って支払われますが、退職慰労金は株主総会での承認が必要となります。
「定年退職」の意味
二つ目の「定年退職」とは、一定の年齢に達した際に会社を辞めることを意味する言葉です。一般的には60歳と言われていましたが、高年齢者雇用安定法が2013年に改正されたことで、定年を引き上げたり、定年制を廃止するなどの措置をとる必要がありました。
定年を引き上げることで組織の安定を図ることができますが、下の人たちの昇進などに大きな影響を与えるため、退職金の割り増しや再就職先を紹介することを条件に定年前の退職を勧める「勧奨退職」もあります。
退職の対義語
退職の対義語・反対語としては、職業につくことを意味する「就職」があります。
退職の類語
退職の類語・類義語としては、役職や地位から身を退くことを意味する「引退」、役職からしりぞくことを意味する「退役」(読み方:たいやく)、任務をやめることを意味する「退任」などがあります。
退職の職の字を使った別の言葉としては、担当している仕事を意味する「職掌」(読み方:しょくしょう)、非常に激しく忙しい職務を意味する「劇職」、職責を果たそうとして命を失うことを意味する「殉職」、重要な地位などを意味する「要職」などがあります。
退勤の意味
退勤とは
退勤とは、勤務が終わって勤め先から退出することを意味しています。
表現方法は「退勤いたしました」「退勤させていただきます」「退勤打刻する」
「退勤いたしました」「退勤させていただきます」「退勤打刻する」などが、退勤を使った一般的な言い回しです。
退勤を使った言葉として、「退勤途上」「退勤猶予時間」があります。
「退勤途上」の意味
一つ目の「退勤途上」とは、退勤途中を意味する言葉で、その日の勤務を終えて自宅に帰るまでの間を指します。
この退勤途上で台風などの災害によって危険な目に遭う可能性がある場合は早退を認める企業もあり、企業のルールとして定められています。しかし、勤務先を出てから私事でどこか外食に行ったりした場合は退勤途上と認められません。
「退勤猶予時間」の意味
二つ目の「退勤猶予時間」とは、仕事が終わってからタイムカードを押すまでの時間を指す言葉で、この時間は業務時間ではないため本来は給料が発生しません。
しかし、仕事が終わっているにも関わらず、別のことをして時間を引き延ばす退勤乖離によって給料を発生させるといった人々がいるため、何度も裁判に発展しています。
退勤の対義語
退勤の対義語・反対語としては、勤務先へ出かけることを意味する「出勤」があります。
退勤の類語
退勤の類語・類義語としては、その日の業務を終えることを意味する「終業」があります。
退勤の勤の字を使った別の言葉としては、同じ勤務先に勤め続けることを意味する「勤続」、外回りの仕事を担当する人を意味する「外勤」、毎日一定の時間勤務することを意味する「常勤」、同じ企業の中で勤務地が変わることを意味する「転勤」などがあります。
退社の例文
この言葉がよく使われる場面としては、会社を辞めることやその日の業務を終えることを意味する時などが挙げられます。
例文1と例文2は会社を辞めることを意味していますが、例文3は勤務を終えることを意味しています。
例文1と例文2の「退社」は「退職」に置き換えて使うことができますが、「退勤」を使うことはできません。一方、例文3の「退社」は「退勤」に置き換えて使うことができますが、「退職」に置き換えて使うことはできません。
退職の例文
この言葉がよく使われる場面としては、会社を辞めることを意味する時などが挙げられます。
これらの例文の「退職」を、勤務を終えることを意味する「退勤」に置き換えることはできませんが「退社」に置き換えることはできます。
退勤の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その日の勤務を終えることを意味する時などが挙げられます。
これらの例文の「退勤」を、会社を辞めることを意味する「退職」に置き換えることはできませんが「退社」に置き換えることはできます。
退社と退職と退勤どれを使うか迷った場合は、会社を辞めることと勤務を終えることを表す場合は「退社」を、会社を辞めることのみを表す場合は「退職」を、勤務を終えることのみを表す場合は「退勤」を使うと覚えておけば間違いありません。