【実習】と【研修】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「実習」(読み方:じっしゅう)と「研修」(読み方:けんしゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「実習」と「研修」という言葉は、どちらも「知識や技術を学ぶこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




実習と研修の違い

実習と研修の意味の違い

実習と研修の違いを分かりやすく言うと、実習とは実際に経験して学ぶこと、研修とは知識や技術を高めるために学ぶことという違いです。

実習と研修の使い方の違い

一つ目の実習を使った分かりやすい例としては、「調理実習で親子丼を作りました」「教育実習が辛いのでやめたいです」「外国人技能実習制度はいつ廃止されますか」「実習実施予定表をエクセルで作成する」などがあります。

二つ目の研修を使った分かりやすい例としては、「宿泊できる研修所を探しています」「研修会はオンラインでの開催となりました」「研修レポートの書き方が分かりません」「外国人研修生を受け入れる企業が増えています」などがあります。

実習と研修の使い分け方

実習と研修という言葉は、どちらもビジネスシーンで使用され、知識やスキルを身に付けることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

実習とは、講義形式で学んだ知識や技術を、実際に現場で体験することによって身に付けさせる学習方法を意味します。上記例文にある「外国人技能実習制度」とは、国際貢献を目的とし、開発途上国等の外国人を日本で受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。

研修とは、業務に必要な知識やスキルを習得するために、一定期間に勉強や実習をすることを意味します。「外国人研修生」とは、研修という在留資格を取得して、日本の企業などで技術や技能あるいは知識の修得を目指す外国人のことです。

つまり、実習とは実際に現場で体験することによって学ぶ方法であり、研修とは職務上の知識やスキルを高めるために学ぶ方法です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

実習と研修の英語表記の違い

実習を英語にすると「practical training」「practice」「experience」となり、例えば上記の「調理実習」を英語にすると「cooking practice」となります。

一方、研修を英語にすると「study and training」「training」となり、例えば上記の「研修所」を英語にすると「a training institute」となります。

実習の意味

実習とは

実習とは、講義などで学んだ技術や方法などを実地または実物にあたって学ぶことを意味しています。

表現方法は「職場実習」「実習する」

「職場実習」「実習する」などが、実習を使った一般的な言い回しです。

実習の使い方

実習を使った分かりやすい例としては、「教育実習生からお礼状が届きました」「実習目標の立て方を説明します」「実習助手の給料はいくらぐらいですか」「看護実習では外国人患者と英語でやり取りしました」などがあります。

その他にも、「VR実習支援システムを導入します」「実習管理システムにログインできません」「実習日誌には何を書けばいいのだろう」「実習指導者講習会の実施要綱を熟読する」などがあります。

実習の「実」は訓読みで「まこと」と読み、そらごとでない本当の事柄を表します。繰り返して行って身につけることを表す「習」と結び付き、実習とは、実際に体験することによって、ある事柄ついて総合的に学習することを意味します。

実習を用いた日本語には「教育実習」があります。教育実習とは、教職志望の学生が、在学中に教育の現場で教育活動を実際に経験することです。教育職員免許法に基づき、おおむね大学の3年次に学校教育の現場で実習授業を行います。

実習の対義語

実習の対義語・反対語としては、研究対象の内容や性質などを説き聞かせることを意味する「講義」などがあります。

実習の類語

実習の類語・類義語としては、実戦や非常時を想定して行う訓練を意味する「演習」、教授者の指導のもとに学生が研究や討論を行うものを意味する「ゼミナール」、野外など現地での実態に即した調査や研究を意味する「フィールドワーク」などがあります。

研修の意味

研修とは

研修とは、職務上必要とされる知識や技能を高めるために、ある期間特別に勉強や実習をすること、また、そのために行われる講習を意味しています。

その他にも、「入国管理法における外国人の在留資格の一つ」の意味も持っています。

表現方法は「新人研修」「職場研修」「研修を受ける」

「新人研修」「職場研修」「研修を受ける」などが、研修を使った一般的な言い回しです。

研修の使い方

「教職員向けに不祥事防止研修の資料を作成しています」「研修報告書の書き方を教えてください」「研修医の誤診はだれの責任になりますか」「研修費の勘定科目は何ですか」の文中で使われている研修は、「職務上必要とされる知識や技能を高めるために行われる講習」の意味で使われています。

一方、「企業は本格的に外国人研修生を招集し始めました」「研修の在留資格には条件があります」「研修生の出入国手続きをサポートします」などの文中で使われている研修は、「入国管理法における外国人の在留資格の一つ」の意味で使われています。

研修とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「職務上必要とされる知識や技能を高めるために行われる講習」の意味で用いられています。研修の「研」は物事の本質をきわめること、「修」は学問や技芸を身につけることを表す漢字です。

「外国人研修・技能実習制度」の意味

研修を用いた日本語には「外国人研修・技能実習制度」があります。「研修技能実習制度」とも言い、日本の技能や技術を開発途上国へ移転するために1993年に創設されたものです。のちに在留資格の整備や法的保護などの措置が講じられ、2010年に「外国人技能実習制度」に移行しました。

研修の対義語

研修の対義語・反対語としては、理論や説明だけでなく実際にそのことを行うことを意味する「実地」などがあります。

研修の類語

研修の類語・類義語としては、学んで知識を得ることを意味する「修学」、学術や技芸などを学んで身につけるこを意味する「修業」、よく練習することを意味する「修練」、職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練を意味する「OJT」などがあります。

実習の例文と使い方

1.教育実習とは、大学の教職課程で学んできた知識を実践して検証する機会です。
2.高校の教育実習が中学に比べて期間が短いのはどうしてなのか気になっています。
3.障害者の職場実習は、障害者雇用への理解を進めることを目的としています。
4.私は看護実習で辛い思いをしましたが、今は看護師になれて本当に良かったと実感しています。
5.英語科の教育実習では、スピーキング演習を中心に指導することにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、講義を聞いたり資料によって学習していたものを、実地または実物をもって学ぶことを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある実習と演習の違いは、実習は実際の技術を身につけるための学習方法であり、演習は理論や知識を深めるための学習方法である点です。

研修の例文と使い方

1.新人研修の最大の目的は、従業員としてのマインドセットとビジネスマナーを身に付けることです。
2.会社が用意した研修一覧の中から、タイムマネジメント研修を選びました。
3.職場研修では、研修生ができるまで何度も繰り返してスキルアップを目指します。
4.海外事業部に配属された同期は、昨日から英語研修に参加しているようです。
5.転職を考えているというのに、この会社で研修を受ける意味はあるのだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、職業上必要な知識や技能を高めるため職員を一定期間教育することなどが挙げられます。

例文1にある「新人研修」とは 企業に新しく入社する社員を対象にした研修です。新人研修の内容は会社によって様々ですが、ビジネスマナーから業務に関わる知識や実践的なスキルの習得まで多岐にわたります。

実習と研修という言葉は、どちらも「知識や技術を学ぶこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、現場で実践的な経験を通じて学ぶことを表現したい時は「実習」を、職務上の知識やスキルを高めるために学ぶことを表現したい時は「研修」を使うようにしましょう。

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