【発起人】と【株主】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「発起人」(読み方:ほっきにん)と「株主」(読み方:かぶぬし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「発起人」と「株主」という言葉は、どちらも「株式会社に出資する人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




発起人と株主の違い

発起人と株主の意味の違い

発起人と株主の違いを分かりやすく言うと、発起人とは株式会社の設立を企画して出資する人、株主とは株式会社に対して出資する人という違いです。

発起人と株主の使い方の違い

一つ目の発起人を使った分かりやすい例としては、「会社を設立するまでが発起人の責任です」「設立登記の際に発起人の同意書を添付します」「会社の設立にあたって発起人が定款を作成します」「このパーティーの発起人は誰ですか」などがあります。

二つ目の株主を使った分かりやすい例としては、「筆頭株主として経営や運営に参画しています」「株主優待を狙ってANAの株を買いました」「3月の株主優待人気ランキングをチェックする」「持株比率ごとの株主権利を解説します」などがあります。

発起人と株主の使い分け方

発起人と株主という言葉は、どちらも株式会社の資本金を出資する人を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

発起人とは、「パーティーの発起人」のような使い方で、初めに事を企てる人を意味します。また、株式会社の設立の企画者として定款に署名した者を「発起人」と言います。発起人は、その会社の資本金を出資することが会社法によって定められています。

株主とは、株式会社に出資した代わりに株式を受け取った人を意味します。株主になった投資家は、保有する株式数に応じて企業の経営にも参加できる「株主権」を有します。株主の中で、持株比率が最も高い株主を「筆頭株主」と言います。

つまり、「発起人」は会社設立ために企画や準備に携わり、出資をして必ず1株以上の株を引き受けるため、会社設立後は「株主」という立場になります。一方、もともと発起人でなかった株主は、後から発起人になることはありません。これらが、二つの言葉の明確な違いになります。

発起人と株主の英語表記の違い

発起人を英語にすると「proposer」「promoter」「incorporator」となり、例えば上記の「発起人の責任等」を英語にすると「liabilities of Incorporators」となります。

一方、株主を英語にすると「stockholder」「shareholder」となり、例えば上記の「筆頭株主」を英語にすると「the principal stockholder」となります。

発起人の意味

発起人とは

発起人とは、思いたって事を始める人を意味しています。

その他にも、「株式会社の設立を企画して、定款に署名した者」の意味も持っています。

発起人の読み方

発起人の読み方は「ほっきにん」です。誤って「はっきにん」などと読まないようにしましょう。

発起人の使い方

「二次会のパーティーは発起人を立てました」「英語学習イベントの発起人となりました」「結婚式の発起人を友人にお願いする」などの文中で使われている発起人は、「思いたって事を始める人」の意味で使われています。

一方、「発起人決定書を作成しました」「法人であっても発起人になれます」「会社設立中の発起人から出資しないかと勧誘された」などの文中で使われている発起人は、「株式会社の設立を企画し定款に署名した者」の意味で使われています。

発起人とは、上記の例文にあるように二つの意味を持っており、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を捉える必要があります。発起人の「発起」は、思い立って新しく行動を起こすことを表す熟語です。

ビジネスシーンにおける「発起人」とは、株式会社の設立を発起し、定款に発起人として署名した者を指します。実質的に会社設立に携わっていても、定款に発起人として署名しない限り「発起人」とは呼びません。発起人は、少なくとも自ら1株以上の株式を引き受けることが義務づけられています。

発起人の類語

発起人の類語・類義語としては、初めに企てる人を意味する「発起者」、人々に活動への参加や協力などを勧誘する人を意味する「呼びかけ人」、法人登記する際にその代表者として登記された人を意味する「設立者」などがあります。

株主の意味

株主とは

株主とは、株式会社の出資者として株式を所有している者、会社に対して株主権をもつ者を意味しています。

株主の使い方

株主を使った分かりやすい例としては、「株主には配当金が分配されます」「初めて株主総会に出席します」「株主の議決権を行使する」「株主名簿のひな形をダウンロードする」「株主になることのデメリットは何ですか」などがあります。

その他にも、「女性におすすめの株主優待はありますか」「株主優待の人気ランキング一覧を参考にする」「お気に入りの株主優待ブログがあります」「権利確定日の当日に株を買っても株主優待は受けられません」などがあります。

株主とは、株式会社における株式の所有者を意味し、その会社に資金を出してくれた人を指します。株式会社はたくさんの株主によって成り立っており、株主は会社の所有者として配当請求権、議決権、残余財産分配請求権などの権利を持ちます。

「株主優待」の意味

株主を用いた日本語には「株主優待」があります。株主優待とは、企業が自社の株主に対し、株主還元策の一環として、持ち株数に応じて自社製品や優待券などを無料で配布するようなことを言います。安定株主を増やす目的で、長期保有株主に対して優待内容を充実させる企業も増えています。

株主の類語

株主の類語・類義語としては、対象となる団体に財産を提供する者を意味する「出資者」、事業や不動産あるいは証券などに投資をする人を意味する「投資家」、会社や商店などの所有者を意味する「オーナー」などがあります。

発起人の例文と使い方

1.僭越ながら、本日のパーティーの発起人を務めさせていただきました。
2.株式会社設立の発起人を複数にすると、書類作成時の手間が増えます。
3.法人であっても、未成年であっても、会社設立の発起人になることができます。
4.会社設立時における資本金の払い込み通帳は、原則として発起人代表の口座となります。
5.期日までに出資をしない発起人は、発行株式の株主となる権利を失います。

この言葉がよく使われる場面としては、初めに事を企てる人、発起者、株式会社の設立を準備して定款に記名捺印した者を表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「発起人」は、「初めに企てる人、発起者」の意味で用いられています。例文2から例文5の「発起人」は「株式会社の設立を企画して定款に記名捺印した者」の意味で使われています。

株主の例文と使い方

1.投資額10万円以下で買えるおすすめの株主優待銘柄は何ですか。
2.賢い株主になるには、株式投資のメリットとデメリットを十分に理解する必要があります。
3.株主と経営者の関係が良好な企業は、安定した成長が見込まれます。
4.明確な定義がないとはいえ、持ち株比率が10パーセント程度では大株主とは呼べないだろう。
5.個人投資家のほとんどは、持ち株比率ごとの株主権利について考えたことはないだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、株式を保有する者を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「大株主」とは、企業の株式の大多数を保有している株主を意味し、発行済み株式に対する保有株の比率が高い株主を指します。ただし、何%以上なら大株主という明らかな基準はありません。

発起人と株主という言葉は、どちらも「株式会社の資本金を出資する人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、株式会社の設立を企画して資金を出す人を表現したい時は「発起人」を、株式会社に資金を出す人を表現したい時は「株主」を使うようにしましょう。

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