似た意味を持つ「リアリスト」と「ロマンチスト」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「リアリスト」と「ロマンチスト」という言葉は、「物事の考え方の傾向を示す表現」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
リアリストとロマンチストの違い
リアリストとロマンチストの意味の違い
リアリストとロマンチストの違いを分かりやすく言うと、リアリストは現実を重要視する人を表現する時に使い、ロマンチストは理想を追求しようとする人を表現する時に使うという違いです。
リアリストとロマンチストの使い方の違い
一つ目のリアリストを使った分かりやすい例としては、「超リアリストな彼女には冗談が全く通じない」「リアリストである方が幸せになれる気がする」「リアリストらの絵画が展示されるそうだ」などがあります。
二つ目のロマンチストを使った分かりやすい例としては、「自分はロマンチストではないと思っていた」「ロマンチストな恋人は王道のデートコースを案内してくれた」「ロマンチストの文化は作品を通じて学ぶのがいいだろうと思う」などがあります。
リアリストとロマンチストの使い分け方
リアリストとロマンチストはどちらも、物事の考え方の傾向を示す表現ですが、対象が大きく異なります。
リアリストは、現実を見据えた上で物事を考えて処理を行う人を指す言葉として使われています。また、
一方のロマンチストは、現実から離れた空想などを好み、理想を追い求める人を指す言葉として使われています。また、個人の感情や自由を重視した芸術運動に賛同する人たちを表す言葉として使われることもあります。
つまり、リアリストは現実主義者を指し、ロマンチストは理想主義者や夢想家を指す言葉として使われているため、対義語の関係にあると言えます。
リアリストとロマンチストの英語表記の違い
リアリストを英語にすると「realist」となり、例えば上記の「超リアリスト」を英語にすると「a super realist」となります。
一方、ロマンチストを英語にすると「romanticist」となり、例えば上記の「ロマンチストではない」を英語にすると「be not a romanticist」となります。
リアリストの意味
リアリストとは
リアリストとは、現実を見据えた上で物事を考えて処理を行う人を意味しています。
その他にも、写実主義者を意味する言葉として使われています。
リアリストの使い方
「あの人は冷たいリアリストと噂されている」「男性と女性どちらがリアリストかは関係ないだろう」「リアリストだからといって冷たい態度を取るわけではない」などの文中で使われているリアリストは、「現実主義者」の意味で使われています。
一方、「リアリストによる絵画はまるで写真のようだ」「写真を用いたリアリストらの芸術は芸術として認められていなかったようだ」などの文中で使われているリアリストは、「写実主義者」の意味で使われています。
リアリストは英語で「realist」と表記され、「現実主義者」「写実主義者」といった意味を持ちます。日本語でも同じように使われますが、日常生活にて用いられる場合、政治分野で用いられる場合、そして芸術分野で用いられる場合とで意味が若干異なります。
政治分野における「リアリズム」は、現状の国際関係を捉えた上で国や国の利益を最優先として軍事力を重視する考え方を指し、この考え方を支持する人を「リアリスト」と呼ぶため、闘争のために力を行使する非情な人と考えられることもあります。
これが転じて、日常生活においては、結果を重視する、感情に惑わされない、冷静の状況判断を行う、計画性があるなどの特徴を持つ人を指す言葉として使われるため、「ロマンチスト」などの非現実的な考えをする者と比較して、冷たい人と思われています。
また、芸術分野における「リアリズム」は、ありのままに写し出して空想や理想を排除した芸術のあり方を指す言葉で、リアリストはそれらを重視する人を指します。19世紀中ごろに、ロマン主義への反動的運動として興りました。
リアリストの対義語
リアリストの対義語・反対語としては、理想化や理想主義者を意味する「イデアリスト」、理想を追い求める中で誇大妄想に陥るような性格を意味する「ドンキホーテ型」があります。
リアリストの類語
リアリストの類語・類義語としては、社会的事象や風潮などを冷笑し無視する態度を意味する「冷笑主義者」、感傷や人情などに動かされずに合理的に割り切ることを意味する「ドライ」などがあります。
ロマンチストの意味
ロマンチストとは
ロマンチストとは、現実から離れた空想などを好む人を意味しています。
その他にも、ロマン主義を信奉する人を意味する言葉として使われています。
ロマンチストの使い方
「彼女はロマンチストであるが現実を全く見ないわけではない」「ロマンチストの特徴に当てはまる節があり恥ずかしくなる」「ロマンチストな性格と言われ褒め言葉ではない気がした」などの文中で使われているロマンチストは、「空想家」の意味で使われています。
一方、「ロマンチストのクラシック音楽は勉強中に聞いていた」「ロマンチストの文化は後に大正ロマンとまで呼ばれるようになった」などの文中で使われているロマンチストは、「ロマン主義者」の意味で使われています。
ロマンチストは英語で「romanticist」と表記され、「ロマン主義者」を意味します。日本語でも同じように使われますが、「空想を好む人」を意味するロマンチストは和製英語であり、英語圏では「romantic」と表現されることがほとんどです。
個人の感情や自由を重視した芸術運動に賛同する人たちを「ロマンチスト」「ロマン主義者」「ロマン派」と呼びます。彼らは古典主義では軽視されていた個人の感情、憂鬱や動揺、愛情などを扱った作品を多く生み出すようになります。
日本でも、ヨーロッパで起きたロマン主義者らによる芸術運動の影響を明治時代に受けて以降、ロマン主義を主張する人や好む人を「ロマンチスト」「ロマンチシスト」と呼ぶようになりました。
転じて、空想家や夢想家を意味するようになり、今日では上記例文の「彼女はロマンチスト」「ロマンチストの特徴」「ロマンチストな性格」などのように、日常会話において使われることが多い言葉です。
ロマンチストの対義語
ロマンチストの対義語・反対語としては、現実的な利益を追求する考え方を意味する「実利主義」があります。
ロマンチストの類語
ロマンチストの類語・類義語としては、実際の状態よりも理想に導かれる人を意味する「アイデアリスト」、夢見がちな人を意味する「ドリーマー」、感傷にふけりやすい人を意味する「センチメンタリスト」などがあります。
リアリストの例文
この言葉がよく使われる場面としては、現実を見据えた上で物事を考えて処理を行う人を意味する時などが挙げられます。
例文4や5のように、「写実主義者」を意味する言葉としても使われています。
ロマンチストの例文
この言葉がよく使われる場面としては、現実から離れた空想などを好む人を意味する時などが挙げられます。
例文4や5のように、「ロマン主義者」を意味する言葉としても使われています。
また、どの例文のロマンチストも「ロマンチシスト」「ロマンティスト」と別の表記に変えることができます。
リアリストとロマンチストは、どちらも「物事の考え方の傾向を示す表現」です。どちらを使うか迷った場合は、現実を重要視する人を表す場合は「リアリスト」を、理想を追求しようとする人を表す場合は「ロマンチスト」を使うと覚えておけば間違いありません。