【始末書】と【顛末書】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「始末書」(読み方:しまつしょ)と「顛末書」(読み方:てんまつしょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「始末書」と「顛末書」という言葉は、どちらも「仕事でミスをした時に提出する書類」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




始末書と顛末書の違い

始末書と顛末書の意味の違い

始末書と顛末書の違いを分かりやすく言うと、始末書とは謝罪や反省を目的とした文書、顛末書とは報告と再発防止を目的とした文書という違いです。

始末書と顛末書の使い方の違い

一つ目の始末書を使った分かりやすい例としては、「明日までに始末書を提出してください」「始末書を封筒に入れて提出しました」「フォーマットを利用して始末書を書く」「お店の商品を壊して始末書を書きました」などがあります。

二つ目の顛末書を使った分かりやすい例としては、「顛末書を書く際に注意するポイントがあります」「顛末書の書き方がわかりません」「顛末書の提出は業務命令です」「課長から顛末書の提出を命じられた」などがあります。

始末書と顛末書の使い分け方

始末書と顛末書という言葉は、どちらも業務上でミスをしたり問題が発生した時に書いて提出する書類を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

始末書とは、過ちを詫びるために、一部始終を書き記して出す書類を意味します。業務上の過失や、度重なる遅刻などがあった場合に、謝罪の気持ちを込めて、その経緯と今後の対策などをまとめた文書のことです。

顛末書とは、業務上のミスやトラブルなどの経緯を詳しく報告し、今後の再発防止対策を示す文書を意味します。例えば、業務中に交通事故があった場合、その事故の一部始終を記して今後の対策を文書で残すものです。

つまり、始末書とは謝罪や反省に重きを置いた文書であり、顛末書とは報告と対策に重きを置いた文書です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

始末書と顛末書の英語表記の違い

始末書を英語にすると「written apology」「formal letter of apology」となり、例えば上記の「始末書を提出する」を英語にすると「submit a written apology」となります。

一方、顛末書を英語にすると「detailed report」「formal account」「full report」となり、例えば上記の「顛末書を書く」を英語にすると「make a detailed report」となります。

始末書の意味

始末書とは

始末書とは、過ちを詫びるために、事情を記して関係者に提出する書類を意味しています。

その他にも、「公的責任を問われている者が、自己に関して問題になっている事柄の一部始終を記載して提出する文書」の意味も持っています。

始末書の読み方

始末書の読み方は「しまつしょ」の他に「しまつがき」がありますが、一般的には「しまつしょ」と読まれています。

始末書の使い方

「始末書の書き方が分かりません」「始末書は手書きでもいいですか」「始末書のテンプレートをダウンロードする」などの文中で使われている始末書は、「過ちを詫びる目的で事情を記して関係者に提出する書類」の意味で使われています。

一方、「警察署で始末書処分に同意しました」「始末書は所轄で保管されています」などの文中で使われている始末書は、「公的責任を問われている者が、問題となっている事柄の一部始終を記載する文書」の意味で使われています。

始末書とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので、文脈により意味を判断する必要があります。始末書の「始末」は、始めから終わりまでの細かい事情や成り行きを意味します。

始末書を書く目的

始末書を書く目的は、謝罪と反省の意思を示すことにより、二度と同じ問題を起こさないようにすることです。その書き方に法律上のルールはありませんが、社会通念としてビジネス文書の書式で書かれています。様式のサイズはA4用紙が多く、封筒に入れて手渡しするケースもあります。

始末書の類語

始末書の類語・類義語としては、失敗や失態に基づいた反省の気持ちを記した文章を意味する「反省文」、迷惑をかけてしまったとき等に相手に謝罪の気持ちを伝える文章を意味する「謝罪文」、などがあります。

顛末書の意味

顛末書とは

顛末書とは、仕事上で発生した問題の経緯や原因、解決策や再発防止策などをまとめた書面を意味しています。

顛末書の読み方

顛末書の読み方は「てんまつしょ」です。誤って「てんまつがき」「てんばつしょ」などと読まないようにしましょう。

顛末書の使い方

顛末書を使った分かりやすい例としては、「交通事故の顛末書を提出する」「顛末書の書き方を教えてください」「顛末書のフォーマットはありますか」「顛末書は基本的に社内向けに書いて提出します」などがあります。

その他にも、「やばいことをして顛末書を書かされた」「テンプレートを利用して顛末書を書きました」「顛末書の書式は特に決まっていません」「顛末書の提出を拒否したらどうなりますか」「顛末書と始末書はどちらが重いですか」などがあります。

顛末書の「顛末」とは、一部始終を意味し、事の最初から最後までの事情を表します。事柄をかきつけたものを表す「書」と結びつき、顛末書とは、業務上のトラブルが発生したときに、その経緯や解決策について報告を命じる文書を意味します。

顛末書の目的

顛末書の最大の目的は、ミスや事件の再発防止です。そのため、顛末書には客観的な事実関係がきちんと記載されていることが重要です。その書き方に決まったルールはありませんが、ビジネス文書の体裁で書かれることが普通です。

顛末書の類語

顛末書の類語・類義語としては、上司や関係者に必要な情報を提供するための文書を意味する「報告書」、同じ問題が再度発生しないように講じる策を意味する「再発防止策」などがあります。

始末書の例文と使い方

1.不祥事を起こした従業員に、始末書を書かせることにしました。
2.無理やり始末書を書かせる行為は、パワハラに当たるのではないだろうか。
3.始末書の正しい書き方を、直属の上司に指導されてしまいました。
4.社内規則違反をしてしまって始末書を書くはめになり、雛形や例文を探しています。
5.新入社員の同僚は、始末書を書くとどうなるか想像ができていないようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、過失に際し当事者がその事実と経過を記載して謝罪の意を表す文書を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、始末書という言葉は、主にビジネスシーンで使用されています。

顛末書の例文と使い方

1.社内へ提出する顛末書の書き方を、先輩社員に教えてもらいました。
2.社外向けの顛末書を書く場合は、社内向けのものよりも丁寧に書きましょう。
3.顛末書や始末書に書いた内容は、人事評価に影響するのだろうか。
4.顛末書の書式は決まっていないと聞きましたが、もしサンプルがあれば見せてもらえないでしょうか。
5.入社して半年も経たないのに、すでに2枚も顛末書を書いている新入社員はかなりやばいと思う。

この言葉がよく使われる場面としては、社内で起きたミスやトラブルの経緯報告、および解決策を会社に向けて報告する書類を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、顛末書という言葉は、ビジネスシーンで用いられることがほとんどです。

始末書と顛末書という言葉は、どちらも「仕事でミスをした時に提出する書類」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、謝罪のために提出する書類を表現したい時は「始末書」を、再発防止のために提出する書類を表現したい時は「顛末書」を使うようにしましょう。

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