似た意味を持つ「不都合」(読み方:ふつごう)と「不具合」(読み方:ふぐあい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不都合」と「不具合」という言葉は、どちらも「物事のよくないさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不都合と不具合の違い
不都合と不具合の意味の違い
不都合と不具合の違いを分かりやすく言うと、不都合とは人の都合のよくないことを表し、不具合とは物の具合のよくないことを表すという違いです。
不都合と不具合の使い方の違い
一つ目の不都合を使った分かりやすい例としては、「市長は不都合な真実を隠そうとしている」「姓を変えると不都合が生じることが多々あります」「不都合がございましたらご連絡ください」などがあります。
二つ目の不具合を使った分かりやすい例としては、「コンピューターに不具合が生じています」「メールサーバーの不具合が解消しました」「フォーマットを使って不具合報告書を作成しました」などがあります。
不都合と不具合の使い分け方
不都合と不具合という言葉は、どちらも物事のよくない様子や具合が悪いさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
不都合とは、都合のよくないことを意味し、好ましくない影響を与えるさまを表します。「不都合な真実」のように物事に対して使用されることもありますが、「姓を変えると不都合が生じる」のよう人に対して用いられることが多い言葉です。
不具合とは、状態や調子がよくないさまを意味し、おもに物事に対して使用されることが多い言葉です。「ATMの不具合」「コンピューターの不具合」など、機械やネットワークシステムなどが何らかの理由で正常に作動しなくなってしまった場合に使われています。
つまり、不都合とは人の都合のよくないさまを表すことが多く、不具合とは物が具合が悪いことを表現することがほとんどです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
不都合と不具合の英語表記の違い
不都合を英語にすると「inconvenient」「disadvantage」「damage」となり、例えば上記の「不都合な真実」を英語にすると「inconvenient truth」となります。
一方、不具合を英語にすると「failure」「trouble」「problem」となり、例えば上記の「コンピューターに不具合が生じる」を英語にすると「have a problem with the computer」となります。
不都合の意味
不都合とは
不都合とは、都合の悪いこと、都合の悪いさまを意味しています。
その他にも、「けしからぬこと、不届き」「貧しいこと、生活が苦しいこと」の意味も持っています。
表現方法は「不都合がございましたら」「不都合がある」
「不都合がございましたら」「不都合がある」などが、不都合を使った一般的な言い回しです。
不都合の使い方
「社会生活において不都合が生じる可能性がある」「不都合がございましたらお申しつけください」「英語教育業界にとって不都合な真実をお話ししましょう」の文中で使われている不都合は、「都合の悪いこと」の意味で使われています。
一方、「彼の振る舞いは実に不都合なものであった」「不都合な秘書を解雇する」の文中で使われている不都合は「けしからぬこと」の意味で、「高齢者世帯で不都合である割合は低い」「給与が低く不都合な状態が続く」の文中で使われている不都合は「生活が苦しいこと」の意味で使われています。
不都合とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、ほとんどの場合「都合の悪いこと」の意味で用いられています。不都合の「不」は否定を表し、「都合」は何かをするときにほかの物事に影響を及ぼす事情を表します。
「不都合が生じる」の意味
不都合を用いた言い回しには「不都合が生じる」があります。「不都合が生じる」とは、都合が悪くなるさまを意味し、物事に悪影響をもたらすものが現れること、不利益をこうむる状況に至ることなどを表現します。
不都合の対義語
不都合の対義語・反対語としては、条件などにかなっていて都合がよいことを意味する「好都合」などがあります。
不都合の類語
不都合の類語・類義語としては、ある物事を行うのにぐあいの悪い事情を意味する「差し障り」、都合の悪い事情を意味する「差し支え」、何かを進行させる上での障害や妨げを意味する「支障」などがあります。
不具合の意味
不具合とは
不具合とは、状態や調子がよくないこと、そのさまを意味しています。
不具合の使い方
不具合を使った分かりやすい例としては、「プログラムに不具合はつきものです」「届いた英語の教材は不具合品でした」「担当者は不具合対応のため外出中です」「製品に関する不具合報告のフォームを作成する」などがあります。
その他にも、「不具合報告書の書き方を教えてください」「設定ミスにより不具合が起きる」「システムの不具合を謝罪するメールが届いた」「機器の不具合で英語のスピーキングテストが実施できません」などがあります。
不具合の「具合」は、活動や機能からみた物事の状態、物事を行うにあたっての状況や都合を表します。打ち消しの助字である「不」と結びつき、不具合とは、具合が良くないことを意味し、調子や状態が悪いさまを表します。
不具合という言葉は、機械やシステムなどの故障や欠陥を遠まわしに表現することがあります。直接的に「壊れている」と言うのを避けて「不具合」と表現したり、トラブルの原因がはっきりわからない場合などに「不具合」が使用されています。
不具合の対義語
不具合の対義語・反対語としては、欠けたところや足りないところが全くないことを意味する「完全」などがあります。
不具合の類語
不具合の類語・類義語としては、欠けて足りないことや不備な点を意味する「欠陥」、不十分なところや短所を意味する「欠点」、手続きや仕事の上で不足や欠点があることを意味する「手落ち」などがあります。
不都合の例文
この言葉がよく使われる場面としては、都合の悪いこと、不届きなこと、金銭が思うようにならないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の不都合は、「都合の悪いこと、具合が悪いこと」の意味で用いられています。例文5にある不都合は「不届きなこと、けしからぬさま」の意味で使われています。
不具合の例文
この言葉がよく使われる場面としては、具合のよくないこと、調子や加減のよくないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不具合の慣用的な言い回しには「不具合がある」「不具合を起こす」「不具合が生じる」などがあります。「不具合が生じる」とは、差し障りが出てくること、うまく作動しなくなることなどを意味します。
不都合と不具合という言葉は、どちらも「物事がよくないさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人に関して都合がよくないさまを表現したい時は「不都合」を、機械の具合がよくさないさまを表現したい時は「不具合」を使うようにしましょう。