似た意味を持つ「物件」(読み方:ぶっけん)と「土地」(読み方:とち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「物件」と「土地」という言葉は、どちらも「不動産」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
物件と土地の違い
物件と土地の意味の違い
物件と土地の違いを分かりやすく言うと、物件とは土地や建物などの不動産を表し、土地とは宅地などにする地面を表すという違いです。
物件と土地の使い方の違い
一つ目の物件を使った分かりやすい例としては、「物件の購入費用を親に援助してもらう」「失敗しない物件探しにはコツがあります」「物件探しのアプリをダウンロードする」「物件概要書をエクセルで作成しました」「証拠物件を適切に管理する」などがあります。
二つ目の土地を使った分かりやすい例としては、「土地を売買することを生業にしています」「土地の名義変更の仕方を教えてください」「土地探しは妥協してはいけません」「土地売却の税金はいくらぐらいになるだろう」「土地総合情報システムは誰でも利用できます」などがあります。
物件と土地の使い分け方
物件と土地という言葉は、どちらも不動産取引で用いられる言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
物件とは、もともと品物や物品を意味する言葉です。不動産用語としては、契約の対象としての不動産を意味し、土地や建物などの動かせない財産を指します。不動産物件には、賃貸アパートやマンション、駐車場や分譲地などがあります。
土地とは、陸地や大地を意味しますが、「土地を売買する」のように不動産取引の場面でも使用されています。「土地売却」とは、一般的に不動産会社に土地を売却することを指す言葉です。不動産会社や土地の買取業者に土地を買い取ってもらうことは「土地買取」と言います。
つまり、物件とは土地や建物などの不動産を指す言葉であり、土地は不動産の一つで宅地などにする地面を意味します。二つの言葉を比べると、土地よりも物件の方が、広い意味を持ち汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
物件と土地の英語表記の違い
物件を英語にすると「object」「article」「property」となり、例えば上記の「物件の購入費用」を英語にすると「purchase price of an article」となります。
一方、土地を英語にすると「ground」「land」「soil」「real estate」となり、例えば上記の「土地を売買する」を英語にすると「deal in real estate」となります。
物件の意味
物件とは
物件とは、物品、品物を意味しています。
その他にも、「契約などの対象としての動産および不動産」の意味も持っています。
物件の使い方
「証拠物件は立証のための重要な資料です」「英語のテキストを証拠物件として押収しました」「見知らぬ物件の破片が落ちていた」などの文中で使われている物件は、「物品、品物」の意味で使われています。
一方、「この辺りの駅近物件を探しています」「オートロック付きの賃貸物件は女性に人気があります」「物件探しにおすすめのサイトはありますか」などの文中で使われている物件は、「契約などの対象としての動産および不動産」の意味で使われています。
物件とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。物件の「物」は有形あるいは無形で存在しているすべてのもの、「件」は物事そのものや物事の内容を表す漢字です。
「証拠物件」の意味
物件と用いた日本語には「証拠物件」があります。証拠物件とは、その物の存在と状態が証拠となるものを意味し、民事訴訟法上では証拠方法としての文書および検証物を指します。また、刑事訴訟法においては物的証拠のうち証拠書類以外のものを意味します。「証拠物」とも言います。
物件の類語
物件の類語・類義語としては、売買する品物や商品を意味する「代物」、使ってやや古くなった品物を意味する「中古品」、中高層の集合住宅を意味する「マンション」、1棟の建物をいくつかの独立した住居に仕切ったものを意味する「アパート」などがあります。
土地の意味
土地とは
土地とは、陸地、大地を意味しています。
その他にも、「植物や作物などが育つ土壌、土」「耕地や宅地など様々に利用する地面、地所」「その地域、地方、領土」の意味も持っています。
土地の使い方
「土壌汚染が内在する土地を再生させる」の文中で使われている土地は「陸地、大地」の意味で、「昔は馬で土地を耕したものです」「農業用地にする肥沃な土地を探しています」の文中で使われている土地は「植物などが育つ土壌」の意味で使われています。
一方、「土地価格の相場を調べる」「土地家屋調査士の難易度はどれぐらいですか」の文中で使われている土地は「耕地や宅地などに利用する地面」の意味で、「容疑者は土地勘のある人物だろう」「土地を割譲する」の文中で使われている土地は「その地域、領土」の意味で使われています。
土地とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。土地の「土」は地面や人の住みつくところを表し、「地」は天に対して下方に広がる土地を表します。
「土地家屋調査士」の意味
土地を用いた日本語には「土地家屋調査士」があります。土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記の専門家です。他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき、必要な調査・測量・申請手続をすることを業としています。
土地の対義語
土地の対義語・反対語としては、広々とした空や大空を意味する「天空」などがあります。
土地の類語
土地の類語・類義語としては、ある事に使用する土地を意味する「用地」、土壌の性質を示す語を意味する「壌土」、建物や河川などに使う一定区域の土地を意味する「敷地」、その人が居住している土地を意味する「地元」などがあります。
物件の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、品物や物品、法律上の物、物品などの動産、土地や建物などの不動産の類を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「中古物件」とは、過去に人が住んだことがある住宅や、竣工から1年以上が経過している住宅を意味します。例文4の「賃貸物件」とは、当事者の一方が他方に対して物の使用を認め、その対価を徴収することを目的とした物件のことです。
土地の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、大地、土、宅地や耕地など人為の加工を施した地、その地方、領分を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「土地勘」とは、その土地の地理や事情などについての知識を意味し、その土地の事情などに通じていることを「土地勘がある」と言います。
物件と土地という言葉は、どちらも「不動産用語」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、契約の対象としての動産や不動産を表現したい時は「物件」を、宅地や耕地などに利用する地面を表現したい時は「土地」を使うようにしましょう。