同じ「こんだく」という読み方の「溷濁」と「混濁」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「溷濁」と「混濁」という言葉は同義語で、どちらも「色々なものが混じって濁ること」という同じ意味を持ちますが、それぞれの言葉の使い方には少し違いがあります。
溷濁と混濁の違い
溷濁と混濁の意味の違い
溷濁と混濁の違いを分かりやすく言うと、溷濁は常用漢字表に載っていない、混濁は常用漢字表に載っているというという違いです。
溷濁の「溷」は常用外漢字
溷濁の「溷」が常用外漢字であるため、代用字として、常用漢字の「混」を用いた混濁が使われるようになりました。
公用文で使えるのは混濁
混濁は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、溷濁は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「混濁」を使う方が良いでしょう。
また、混濁は溷濁と全く同じ意味の言葉であり、どちらの漢字を使っても間違いではないことを覚えておいてください。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。
溷濁と混濁の英語表記の違い
溷濁も混濁も英語にすると「cloudy」「Turbidity」「confusion」などとなり、例えば「川の水が混濁している」を英語にすると「The water of the river is cloudy」となります。
溷濁の意味
溷濁とは
溷濁とは、色々なものが濁って混じることを意味しています。その他にも、世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくることの意味も持っています。
溷濁の使い方
「清涼飲料水は溷濁を認められていない」「川の水が溷濁している」「土砂崩れの影響で河川の水が溷濁している」などの文中で使われている溷濁は、「色々なものが濁って混じること」の意味で使われています。
一方、「溷濁の世相を映し出す」「薬の効果が出てきたのか意識が溷濁してきた」などの文中で使われている溷濁は、「世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくること」の意味で使われています。
溷濁の「溷」という字は常用漢字ではありません。そのため、初めてこの漢字を見る人も多いはずです。
「澆季溷濁」の意味
溷濁を使った四字熟語としては、「澆季溷濁」(読み方:ぎょうきこんだく)があります。澆季溷濁とは、思いやりなどの人らしい感情が薄くなり、善悪の基準がおかしくなって世の中が乱れることを意味しています。そのため、マイナスのイメージを持つ言葉です。
溷濁の類語
溷濁の類語・類義語としては、液体や気体などに他の物質が混じって透明でなくなることを意味する「濁る」、白く濁ることを意味する「白濁」、汚れ濁ることを意味する「汚濁」、濁るようにすることを意味する「濁す」などがあります。
溷濁の溷の字を使った別の言葉としては、人には運不運があり、この世の境遇なども因果応報ではないことを意味する「墜茵落溷」(読み方:ついいんらくこん)、髪や身体を洗って清め自らの汚れを取り払うことを意味する「沐浴抒溷」(読み方:もくよくじょこん)などがあります。
混濁の意味
混濁とは
混濁とは、色々なものが濁って混じることを意味しています。その他にも、世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくることの意味も持っています。
混濁は溷濁と全く同じ意味で使われている言葉です。辞書で調べた際にも、同じ項目に載っています。
表現方法は「混濁する」「混濁した」
「混濁する」「混濁した」などが、混濁を使った一般的な表現方法です。
混濁の使い方
「大雨の影響で川の水が混濁している」「ストレート混濁果汁のりんごジュースは美味しい」などの文中で使われている溷濁は、「色々なものが濁って混じること」の意味で使われています。
一方、「薬の飲み過ぎで意識が混濁してきた」「危険な思惑が考査する混濁した世界で生きている」などの文中で使われている溷濁は、「世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくること」の意味で使われています。
混濁は三つの意味を持っているのですが、どの意味でも使われています。特に、意識がぼんやりしてくることの意味は、意識混濁という言葉があるので、医療関連や介護関連でよく使われています。
混濁の由来
溷濁の「溷」という字が常用漢字ではないため、代用字として常用漢字である「混」が使われたことで「混濁」という言葉が生まれました。溷濁と混濁は意味が同じなため、どちらの漢字で表記しても間違いではありません。
この代用字というのは、他の単語でも使用されるものです。例えば、本来は「未曾有」であるところを「未曽有」と表記するのが代用字です。本来の字が難しい字面であったり、常用漢字ではない場合に代用字が使われます。
前述したように、どちらの漢字で表記をしても同じ意味になるので、どちらでも好きな表記で書き記して良いものであると覚えておいてください。
しかし、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「混」を使って「混濁」とする方が良いでしょう。「溷濁」という漢字の方が、最初からあった表記であるというだけで、どちらの字でも意味は全く同じです。
混濁の類語
混濁の類語・類義語としては、透明でないことを意味する「不透明」、不意な出来事に慌てて狼狽えること意味する「狼狽」、入り乱れて秩序がなくなることを意味する「錯乱」、冷静な判断ができないほど心が乱れることを意味する「惑乱」などがあります。
混濁の混の字を使った別の言葉としては、物事が入り乱れて秩序を失くすことを意味する「混乱」、全てが入り混じって区別がつかないことを意味する「混沌」、異なった性質のものが混じり合うことを意味する「混合」などがあります。
その他にも、幾つかのものが入り混じって存在することを意味する「混在」、物事が無秩序に入り混じることを意味する「混雑」、いくつか混ぜ合わせて作ることを意味する「混成」、敵味方が互いに入り乱れて戦うことを意味する「混戦」などがあります。
溷濁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、色々なものが濁って混じることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくることを表現したい時に使います。
溷濁の「溷」という字は常用漢字ではないので、日常生活でもあまり使用されません。そのため、「溷」という漢字に馴染みがない人がほとんどなはずです。溷濁はあまり使わない難しい漢字ですが「こんだく」と読むと覚えておきましょう。
例文1から例文3は、世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくることの意味で使われています。また、例文4と例文5は色々なものが濁って混じることの意味で使われています。
混濁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、色々なものが濁って混じることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、世の中が乱れることや意識がぼんやりしてくることを表現したい時に使います。
溷濁の「溷」という字が常用漢字ではないため、代用字の「混」が使われるようになって出来たのが「混濁」という言葉です。意味合いとしては全く同じものであり、どちらの漢字を使っても問題ないです。
しかし、溷濁という言葉があまりにも馴染みがないため、混濁を使う方が一般的になっています。
例文1や例文2のように自然災害が発生した場合は、テレビの報道や新聞などでよく見かける表現なはずです。また例文4のように医療関係で使う場合は、意識がぼんやりしてくることの意味で表現することが多いです。
溷濁と混濁どちらを使うか迷った場合は、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「混」を使った「混濁」とする方が良いでしょう。その他の場合には、個人の好みによって好きな方の表記を使うことができます。