同じ「とる」という読み方の「取る」と「摂る」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「取る」と「摂る」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「取る」と「摂る」の違い
「取る」と「摂る」の意味の違い
「取る」と「摂る」の違いを分かりやすく言うと、「取る」は公用文で使える、「摂る」は公用文では使えないという違いです。
「取る」と「摂る」の使い方の違い
一つ目の「取る」を使った分かりやすい例としては、「今までで一番良い点数を取ることができた」「実家にいる息子から食費として3万取ることにしました」「旅行するので宿を取ることにしました」「私は二日間の休暇を取ることができました」などがあります。
二つ目の「摂る」を使った分かりやすい例としては、「貧血気味なので鉄分を摂ることにする」「医師からもっと野菜を摂るように言われました」「病気の時はたくさん栄養を摂る必要がある」「ビタミンaを摂るためにサプリントを使うようになりました」などがあります。
「取る」と「摂る」の使い分け方
「取る」と「摂る」はどちらも必要なものとして体内に取り入れることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
結論から言ってしまうと、「取る」は公用文でも使えるのに対して、「摂る」は公用文で使えないのが違いになります。
ではなぜ、「摂る」が公用文で使えないかというと、「摂る」という漢字が常用漢字表に載っていないからです。
常用漢字とは、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、内閣告示の常用漢字表で示された日本語の漢字のことです。
常用漢字はあくまで漢字使用の目安であって制限ではないので、常用漢字以外は使えないというわけではありません。ただし、公用文や新聞などでは常用漢字を使用するのが好ましいとされています。
そのため、公用文以外では「取る」と「摂る」どちらでも使用することができるだけではなく、「食事を摂る」などのように栄養を体内に取り入れる意味の場合は「摂る」の方を使うことが多いと覚えておきましょう。
「取る」と「摂る」の英語表記の違い
「取る」も「摂る」も英語にすると「take」「have」「get」となり、例えば上記の「私は二日間の休暇を取ることができました」を英語にすると「I take two days off」となります。
「取る」の意味
「取る」とは
「取る」とは、必要なものとして体内に取り入れることを意味しています。その他にも、手の中に納めること、色々な方法で自分のものにすること、多くの中から選んで決めること、数量を測ることの意味も持っています。
「食事を取るのは人間として必要なことです」「図書館で読みたい本を手に取る」などの文中で使われている「取る」は、「必要なものとして体内に取り入れることや手の中に納めること」の意味で使われています。
一方、「この時期は休みを取るのはそう簡単ではありません」「今年は新卒者取ることにしました」などの文中で使われている「取る」は、「色々な方法で自分のものにすることや多くの中から選んで決めること」の意味で使われています。
「取る」は様々な意味を持つ言葉で、上記以外にも形をまねて作ること、上手くことを進めること、そのことのために場所や時間などを必要とすること、そのように解釈したり判断したりすること、相撲やカルタなどの遊びをすることの意味なども持っています。
「取る」は公用文で使える
「取る」は常用漢字表に載っている言葉なので、公用文や新聞などで使用しても問題ないと覚えておきましょう。
「取る」の対義語
「取る」の対義語・反対語としては、不用なものとして手元から放すことを意味する「捨てる」があります。
「取る」の類語
「取る」の類語・類義語としては、他人の所有するものを無理に取り上げることを意味する「奪う」、自分のものにすることを意味する「手にする」、身に取り込むことを意味する「召す」、多くの中から必要なものを選び取ることを意味する「拾う」などがあります。
「摂る」の意味
「摂る」とは
「摂る」とは、必要なものとして体内に取り入れることを意味しています。
表現方法は「水分を摂る」「食事を摂る」「栄養を摂る」
「水分を摂る」「食事を摂る」「栄養を摂る」などが、「摂る」を使った一般的な言い回しになります。
「摂る」の使い方
「摂る」を使った分かりやすい例としては、「今年の夏は暑いので小まめに水分を摂る必要があります」「ビタミンBをサプリメントで摂る」「健康のために野菜を摂る」「私は毎日19時に食事を摂る」「美容のためにビタミンCを摂る」などがあります。
「摂る」は必要なものとして体内に取り入れることを意味する動詞です。「食事を摂る」「水分を摂る」などのように、栄養を体内に取り入れる場合に広く一般的に使われています。
「摂る」は公用文で使えない
ただし、「摂る」を使う上で注意しなければならないのは、公用文で使えないという点です。なぜなら、「摂る」という漢字が常用漢字表に載っていないからです。
したがって、公用文で使用したいのであれば、常用漢字表に載っている「取る」の方を使うのがいいでしょう。
「摂る」の類語
「摂る」の類語・類義語としては、栄養物などを体内に取り入れることを意味する「摂取」、薬を飲むことを意味する「服用」などがあります。
「取る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必要なものとして体内に取り入れることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、手の中に納めること、色々な方法で自分のものにすること、多くの中から選んで決めること、数量を測ることを表現したい時にも使います。
例文1は必要なものとして体内に取り入れること、例文2は手の中に納めること、例文3は色々な方法で自分のものにすること、例文4は多くの中から選んで決めること、例文5は数量を測ることの意味で使っています。
「摂る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必要なものとして体内に取り入れることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「摂る」は栄養を取り入れる場合にのみ使うことができる言葉です。
「取る」と「摂る」はどちらも必要なものとして体内に取り入れることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、公用文で使えるのが「取る」、公用文で使えないのが「摂る」と覚えておきましょう。