【学部】と【学科】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「学部」(読み方:がくぶ)と「学科」(読み方:がっか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「学部」と「学科」という言葉は、どちらも「大学を構成する組織」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




学部と学科の違い

学部と学科の意味の違い

学部と学科の違いを分かりやすく言うと、学部とは学問の分野によって分けられた組織、学科とは学部をさらに細かく専門分野ごとに分けた組織という違いです。

学部と学科の使い方の違い

一つ目の学部を使った分かりやすい例としては、「文学部は就職で不利なのでしょうか」「学部新設の手続き方法を調べる」「大学の学部にはどれぐらい種類があるのだろう」「学部卒の平均初任給はいくらぐらいですか」などがあります。

二つ目の学科を使った分かりやすい例としては、「英文学科の内定率はとても高いです」「中学校で苦手な学科は英語でした」「学科教本の一部が改訂されました」「学科試験の予約は1か月先まで可能です」などがあります。

学部と学科の使い分け方

学部と学科という言葉は、どちらも大学を構成する単位であり、教育および研究上の組織を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

大学の学部とは、専攻する学問分野によって大きく分けられた組織の区分を意味します。文学系の学問を専攻する「文学部」、法律学や政治学などを専攻する「法学部」、医学に関する教育や研究を行う「医学部」などがあります。

大学の学科とは、学部の下におかれる組織であり、学問分野をさらに専門的に細分化した組織です。文学部に属している学科には、「日本文学科」「英文学科」「心理学科」「歴史学科」「地理学科」などがあります。

つまり、学部とは学ぶ領域によって大まかに分けた組織であり、学科とは学部を学ぶ内容によって細かく分けた組織です。二つの言葉を比べると、学部より学科の方が、小さい単位であり専門性が高い組織であると言えるでしょう。

学部と学科の英語表記の違い

学部を英語にすると「department」「faculty」となり、例えば上記の「文学部」を英語にすると「the department of literature」となります。

一方、学科を英語にすると「subject」「course of study」「department」となり、例えば上記の「英文学科」を英語にすると「the department of English」となります。

学部の意味

学部とは

学部とは、大学で専攻する学問の分野によって大別された教育・研究上の組織を意味しています。

その他にも、「旧制大学で、予科を併設していた大学の本科」の意味も持っています。

学部の使い方

「後悔しない学部の決め方を教えてください」「英語学科の学部生の数は大学院生の10倍です」「ネットの学部診断をやってみました」などの文中で使われている学部は、「分野によって大別された教育上の組織」の意味で使われています。

一方、「旧制時代は3つの学部と大学予科がありました」「大正7年に北海道帝国大学が設立され医学部も新設されました」などの文中で使われている学部は、「旧制大学で、予科を併設していた大学の本科」の意味で使われています。

学部とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「大学で専攻する学問の分野によって大別された教育上の組織」の意味で用いられています。学部の「学」は教えを受けて身につけること、「部」は物事を区分けすることや分けた一区分を表す漢字です。

「学部外組織」の意味

学部を用いた日本語には「学部外組織」があります。学部外組織とは、大学における教育や研究あるいは社会貢献活動を促進するために設置される学部以外の組織の総称です。研究所や演習林、各種センターや図書館などがあります。

学部の類語

学部の類語・類義語としては、大学の学部の上または独立に設置される機関を意味する「大学院」、学問上の流派を意味する「学派」、教育学の研究や教授を主とする学部を意味する「教育学部」、複数の大学が共同で設置する学部を意味する「共同学部」などがあります。

学科の意味

学科とは

学科とは、教授上・研究上から設けた学問の科目を意味しています。

その他にも、「学校教育における教科」「専門技術や資格を修得する分野で、理論・法規などを学習する課程」の意味も持っています。

学科の使い方

「英語学科では英語を実践的に学びます」「心理学科に所属し犯罪心理学を専攻しています」「文科省の学科系統分類表をチェックする」の文中で使われている学科は、「教授上から設けた学問の科目」の意味で使われています。

一方、「好きな学科は英語です」「中学校の学科課程を確認する」の文中で使われている学科は「学校教育における教科」の意味で、「仮免の学科試験は90点以上で合格です」「学科試験の問題集を買いました」の文中で使われている学科は「理論や法規などを学習する課程」の意味で使われています。

学科とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。学科の「学」は教えを受けることや研究すること、「科」は分類された部門の一つ一つを表します。

「仮免の学科試験」の意味

上記の例文にある「仮免の学科試験」とは、「仮運転免許証」を取得するための学科試験を意味し、実技試験に対して使用される言葉です。仮免の学科試験では、交通ルールや道路標識また交通安全に関する問題が出題されます。

学科の対義語

学科の対義語・反対語としては、実際に行う技術や演技を意味する「実技」などがあります。

学科の類語

学科の類語・類義語としては、学校教育で系統立てて組織した一定の分野を意味する「教科」、学問の区分や学校で教科を分野別に分類したものを意味する「科目」、学校で課する学科目を意味する「課目」、専門の分野だけを特に学ぶ課程を意味する「専科」などがあります。

学部の例文と使い方

1.英語が得意だからと外国語学部を選びましたが、入学してから苦労しました。
2.専門学校は大学と同じ高等教育機関ですが、学部が設置されていることはほとんどありません。
3.理系科目に苦手意識がある私は、理系の学部一覧を見るだけでも圧倒されてしまいます。
4.ある学部診断サイトによると、私は理学部や工学部などの自然科学系が向いているそうです。
5.大学に進学するつもりですが、 やめたほうがいい学部はありますか。

この言葉がよく使われる場面としては、専攻領域により教育研究上の必要から組織された大学の構成単位を表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「外国語学部」とは、大学の学部の一つであり、外国の言語のみならず、歴史や言語の成り立ちなどを専門的に修める学部です。

学科の例文と使い方

1.大学の学部学科一覧を改めて見ると、様々な分野をアカデミックに学ぼうとする学生たちがいることを実感します。
2.志望校を考えるうえで、英語を専門的に学べる学科がある大学をいくつかピックアップしました。
3.高校に設置されている総合学科とは、平成6年度から第三の学科として導入されたものです。
4.履歴書の記入欄にある「好きな学科」とは、小中学校で習う科目を書けばよいのだろうか。
5.運転免許の学科試験で落ちてしまったなんて、恥ずかしくて誰にも言えません。

この言葉がよく使われる場面としては、専攻分野で構成される教育研究上の組織、学校教育における教科、資格など修得する分野で法規や理論などを学習する課程を表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「総合学科」とは、普通教育および専門教育を選択履修により総合的に施す学科であり、1994年に創設されました。

学部と学科という言葉は、どちらも「大学を構成する組織」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、学問分野によって分けられた大きな組織を表現したい時は「学部」を、学部をさらに細かく専門分野ごとに分けた組織を表現したい時は「学科」を使うようにしましょう

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